前回まで書かせていただいた「金融リテラシー」に必要なものは何かのテーマをより進めたいと考えています。今回はちょっと、私なりにハッとした記事のことに触れさせていただきます。「金融リテラシー」を再確認できる事例です。
私(佐賀の住人)は地方紙「佐賀新聞」の愛読者なのですが、全国紙、特に「日経」などをお読みの方には申し訳ありません。そんな地方紙のこと知るかと思わないでください。故郷の自慢話で恐縮ですが、そこの「有明抄」という連載記事は秀逸だと思っています。私もこういう風に書けたらさぞかし気分も良いだろうなあと自分の寄稿文に対する真剣度の欠如を反省しております。ちょっと、話が逸れました。本題に入ります。
この新聞の7月6日付け掲載記事で「経営トップの発言集」の中に、我が国最大手の証券会社会長のコメントに私は違和感を覚えました。最初の出だしはこうです。
「株式や投資信託への投資を身近にするため、金融知識のPRに力を入れると強調する」とのことで、私の啓蒙活動の目的と同じで役に立っている自分が報われた思いがしてうれしかったのです。会長も良いことを言ってくれていると後の文を読み続けました。
「NISAは3月末で総額1兆円を超え滑り出しは順調。一方、利用者は高齢者が大半を占め、若年層はリスクの低い貯蓄に向かいがちだと嘆く。投資は不確実性へのチャレンジ。日本社会に根付かせたい」と。
最後まで読んだ私はどうも納得ができなくなりました。会長は何か勘違いをしているのではないでしょうか?「ハイリスク・ハイリターン」でも目指せというのでしょうか? 「金融リテラシー」の基本は無駄なリスクはとってはならないはずです。以前も「貯蓄から投資へ」というスローガンが強調されました。同じ考えの金融知識PRでしたら私は反対です。
バブル絶頂期の1989年当時、今思えばおかしなことでしたが株式の評価の新しい尺度でバブルを煽った張本人たち(私を含めて)は十分に反省にたって行動を起こす時ではないでしょうか?
今度こそ、本当の「金融リテラシー」の普及に努めようではありませんか! その際、知識ではなくモノゴトの考え方を伝えなければならないと思うのです。最近、ある国のリーダーにもそのような考え方をお持ちではないかと疑うことがしばしばです。みなさんどうですか。(執筆者:岩永 充)