介護保険には利用者の公平性を保つために「介護保険負担限度額」という制度が存在します。「介護保険負担限度額って何?」と聞きなれない言葉なだけに疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
ここでは、介護保険制度における「介護保険負担限度額制度」について簡潔に記述していきます。知っていれば活用できる制度なのでぜひご覧ください。
目次
「介護保険負担限度額制度」とは?
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介護保険には、介護保険3施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設)やショートステイを利用した長期・短期の入所サービスが存在します。そういったサービスを利用する時に発生する居住費や食費についての自己負担分を軽減する制度
のことを介護保険負担限度額制度というのです。
主な対象者は、低所得者となっているため、H27年8月より制度の利用にあたっては保険料を負担する方の公平性を保つために、一定以上の資産をお持ちの方に関しては利用者負担になるように制度が改正されました。
「介護保険負担限度額」を利用することでどのくらい安くなるの?
介護保険3施設やショートステイを利用すると介護保険サービス費1割の他に居住費・食費の自己負担分が発生します。その居住費・食費の自己負担分を所得段階ごとに費用負担の軽減がなされているのです。以下に所得段階に応じた利用者負担段階と負担限度額をまとめたものを掲載します。
※1日あたりの負担限度額
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※利用者負担段階
第1段階 世帯全員が住民税非課税で、老齢福祉年金受給者、または生活保護受給者
第2段階 世帯全員が住民税非課税で、合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以の方
第3段階 世帯全員が住民税非課税で、利用者負担段階が第2段階以外の方
第4段階 上記のいずれにも該当しない方
介護保険負担限度額を利用すれば上記のような金額になるのです。
「介護保険負担限度額」を利用するにはどうしたら良いの?
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この制度を利用するにはまず「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けなければなりません。交付を受けるには市役所へ申請書の提出が必要になります
。申請書を提出し世帯の課税状況や収入額・資産状況をみて判定がおり、認定後に交付される「介護保険負担限度額認定証」を利用する施設に提示すれば活用できる流れになるのです。
もし、申請書の記入方法やその他で分からないことがあれば、担当のケアマネージャーへ問い合わせを行うことをおススメします。
まとめ
介護保険には、上記のように利用者の公平性を保つための制度として介護保険負担限度額が存在します。確かに資産があればそこから活用して欲しいという国の考えもわかりますが、老後のために貯金したお金を「そっちから使ってね」と言われているようでなんともやるせない気持ちになるのは私だけでしょうか?
定期的な収入があればそれを判断基準にしても良いかもしれませんが、貯蓄に関してはそれを判定基準に入れることで老後の生活を困窮させる要因になってしまうのではないかと感じてしまいます。(執筆者:西村 馨)