自宅で何とかできていた高齢者の方が転んで骨折したまたは、急な病気で入院してしまった。それを機に介護が必要な状況に陥ってしまうケースは非常に多いです。
ですが、金銭的な面から施設は難しい、かと言って在宅で介護保険のサービスをフル活用したとしても在宅介護は困難だ。となった時にどのような方法があるのか。今回はそのようなケースに陥ってしまった時の打開策を解説していきたいと思います。
目次
入院を機に在宅生活が困難になるケース
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今の日本では在宅で独居生活をしている高齢者の人は大多数いらっしゃいます。在宅でなんとか一人で生活できていても、ひょんなことから在宅生活が困難に陥るケースはよくあることです。特に病気で入院してしまい、入院している間にADL(日常生活動作)が低下し、在宅で生活することが困難になるケースが非常に多いのです。
では、そのような人達はどうしたら良いのか。
まず、考えうる方法としては「何が問題で在宅の生活が困難なのか」、「何を補充すれば在宅での生活ができるようになるのか」を考え対策をとるということです。
例えば、元々歩けていた人が、入院して歩くのが困難でトイレに行くことができないから在宅での生活が困難だ。とすれば、介護保険を申請して、その中にある「特定福祉用具購入」のサービスを利用することでポータブルトイレを1割の自己負担で購入すればトイレの問題は解決します。その排泄したものを破棄するのは介護保険でヘルパーを利用し、破棄してもらえばいいのです。
もちろん、家族ができるのであれば、家族が対応することで介護保険費を抑えることができます。このように、在宅で生活するには何が必要になってくるのかを担当のケアマネージャーと考え、色々なサービスを充足する方法が1つあります。
在宅での生活が困難になってしまった場合
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上記のように在宅で介護保険のサービスを充足しても生活が成り立たない時には、
施設入所を検討する必要があります。
施設と言っても、色々な施設があるので本人の状態にあった施設を検討する必要があります。ですが、本人・家族が1番気になるのが施設費であると思います。
月の施設費を10万以下で抑えるならば、特別養護老人ホームまたは老人保健施設が所得段階に応じて10万以下で入居できます(入居には条件が多数あるので入所を検討するのであれば施設相談員と要相談です)。上記施設以外であればグループホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅がありますが、これらの施設費は10万以下のところはなかなか存在しないのが現状です。
医療依存度が高く、施設で対応してもらえないケース
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上記の施設でも医療の必要性が高い方に関してはなかなか受け入れをしてもらえないケースがあります。そのような方に関しては医療療養型病院か介護療養型病院への入院が必要になるわけですが、
介護療養型病院は国の施策で廃止傾向にあるため、この病棟は減少傾向にあります。
なので、検討しうる方法としては医療療養型病院になるわけです。
ですが、医療療養型病院も医療区分に該当しない患者様の受け入れは難しいのが現状です。吸引が必要な方や人工透析をしている方、酸素が必要な方etc…各条件があるのでそのどれかに該当すれば入院は可能です。しかし、国が定めている医療区分に該当しなければ療養型病院への入院は難しいのです。
ただ、病院に入院する時にかかる費用は医療保険になるので年金だけで生活している高齢者の方であれば、食事代も含めて大体ひと月に4~5万程度になるので施設費よりもかなり安くはなっているのです。
では「お金もない」、「在宅での介護も難しい」となった時どうすればいいのか
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あくまで、本人の状態にもよりますが、
生活保護を申請し、保護受給者でも入居できる施設を探すことができます。
ですが、生活保護受給者を受け入れている施設はそこまで多くないので、各施設へ要相談にはなります。もちろん受け入れには、施設の体制的に本人の状態で受け入れができるのか確認が必要にはなってきます。
また、有料老人ホームなどで月の負担額が8~9万円とかなりや安く設定している施設もあるので、各施設に相談して料金を確認してみることもおススメします。
まとめ
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お金がなく、在宅生活が困難になってしまうケースで次に療養場所をどこにすればいいのか悩まれる方は大多数いらっしゃいます。なので、各施設、病院には相談員が存在し、本人の状態に合った施設を検討し、相談には乗ってくれます。ですが
「お金がないから施設費が払えないけど、家では診れない」の一点張りだと療養先は見つかりません。
お金がないのであれば、家族がフォローして介護保険サービスを利用しながら在宅で診る覚悟をするのか、施設費を何とか工面するのか家族が考え決断しなければなりません。
もちろん公的な制度で生活保護制度などが存在するので、そういったサービスを利用することも1つの手ではあります。ですが、保護制度も家族に扶養能力があると判断されれば受給はできません。となると、上記でも記述したように家族が頑張って在宅で診るのか、お金を工面して施設へ入居するのか選択をしないといけないのです。
「お金がないから施設費は出せないけど、在宅では診れません」となってしまってもそれを「どうにかします」という施設、病院は存在しません。そこは家族が悩んでどうにかしないといけないのです。そのための相談窓口はいくらでもあるので、家族が足を運んで策を考えなければいけないのです。(執筆者:西村 馨)