国民年金の保険料を40年間しっかり払った場合、その後に受け取る給付(老齢基礎年金に限定)は、どのような運用利回りになるのでしょうか。一定の前提を置けば、年金終価率、終価率、年金現価率を使って簡単に算出できます。

20歳から60歳までの40年間期始払いで保険料180,480円を支払う。
60歳から65歳になるまでの5年間、それを据え置く。
65歳になった日から毎年期始に766,400円を受給する。
物価指数・賃金水準は平成25年当時と変わらないこととする。
  これらの前提について若干説明します。
・国民年金の保険料は、翌月末日が支払期限です。しかし2年以内であればいつでもペナルティなしで納付できます。1年単位の前払いも可能ですし、その場合は保険料の割引もあります。一方年金は、2ヶ月ごとの後払いです。
  このように保険料の支払い条件も、年金の受け取り条件もよく似ていますので、計算の便宜を図る意味で、保険料も年金給付も共に年間分の期始払いといたしました。
・年金額766,400円は、物価スライド特例水準の解消時の年金額です。
・国民年金の保険料は物価に比例して上下します。年金額もマクロ経済調整の下では、物価や賃金の水準に比例して上下します。ここでは物価も賃金水準も平成25年当時と変わらないという前提、言い換えればマクロ経済スライドは適用されないという前提で計算しています。
ケース2    22年(86歳まで)受給するーーー女性の平均寿命
ケース3    26年(90歳まで)受給する
ケース11.4%
180,480円× 40年年金終価率 × 5年終価率 ÷ 15年年金現価率=766,400円
       (53.8786)    (1.072)  (13.6335)   (764,597)
ケース22.3%
180,480円× 40年年金終価率 ×5年終価率  ÷ 22年年金現価率=766,400円
      (65.9736)    (1.1204)   (17.5081)   (761,962)
ケース32.6%
180,480円× 40年年金終価率 ×5年終価率  ÷ 26年年金現価率= 766,400
        (70.7098)(1.1369)   (19.2154)    (755,060)
  20歳から死亡するまでの55年間、62年間、66年間の長きにわたって一貫して1.4%、2.3%、2.6%の利回りを確保するということですから、これは相当の高利回りと考えられます。
 
  国民年金の、有利性を別の言い方で表現すると次のようになります。
  40年間に払う保険料は7,219,200円。これは年金額766,400円の9.4年分に相当する。65歳から10年生きれば元が取れる。これに加えて、障害になった場合、65歳からではなくその時点から、障害年金が終身にわたって支給される制度も付加されている。
  若いころ国民年金の保険料を払わなかったり、免除手続きを怠ったために、老齢基礎年金をもらえない方、もっと悲惨なケースとしては保険料納付要件を満たすことができずに障害年金を受給できない障害者が少なくありません。保険料を払わないことを慫慂するような発言に惑わされないことを望みます。
 

 
           
  
     
    
