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芥川賞作家、羽田圭介さんの節税術
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先日ラジオのニッポン放送を聞いていたら、今年芥川賞を受賞した羽田圭介さんがパーソナリティを担当する、「オールナイトニッポンGOLD」という番組が放送されておりました。
この番組の中で特に興味深く聞かせていただいたのは、羽田さんがゲストの森永卓郎さんに対して、お金に関する悩みを相談するコーナーになります。
年収がいくらになったら税理士に頼むべきか、また年収がいくらになったら法人化した方が良いかなど、かなり具体的な相談をしておりました。
また節税についても相談しておりましたが、すでに羽田さんは節税のため、小規模企業共済と個人型の確定拠出年金に加入しているそうです。
しかも現在はかなり儲かっているようで、小規模企業共済は毎月7万円、確定拠出年金は毎月6万8,000円と、どちらについても法律で定められた上限まで、掛金を拠出しているそうです。
ただ継続的に今のような年収が続くとは考えておらず、再来年くらいには人気のピークが過ぎ、年収は下がるはずだと、冷静に分析しておりました。
こういった話を聞いて最近の芥川賞作家は、節税と老後の生活資金の準備についても凄いと思ったのですが、その理由は次のようになります。
掛金の調整がしやすい「小規模企業共済と確定拠出年金」
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小規模企業共済とは個人事業主や、小規模な会社の役員などの公的な退職金制度で、事業を廃止した時や退職した時などに、拠出した掛金の金額に応じて、退職金の代わりとなる共済金を受け取れます
。
ただ共済金は「一括」だけでなく、「分割(現在は年4回ですが、年6回に改正予定)」、「一括と分割の併用」で受け取ることもできますので、退職金の代わりだけでなく、公的年金の上乗せとして活用もできるのです。
一方、個人型の確定拠出年金とは個人が拠出した掛金を、自分で選択した金融商品で運用して、その運用実績によって給付額が決まる、公的な年金制度になります。
ところで老後の生活資金の準備に役立つ公的な制度としては、この2つの他に「国民年金基金」があり、こちらは個人型の確定拠出年金とは違い、給付額が確定しているので、いくら受給できるかという心配がありません。
・小規模企業共済
・確定拠出年金
・国民年金基金
この3つは拠出できる掛金の上限がある一方、年末調整や確定申告の時に、その全額を所得から控除できます。つまりその分だけ所得の金額が減り、それにより納付する所得税も減る可能性がでてくるので、節税に役立つのです。
3つの制度の違いは?
このような共通点がある一方で、小規模企業共済や個人型の確定拠出年金と、国民年金基金の間には、大きな違いがあります。
例えば個人型の確定拠出年金の掛金は、月額5,000円以上6万8,000円以内の範囲内ならば、1,000円単位で自由に設定できます。また小規模企業共済の掛金も、月額1,000円以上7万円以内の範囲内ならば、500円単位で自由に設定できます。
それに対して国民年金基金の掛金のうち、必ず加入する必要のある1口目は、加入時の年齢や性別で強制的に金額が決まるので、自由に設定できないのです。
羽田さんが節税のため国民年金基金ではなく、小規模企業共済と個人型の確定拠出年金を選んだのは、このような理由があるからだと推測します。
つまり人気のピークが過ぎて年収が下がった時に、掛金の調整がしにくい国民年金基金より、掛金の調整がしやすい小規模企業共済や個人型の確定拠出年金の方が、使い勝手が良いのです。
なお小規模企業共済の加入者は、拠出した掛金の範囲内で、経営の安定を図るための資金などを、「契約者貸付」を利用して借りることができます。
これは年収が大幅に下がった時の、セーフティーネットとして活用できますので、これも国民年金基金より小規模企業共済の方が、使い勝手が良い点になります。
掛金の通算がない「小規模企業共済」
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小規模企業共済と確定拠出年金の組み合わせの他に、
国民年金基金と確定拠出年金の組み合わせも考えられますが、これは節税的に効率が悪くなります。
その理由として個人型の確定拠出年金で掛金を拠出できる上限は、上記のように月額6万8,000円になりますが、国民年金基金にも加入している方の場合は、この掛金も通算するからです。
つまり個人型の確定拠出年金の掛金と、国民年金基金の掛金を併せて、月額6万8,000円が上限になります。そのためこの組み合わせの場合には、所得から控除できる金額は月額で、最大6万8,000円にしかなりません。
それに対して小規模企業共済と確定拠出年金の掛金は、通算しなくても良いので、小規模企業共済の7万円、個人型の確定拠出年金の6万8,000円を併せ、最大で月額138,000円を所得から控除できます。
羽田さんが個人型の確定拠出年金と国民年金基金ではなく、小規模企業共済と個人型の確定拠出年金の組み合わせを選んだのは、このような理由があるからだと推測しております。
芥川賞作家というとあまりお金に関心がなく、創作のことばかりを考えているイメージがありますが、羽田さんは一般人より節税と老後の生活資金の準備について、真剣に考えているようです。(執筆者:木村 公司)