現在、日本人女性の平均寿命は86.6歳に達し、世界一の長寿国となっています。一方で医学的には、女性は生涯を通じての女性ホルモンレベルの変化が心と体に大きな影響を与えており、起こりやすい疾病も変化する傾向にあるようです。
このような年齢とともに変化する女性特有の健康リスクに対して、十分な知識と資金的な備えをしておくことは、充実した生涯を送るうえで大変重要なことです。
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それぞれのライフステージでの女性特有の健康リスクとは?
生命保険会社による女性の入院給付金の支払件数ランキングをみると、35歳までは切迫分娩や流産、帝王切開など妊娠・出産関連が上位を占めていますが、36~50歳になると、子宮平滑筋種や乳がん、子宮頸がんなど女性特有の疾病が上位を占めるようになります。
さらに、51歳以上では白内障や関節症、各種がんなど老化に伴う多岐に渡る疾病が発症しますが、ここで注目すべきことは65歳以上の女性の認知症患者数が男性の2倍近くに上ることです。
まず、こうしたそれぞれのライフステージでの女性特有の健康リスクを理解したうえで、定期的な検診等を受けるとともに、保険や貯蓄による資金的な備えをしておくことが重要だと考えます。
働きながら治療しているがん患者は女性の方が多く、年齢も若い
女性の生涯がん罹患率は約43%と、男性の58%に比べて低いものの、54歳までは乳がんや子宮頸がんを中心に女性の罹患率の方が高く、30歳代に限れば男性の約3倍に上ります。
厚生労働省の調査によれば、働きながら治療している人は男性の約14.4万人に対して女性が約18.1万人と多く、年齢も男性の60歳代に対して女性は50歳代が最も多い状況です。
医療技術の向上で死亡率が減少する一方、 公的医療保険ではカバーできない医療費やQOL(生活の質)を維持するための様々な費用を念頭に入れておく必要があります。
資金的な備えとして、医療保険やガン保険にいずれ入るつもりならば、加入年齢時の保険料が払込終了まで変わらない終身保険にできるだけ早く入る方が、保障期間や支払保険料総額、加入前の病気やケガで加入出来なくなるリスクなどの点から優位性が高いと言えます。
独り暮らしの女性高齢者の増加と介護リスクへの対処
また、世界一の長寿である日本人女性に認知症を含む介護リスクが増加する一方で、今後の少子高齢化の進展を考えると、公的介護保険サービスはさらなる自己負担の増大とサービスの縮小が避けられないと考えておいた方が良いでしょう。
一人暮らしの女性高齢者が増加していくなかで、介護に対する身体的及び金銭的リスクにどう対処するかは、自分の生き方だけではなく、親族との関わりも大きいため、自分の今後の生活環境を考慮したうえで準備することが大切です。
資金的な準備として民間の介護保険を考える場合、介護になるかならないかではなく、介護の負担を軽くするための一助として、自分がヘッジしたいリスクの範囲での活用を考えれば、保険料負担を抑えることは可能だと思います。(執筆者:青沼 英明)