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しげちゃんと中島は、深堀から紹介されて公証人役場に来て、公証人に相談している。少しだけ公証人いついて、紹介をすることにする。公証人は、裁判官、検察官、弁護士あるいは法務局長など司法書士など長年法律関係の仕事をしてきた人の中から法務大臣から任命されてなることが出来る。
私が住まいを担当させていただいた公証人の先生は「私は、検察官時代は鬼の〇〇と呼ばれていましたが、妻から、あなたは公証人役場で仕事するようになって顔も性格も柔和になったと言われるんです」と嬉しそうに笑っている方でした。
さて、二人が公証人役場に来た目的は「公正証書遺言」を作成する相談です。
先生。二人とも遺言書を作成したいので、教えてください。よろしくお願いします。
お二人のことは深堀さんから聞いていますので早速具体的な話をしましょう。お聞きになりたいことはありますか?
先生。遺言書はいくつか種類があるようですが公正証書で作成する方がいいんですか?
そうですね。遺言の種類としては、3つほどあります。
(1) 自筆証書による遺言
(2) 秘密証書による遺言
(3) 公正証書遺言
この表でご説明します。
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(1)は、自分で遺言の全文と日付を全て自分で書く事になります。自筆が原則ですからパソコンで書いたり他人に書いて貰ったものに署名しても有効とはなりません。
(2)は、遺言者が遺言の内容を書いた書面に押印して封筒に入れて、同じ印で封印しておけばよいです。パソコンで作った文章でも他人に書いて貰っても問題ありません。
先生。それぞれのメリットとデメリットを教えてください。
(1)のメリットは、遺言の内容を誰にも知られないことです。デメリットとしては遺言者の死亡後に家庭裁判所に申し出て検認という手続きをする必要があります。争族になると本人の署名かどうかといった鑑定までしなければならないケースもありますし、内容の不備で遺言書として認められない場合もあります。酷い場合には、発見者が隠してしまう事さえあります。
公正証書遺言のデメリットは、お金がかかる事です。メリットは、公証人が作成しますので家庭裁判所での検認は不要です。そして、遺言書は正本と謄本を遺言者にお渡しして、原本は半永久に公証役場で保管しますので紛失したり、改ざんされたりする心配がありません。
勿論、作成した後に再度作り直すことは可能です。その場合は、作成日付の新しいものが有効となります。
公正証書を作成する場合には、二人の証人が必要となりますが、適当な人がいない場合には司法書士などをご紹介しています。その場合は一人3万円位の費用が掛かります。
証人は誰でもなれるんですか?
例えば、私達夫婦が中島の公正証書の証人になれるのですか?
はい。証人は普通に社会生活をしている成人なら誰でもなることが出来ます。ただし、配偶者や相続する予定の人はなることが出来ません。
先生。ありがとうございます。良くわかりました。もう少し教えてください。
妻と遺言のことで話したんですが。妻も遺言書について勉強しているので言い分があるそうなんです。私も言い分があります。
遺言を作成するなら公正証書遺言にして。
全ての財産を妻に相続させると書いて。
執行人は妻にするとして。
夫の言い分としては
手続きが面倒だから自筆証書遺言の方が簡単。
妻と子供たちで法定相続分で分けて貰えるようにしたい。
全部妻に相続させるとする公正証書遺言は無効だと思う。
などでしたが、今日の先生のお話をお聴きして、公正証書の方が簡単だと感じました。
妻の希望である「全ての財産を妻に相続させる」という公正証書は作成できるんですか? 遺留分の問題はないのでしょうか? そして、執行人って何なのでしょうか?
公正証書遺言は、私が遺言者のお話をお聴きして文章にしますから簡単です。そして、遺留分を侵害している遺言も作成する事は可能です。奥様は大変勉強されていますね。公正証書遺言があっても執行人が決まっていないと、家庭裁判所に決めてもらうことになり、手数と時間がかかります。
公正証書で執行者を指定しておくと色々な事務処理をスムーズに取り運ぶことが出来ます。お子さんがいても全ての財産を妻に相続させるという遺言は最近増えています。相続後に必要に応じて奥様から贈与する方が円満な関係を継続できると考える方が多いようですし、実際にその方がうまくいっているそうです。
先生ありがとうございました。費用についても教えてください。
財産の額によって費用は違ってきますが、不動産がご自宅だけというケースなら公正証書を作成する場合は、5万円程になります。証人はお互いのご夫婦でなることが出来ればその分もコストを削減できますね。ご用意頂く書類は、このパンフレットでご確認ください。公正証書遺言を作成する事になったら予約をしていただきお越しください。
おしまい。(執筆者:岩宗 繁樹)