生命保険協会の「生命保険の動向2014年版」によると、平成25年の新規契約件数で、医療保険が種類別加入件数トップになりました。新規契約の1/4以上(26.6%)が医療保険だそうで、すっかり保険会社の主力商品となっています。
しかしながら、最近の医療技術の進歩や、国策として予防医療重視を考えると、医療保険への加入はベストな選択ではないと考えます。
つまり、保険に入る事だけでなく「将来の医療費を自分で積み立てる事」も考えてほしいのです。
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医療保険では全てをカバーできない
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民間保険会社の医療保険は、給付条件が細かく設定されているため、
かかった医療費のすべてを保障してくれるわけではありません。たとえば入院給付金。日帰り入院から対象としているものもあれば、一泊二日の入院からを対象としているものもあります。医療技術の進歩により、入院を伴わない日帰り手術もありますので、この場合入院給付金は出ません。
給付条件が緩ければ緩いほど保険料は高くなりますので、すべての医療費を保険でカバーしようとすると、保険会社の経費や利益が上乗せされる分、自分が積立てるより割高になります。
ただし、保険は加入したその日から保障されるため、医療費を積立てる時間の節約になります。(保険のメリット)
新卒社会人なら28年の積立準備期間がある
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厚生労働省発表の「平成24年度国民医療費の概況」によると、1年間にかかった医療費の3/4以上(76.7%)が、年齢50歳以上の方の医療費です。
年齢階級別 国民医療費の構成割合
0~4歳 3.2% 30~34歳 2.4% 60~64歳 9.9%
5~9歳 1.8% 35~39歳 3.1% 65~69歳 10.0%
10~14歳 1.4% 40~44歳 3.6% 70~74歳 11.8%
15~19歳 1.1% 45~49歳 3.8% 75~79歳 12.4%
20~24歳 1.3% 50~54歳 4.5% 80~84歳 10.8%
25~29歳 1.8% 55~59歳 5.9% 85歳以上 11.4%
もしもあなたが新卒社会人なら、本格的に医療費が必要になる50歳までの28年間、お金を貯めることができます。ちなみに月々6,000円を積立てると、28年間・元本だけで200万円以上貯金できます。月々6,000円は保険料として支払っていてもおかしくない金額です。
サラリーマン・公務員は保障が充実
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サラリーマンや公務員の加入する健康保険には、
「傷病手当金」の支給があります。
傷病手当金とは、病気やけがで療養し、仕事に就けないため賃金がもらえなかった場合に、標準報酬日額の2/3相当額支給される制度です。つまり収入保障保険のようなものです。
その他、有給休暇も利用できますし、通勤・勤務中の事故であれば労災保険も適用になります。サラリーマンや公務員はこの間を利用して、まとまったお金を貯めることができるのです。
積立目標額は150万円~250万円
では、いったいいくら貯めればいいのでしょうか?
その答えは「高額療養費制度」にあります。
この制度、保険扱いにおける医療費の自己負担分が1か月に8万円+αを超えた場合、その差額分を返金してもらえる制度です。しかも1年の間に4回以上高額療養費に該当すると、4回目からは自己負担44,400円を超えた部分が高額療養費になります。
つまり、年間医療費の支出限度額は約67万円になります。2年間で約134万円、3年間で約201万円の支出となります。高額療養費の対象とならない入院食事代や差額ベッド代分も加味し、2年~3年分の医療費150万円~250万円が準備できれば、当面は安心ではないでしょうか。
これ以上の額を貯めこむよりは、老後を楽しむ為にお金を使った方が有意義だと思います。
お金が無いから入る保険
では、自営業者や扶養家族など、サラリーマンや公務員でない方はどうすればいいのでしょうか?
その場合、定期医療保険に加入してください。定期保険は安い掛け金で高額な保障を得られるのが特徴です。定期保険はお金が無いから入る保険です。掛け金が安い分、終身保険料との差額を医療費用貯金に回せます。お金が貯まるまで、定期保険に加入していればいいのです。
医療保険は死亡保険と違います。確実に入院するとは限りません。そのうえ保障内容が複雑で、10年20年と経つ内に医療技術の進歩で、入院期間が短くなったり入院自体必要としない手術が増えたりと、契約内容が時代遅れになり、保障内容が無意味になる可能性が大きいのです。
医療リスクに備えるのは、あくまで自己負担(医療費積立て)をメインに考えましょう。(執筆者:田島 稔之)