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NISAの制度も始まって一年過ぎましたが、まだ実際口座は作っても投資行動を実行されている方は少ないようですね。
行動をおこせない一番の理由として「どうやって銘柄を選んでいったらわからない(涙。」というのが多いようです。ここからは長期スタンスの株式投資をする上でぜひ知っておいてほしい指標のお話をしたいと思います。
目次
機関投資家も必ずチェックするPERとは?
幣事務所ではファイナンシャルプランナー資格を取得するための合格対策講座も開催させていただいていますが、受講生徒さんがかならず「資産運用設計」で一回つまずくのがこの横文字。
PERとはPrice Earnings Ratioの略ですが要は「企業の税引き後利益を発行済み株式数で割って一株当たりの利益を出し、その株価が何倍まで買われているか? と示す指標。」と教科書通りにいっても投資初心者の方にはチンプンカンプンかもなので、以下たとえを出します。
PERを男子へのバレンタインデーのプレゼントに例えると…
あなたはいいなと思っている男子に(ただし候補は二人)にバレンタインデーのプレゼントに3万円のブランド物の財布を買ってあげました。ここで愛は抜きにして(笑)。
A夫くんは堅実に大学を出て一流商社企業に入社内定。入社お祝い金もあるし、ホワイトデーには入社後の勉強もかねてアジアの海外旅行に連れて行ってくれるとのこと。B夫くんも同じ大学出身だけれど地元の中小企業に入社決定。ホワイトデーには卒業旅行かわりに国内温泉旅行に連れていってくれるとのこと。
金額ベースでいうとA夫くんは3万円の投資に対して20万円相当のお返し。B夫くんは3万円の投資に対して5万円相当のお返し。そして生涯年収の違いは……!?
愛があれば(?)B夫くんでもいいのかもしれません。しかしながら投資の世界ではA夫くんに投資効率は軍配があがってしまいます。冷たいようですが、シビアなお話です。(汗
企業への投資金額に対して将来予測収益がより多い方が効率的という考え方。(収益がよければ配当が増える可能性もあるし株価も上がる可能性もあるわけです。)これから大きく成長する可能性がある銘柄を見つけるPERの活用の考え方の一つです。
また、このPERはまだ投資家が発掘できていない大穴の銘柄を発掘するのに使ったりもします。長期投資をする上で是非活用してほしいと思います。
経験的にまだ世の中に気づかれていない優良企業(決算をちゃんと検証して)が安値で放置されていることがあります。株価はいつも合理的ではなく人気投票や需給関係などでも値段が決まります。なにかのきっかけでその銘柄が人気化した時に見直し買いが入ったりして急騰することもあるかもしれません。以下PERを活用した投資の銘柄選択の上で注意した方がいい事をお伝えします。
PERを投資指標にする上で注意すべきこと
このPER中々奥が深いのですが、業種や時期によって大きくでたり小さくでたりします。基本的には比較して数字の低い方が割安なのでお買い得ということにはなりますが、注意しなくてはいけないのが下記二点です。
1. 銘柄検討する場合は同業種で比較すること。
業種によってはPERの数字が高く出やすい業種があります。たとえばIT系などの成長産業(ITバブル時は200倍とかあったりしました)。まだ黒字が出ていない急成長企業でもこういう傾向になったりもします。
あと高PER銘柄は人気があってお金が集まっている状態ではありますが、いわゆる高値圏内にいて高値掴みするリスクもあったりするのでいわゆるバリュー投資家(割安な株を安値で買ってじっと待つ投資手法。あんまり頻繁に売り買いしない。投資家はウォーレンバフェットが有名)にとって魅力はないでしょう。
また、成長シナリオが描きづらい電力、ガスなどのインフラ関連銘柄は低く数字がでる傾向があります。自動車メーカー等の製造業も好不況で決算数字内容がものすごく動くので、逆に利益のでない在庫をかかえてPERが高い時期の株価のときの方が相場底入れのタイミングだったりすることもあります。PERをうまく活用するには自分が物色したい業種別の傾向をじっくり研究する必要があります。それ位、研究できたらバフェットみたいに「買ったら忘れろ」といえるかもしれませんね。
2. あまり低すぎるPERにも注意。
PERがとても低いからといって飛びついてはいけません。
あまりPERが低すぎると対象銘柄企業の決算内容に疑念が生じている可能性があったり、そもそも衰退産業でもうからない業態だったりして成長がみこめないためババつかみというリスクもあります。PERの数字のみに頼らず業種の将来性の現況等は四季報等できちんと確認しておく必要があります。
割安株の水準訂正見直し相場循環物色となるとPERで割安な銘柄は買われやすくなります。これから本格的な決算期で業績(利益)が市場想定よりいいと逆に同じ銘柄でもPERは数字が下がりますので株価の買い材料になりやすいと思われます。あとは安値で放置されてご自身が狙っている銘柄の人気に火がつくためのシナリオが描けるか否かというところでしょうか。
PERの基本的なお話をわかりやすくお伝えできたでしょうか?
NISAは5年の間に利益を出すとその利益には非課税という制度なので是非この知識も今後くるかもしれない業績相場のために活用してくださいね。次回は多面的に銘柄選別を分析するためにPBRについてお伝えしたいと思います。お楽しみに♪(執筆者:真多 美恵)