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給料が少ない、増税や相次ぐ値上げによって支出が増えた、という人の中には、「毎月の生活はカツカツもしくは赤字」という人も少なくないと思います。
皆さん「もっと家計管理をきちんとして貯金もしなきゃ!」という意識はあると思うのですが、どうもなかなかうまくいきません。
その理由は、逆説的ですが、「家計が火の車だから家計管理ができない」と言うことができます。
普通は、「赤字家計を改善するために家計管理をする」と考えるものですが、今回は、「家計管理をするために赤字家計を改善する」という方向で、赤字家計の何がそんなにダメなのか、お話ししたいと思います。
「やりくり」が複雑だから挫折する
家計管理、つまり「お金のやりくり」は、家計にゆとりが無いほど大変になります。お金にゆとりのある家計では、家計管理も楽ちんです。
家計にゆとりがあれば、ほとんど「機械的に」、家計の管理ができます。ざっくりと計算して、引落はそれぞれの銀行に多めに入金しておくだけでOK。貯蓄分も、毎月一定額を自動で入金すればそれだけでOKです。
ところが、家計にゆとりが無い場合は、「A銀行には16,545円、B銀行に65,789円入れて……」と、1円単位まできっちり計算してから入金しなければなりません。アバウトに、多めに入れてしまうと手元に残るお金が少なくなるため、シビアにきっちり管理していかないといけないんですね。
そして、貯金しようにも月によって入金できる金額が変わってしまったり、たまに「生活費が足りないから貯金から1万おろそう」なんていうことになってしまいます。
さらには、赤字家計だと光熱費や保険料の引落ができずに、「今月は2か月分だから……」とイレギュラーな計算も多々出てくることがあったりして、ますます家計管理をややこしくしてしまっています。
家計にゆとりが無いほど家計管理が複雑で面倒になり、家計管理が十分にしきれない。家計管理が上手くいかないから一向に家計にゆとりが出ない……という悪循環に陥ってしまうと言えるでしょう。
カツカツ家計を改善しよう!
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この悪循環を断ち切るために多くの人が実践するのが「家計管理をきっちりする」ということなのですが、前述のとおり、ゆとりが無い家計を管理するのはとても大変です。
そのため、まずは「きちんと家計を管理する」ということは置いておいて、とにかく赤字にならないように、ゆとりを持って生活できるように一時的に、集中して支出を減らすことを考えてみましょう。
とにかく、支出を減らすんです。
赤字具合にもよりますが、「毎月カツカツで……」という人なら、1か月間とにかく「ケチケチ生活」と言えるぐらい支出を減らすよう努力してみるだけで、一時的にではありますが家計にゆとりができます。家計にゆとりができれば1円単位で細かくやりくりしなくても簡単に家計管理ができるようになり、家計の見直しもやりやすくなります。
「保険料や光熱費の未納が少し溜まっている……」という人でも、3か月間程度「とにかく支出を減らす」という方法を実践することによって、家計のマイナスをリセットできるでしょう。
カツカツ家計の人が家計を管理しようとすると、計算しなければならない項目が多くて、挫折しやすいものです。そのため、「細かいことは考えず、とにかくお金を使わないようにする」というアプローチに変える効果は大きいはずですよ。(執筆者:吉見 夏実)