マイホームを購入するに当たり、皆様は当然予算を組んでいると思います。
しかし、実際にモデルハウスを観たり、打ち合わせなどしているうちに、ついつい予算オーバーなんて事も多々あると思います。
一生に一度の大きな買い物、後悔したくないという気持ちはわかります。でも「ついつい高くなっちゃった」のつけは意外と大きいのです。
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目次
購入価格だけでは済まない
住宅購入の際、諸経費・税金も付帯発生します。この諸費用の内、購入価格にパーセンテージを掛けて発生する費用が実に多いのです。主なものを見てみましょう。
消費税 登録免許税(抵当権) 司法書士報酬
火災保険料 団信保険料
*延べ床面積など、固定資産税評価額に影響する場合、登録免許税(保存登記)、住宅取得税、固定資産税にも影響が出ます。
仮に土地1000万円、建物2000万円→2500万円にUP フラット35で借入金3500万円を、金利1.46%の35年返済で借りた場合どうなるのでしょうか?
建築工事請負金の消費税 500万円×8% =400,000円
住宅ローン金利 500万円上乗せ分 =約138万円
ローン事務手数料 500万円×2.16%(税込)=108,000円
火災保険料 500万円上乗せ分 =約9万円
機構団信保険料 500万円上乗せ分 =約37万円
建物の抵当権設定登記 500万円上乗せ分 = 50,000円
合計 =約251万円
*この他、司法書士報酬がかかります。
500万円の予算オーバーのつもりが、約750万円のオーバーになるのです。この金額は月々約18,000円の家計負担となって、35年もの間、節約すべきお金として付きまとうのです。
行動経済学の3つの罠
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では、なぜ「思ったよりも高くなっちゃう」のでしょうか?
大きく分けて三つの要因があります。
一つ目は営業テクニック。最初に高額な商品を提案されると、その金額を基準に考えてしまう(アンカリング効果)や、3つの価格帯を提案されると真ん中を選んでしまう(極端性回避・松竹梅の法則)によって、高額商品を選ばされてしまいます。
二つ目は一生に一度という気負い。この気負いが、(後悔回避)や(希少性の法則)となって、高額商品を選んでしまいます。
三つ目は(感応度逓減性)。人は金額が高くなるほど感情度合いが減っていくそうです。例えば、割引商品で100円と90円の差は敏感なのに1,000円と990円の差はあまり感じないものです。普段は10円20円を節約していても、住宅購入では感覚がマヒし、100万円単位で考えてしまうのです。
家計の見直しで、効果は大きいが…
家計の見直しの際の優先順位として、
2. 効果が持続するものから
3. 我慢が不要なものから
と言うものがあります。
住宅ローンがまさに最優先すべき見直し対象となります。
しかしながら、見直しし辛いのも、住宅ローンです。住宅ローンの見直しは、金融機関との交渉事です。
ローンの借り換えには、効果が出るための金利差が必要ですが、いつでも低い金利に借り換えられる訳ではありません。
繰り上げ返済で見直し効果を出すためには、ある程度まとまったお金が必要ですが、最初から予算オーバーのローンを組んでいては繰り上げ返済資金を貯めることができません。
見直しも必要ですが、できれば後でローンを見直すよりも、最初から住宅購入は予算内で納めることが重要なのです。そのためには、行動経済学の罠に負けないよう、あやふやではなく、きっちり予算を組みましょう。(執筆者:田島 稔之)