目次
1. 日本人の平均寿命、生存確率からライフプランを考えてみる
老後生活資金はいつまでに、いくら貯めておけば安心なのか? 不安を抱える人も多いと思う。
脆弱な日本の年金制度を考慮した上で、長い老後に備えるためには自己責任による資産運用が必須アイテムなりそうだ。
日本では、老後生活資金という観点から考えれば、女性の95歳を基準に、ライフプランを立てなければいけない時代に突入したと言える。
2. 老後生活費はいくら必要なのか?
一般的に世帯主が退職時に少なくても3,000万円が必要と言われているが、はたして3,000万円は十分な金額だろうか?
総務省の家計調査によると、現在のリタイアメント世代の夫婦が老齢年金だけで賄えない金額の平均が月々6万円弱。つまり、金融資産を毎月6万円取り崩しているのが現状。
ところが、10年以上後に老齢年金を受給する世代では、年金受給額は減額され年金保険料から引き落としされる介護保険料も今後上昇する可能性が高い。そう考えれば、金融資産取崩額は毎月10万円程度で考えるのが妥当だ。
例えば65歳時点で金融資産が3,000万円あったとしても、毎月10万円を取り崩せば90歳で枯渇。女性の生存率から考えて、妻の約半数は生存しているという状態で生活資金がなくなってしまうのだ。65歳時点で4,000万円あれば、95歳時点で約300万円が残るという計算。

3. しっかりとした資産運用計画と実行が老後生活費確保の鍵だ
必要な老後生活費の確保をつきつめて考えれば、老後資金を預貯金だけに集中させるのではなく、若い時期からしっかりした資産運用計画を立て、運用を始めておくことがリスク対策もなる。
例えば、30歳から毎月積立型投資信託を4万円積み立て、年利回り3%で運用できれば、65歳時点で3,000万円弱になる。中小企業の退職金の平均額が約1,000万円超なので、合計で約4,000万円が確保できる。
年利回り3%を確保するためには、株式も含めたグローバル投資が鍵を握ることになる。
例えば、日本株、日本債券、外国株、外国債券というポートフォリオで1990年~2013年までの年利回りを円ベースで試算すると、4.3%。
この期間はリーマンショック、長期の円高、デフレを経験しているが、資産分散されたポートフォリオによる長期運用、しかも毎月積立型にすることによって時間的な分散までやっておけば、3%以上の年利回りを確保することはそんなに難しいことではない。
最近の日本における投資信託は、かなり顧客志向が高い商品もあるので、初心者でもハードルは高くないと言える。
まずは、販売手数料がかからない(ノーロード)もので、信託報酬の比率が低いインデックス(指数に連動するという意味)ファンドからスタートし、徐々に感覚を掴んで次なるステップに進んでいくという手順だ。(執筆者:釜口 博)