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読者のみなさんは日銀の「バランスシート」なるものをご覧になられたことはありますでしょうか?
前回に続き「バランスシート」の重要性に注目したいと思います。日銀のホームページをみれば、簡単に確認できますので一度は見ることをお勧めします。
最近話題になっている事柄で『日銀の異次元金融緩和』というものがありますが、今回そのことの是非を問うことが主眼ではありません。ただ、素直に「バランスシート」を見てほしいのです。異次元の金融緩和前と後を比較してほしいのです。
2013年4月4日に第1回目金融緩和、2014年10月31日に2回目金融緩和がおこなわれました。そこで、2013年3月31日の資産合計は164兆円だったのに対して、現在(2015年7月10日)は348兆円と2.12倍の拡大となっています。
この事実をみて、みなさんは驚かれないでしょうか?
前回の寄稿文をお読みいただいた方でしたら、「なぜ、こんなことができるのだろうか?」と疑問に思われるはずです。そうでないなら、『資産運用』を資産増大の目的とコミットしていないことになります。
日銀は資産売買を通じた売買益で資産増大を諮っているのでしょうか?
違うはずです。こんなことがどうして日銀にはできるのでしょうか。2年ほどの期間でこれだけの資産増加をもたらす『資産運用』とはすごいことだと思われませんか? それとも、一笑に付すだけでしょうか?
そこで、私は日銀にはあって私たちにはないものを探してみたのです。その結果、一つの言葉にぶち当たりました。それは、「シニョレッジ(通貨発行益)」というものです。
この聞きなれない言葉を深く理解することによって日銀の本質を見抜けると気づいたのです。このことは『金融リテラシー』が「資産運用」を革新するに繋がるものでした。中央銀行の歴史、マネーの本質など『金融リテラシー』を学ぶことがたくさんありますがいかに本質を問うかが大事なことなのです。売買益を追及することが「資産運用」だという間違った風潮は早くなくすべきです。
ここでは、ダイヤモンドオンラインの「高橋洋一の俗論を撃つ!」の第一回、第二回の投稿文をお読みくださることをお勧めします。「バランスシート」を図解しながら、「シニョレッジ」の解説、中央銀行の役割が明確に記載されています。(執筆者:岩永 充)