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ローン返済予定表をしっかり確認する
まずは、60歳時点でのローン残高を確認します。確認方法は、住宅ローンの金利タイプによっても異なりますが、金利がずっと変わらない「全期間固定金利」で借りている方なら、返済予定表に完済までのローンの推移が掲載されていますので、60歳時点の残高は直ぐに確認できる筈です。
一方、半年ごとに金利の見直しがある「変動金利」や、当初一定期間(1年・3年・5年・10年)など金利が固定されている「固定金利選択型」で借りている場合は、返済予定表を見ても、金利が確定しているところまでしかローンの残高の推移が解りません。この場合は、60歳時点での残高の目安を知るために、借入先の銀行に試算を依頼する必要があります。
銀行にローン残高の試算を依頼する時は試算条件の提示を
例えば、銀行に対して、「今の固定期間が終わった後は、2%の固定金利として計算してください」というような試算条件を自ら具体的に提示することです。住宅ローンの金利が今後どのように推移するかは誰にも予測できないので、金利が決まっていない将来のローン残高を計算しても銀行も結果に責任を持てません。
ただ「60歳時点のローン残高を試算して欲しい」とだけお願いしても、銀行から断られることもあります。そこで、スムーズに試算してもらうためには、自らが試算条件を提示して「目安を知りたいだけですから…」と伝えることをお勧めします。出来れば、急に飛び込みで、訪ねて行くのではなく、事前に電話で担当者に依頼しておく方がよいでしょう。
繰り上げ返済は期間短縮型を選ぶこと
繰り上げ返済とは、予定よりも前倒しでローンを返済する方法です。早めに返した分は全て、元金の返済に充当されて、その元金に掛かるはずだった利息をカット出来る効果があります。
繰り上げ返済には、毎月の返済額を少なくする「返済額軽減型」と、返済期間を短縮する「期間短縮型」がありますが、60歳までの完済を目的とする訳ですから、「期間短縮型」を選んでください。当然、利息の軽減効果も高く成ります。しかし焦ってしまい「繰り上げ返済のやり過ぎ」には注意が必要です。
人生において、予定外の出費が必要になる場面も多くあります。イザというときのために、すぐに動かせるお金をある程度は持っておくべきでしょう。一概に言えませんが、40代~50代の方ならば、最低でも500万円ぐらいは預貯金で持っておかれることが賢明です。
また50代の方ならば、老後の生活資金を蓄えていくことも必要不可欠です。貯蓄に回したお金を全て繰り上げ返済に使ってしまうと、老後資金を増やせなくなります。
繰り上げ返済をする場合には、貯蓄残高もしっかり増やしながら、ローン残高を減らすことが重要なのです。
繰り上げ返済は手数料に注意
繰り上げ返済には、原則として手数料が発生します。店頭で手続きをされますと1回の繰り上げ返済で3万円前後の手数料が掛かることもありますから、注意してください。 ネットバンキングで繰り上げ返済すると、手数料が無料になったり少額になったりする銀行もありますので、事前に自分がローンを借りている銀行の手数料は調べておきましょう。
こまめに繰り上げ返済したいのに、借入先の手数料が高いという場合は「毎月返済額の増額」を検討されるのもよいでしょう。 毎月1万円でも2万円でも返済額を増やしていけば、その分だけ返済期間が短く、利息負担は軽くなります。手続きも一度で済みます。
借入先との金利交渉も考えてみる
最初に言っておきたいのは、金利交渉は可能ですが、必ず成功するとは限りません。住宅ローンの借り換えには費用が掛かりますし、それなりの手間と時間も必要です。また金利交渉に成功しても、借り換えと比べると金利は若干高めに成ります。
但し、借り換える場合には借り換え先の銀行で新規にローンを組むための保証料や事務手数料などで数十万円掛かりますので、どちらが得なのか損なのかは一概には言えません。
金利交渉と借り換えには、それぞれメリット・デメリットがありますので、実際に見直す場合には、どちらの方法がより良いのか慎重に吟味することが肝要です。そのためにも、まずは今の借入先とは違う別の銀行で、借り換えの試算をしてもらい、借り換えに掛かる諸費用がいくら掛かるのかを具体的に把握することです。そして、借り換えの試算表をもらったら、それを持って今の借入先との金利交渉に臨みましょう。具体的な数字や条件を持って相手に交渉することをお勧めします。
なお、交渉時に「返済が苦しいから助けてください」というのは絶対にNGです。借入先も今後、しっかりと返済を続けてくれる「優良顧客」でないと、交渉には応じてもらえません。
最終的には、それぞれのコスト、掛かる手間や時間、見直し後のプランの使い勝手などを総合的に見て冷静に判断しましょう。(執筆者:桐山 一人)