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不動産で重視されるものの一つに利便性があります。都心から近いこと、駅から近いこと、スーパーが近くにある、といった通勤や生活の利便性が高まるほどに、不動産価格が高くなる傾向があります。
しかし、利便性が高いのに不動産価格が低い地域があります。それがいわゆる「下町」です。下町は都心の近くであるにも関わらず、「山の手」と呼ばれる地域よりも格段に安い値段で、不動産の取引が行われています。
その理由は簡単です。どんなに利便性が高くても、治安を始めとする「安全性」が劣っていると見られてしまうからです。モデルルームの見学に行った際、路上にタバコの吸い殻が散乱していれば、「この街に住むのは嫌だな」と思うのは当然でしょう。
同様に、皆さんが今所有している物件の周りにゴミが散乱していたり、重大な犯罪が頻発していれば、当然、不動産価値が低くなってしまいます。自分が判断してきたように、他人も判断しているからです。
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では、どうすれば将来の不動産価格を維持することができるのでしょうか?
それは簡単な話です。日頃からPTAや町内会といった地域活動をしっかり行っておけば良いのです。
地元の小学校で育った子供たちが、街を汚したり万引きし続けるような形で育っていけば、将来の安全性を低下させることになります。逆に、しっかりとした教育環境の下で伸び伸びと学んでいけば、地域を守るような人材に育ってくれるはずです。つまり、地域の子供たちの教育環境を整えるため、お子さんが通っている学校のPTA活動へ積極的に協力することが「お得」なのです。
加えて、普段から町内会で協力していれば、窃盗や暴力事件を起こしづらくなります。すれ違う人たちが「おはようございます」と声を掛け合うような地域では、よそ者の空き巣がウロウロと獲物を物色することが難しくなるからです。よって、町内会で行っている「夜回り」も、犯罪防止に大きく役立っていると考えられます。
貯蓄が日々の積み重ねであるように、資産価値の維持・向上も日々の積み重ねになります。「自分だけ…」という考え方では、将来の自分の財産を守ることができません。年度がかわる今、あらためて資産形成のために「自分ができること」を考えてみましょう。(執筆者:小山 信康)