高齢者が自宅で生活する上で非常に重要になってくること。それは、住環境です。
昔ながらの家ですと玄関の上がり框があったり、段差の数は底知れずです。今でこそ、バリアフリー住宅が注目されていますが、昔ながらの家に住んでいる高齢者にとっては、自宅では常に危険と隣合わせな生活を強いられています。
それに対応すべく、介護保険では住宅改修といって介護保険の限度額内で自宅を改修するサービスがあるのです。
「住宅改修」の利用条件
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では、介護保険の住宅改修とは一体どのようなサービスなのか?
介護保険の住宅改修は、介護保険の認定を受けている方なら誰でも利用できるサービスです。
例えば、介護度が低い要支援1の方でも限度額内であれば利用することができます。介護保険には介護度に応じて決められた限度額の範囲内しか保険が適用されません。しかし住宅改修に関しては、この介護度の限度額とは別に介護保険で20万円まで改修費として利用することができます。
これは、1人につき20万まで利用することが出来る為、同居している夫婦がそれぞれ介護保険を利用している場合、同じ家にそれぞれの介護保険で計40万の改修まで行うことができるのです。
「住宅改修」のリセット
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高齢者の状態は日々変化しています。そういった中で、最初は要支援1の認定を受けていた方が既に自宅を改修した後に、骨折や病気で大きく状態が悪化した時など
介護保険の認定されるランクが3つ以上上がった場合には、改修費のカウントはリセットされる為、利用者の身体状況に応じて、更に住宅改修を利用することができるのです。
ここで注意して欲しいのは、介護保険にはそれぞれ要支援1、2と要介護1、2、3、4、5の計7段階存在するのですが、ここでいう3ランク上がる時は要支援2と要介護1はそれぞれ同等とみなされるのです。
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つまり、要支援1の方が住宅改修費をリセットする為には要支援2・要介護1は同等とみなされるので、要支援2になろうが要介護1になろうがランクは1つしか上がりません。なので、要支援1から3ランク上がった介護度は要介護3になるわけです。
要支援2と要介護1は同等の扱いなので、この2つの介護度であった場合、住宅改修費をリセットする為には要介護4の認定を受ける必要がああります。
このように介護度が3ランク上がった場合には改修費はリセットされるのです。また、これ以外の住宅改修費のリセット条件としては転居した場合も改修費はリセットされることになっています。
このように、改修費に関しては色々な決まり事があり、高齢者の生活に大きな役割を果たしています。高齢者の自宅生活の転倒リスクの軽減には住宅改修は必要不可欠なサービスになっていることは間違いありません。
今後も、この住宅改修の需要は更に増加していくと私は思っています。(執筆者:西村 馨)