2015年10月に発足した第3次安倍改造内閣が掲げたスローガン「1億総活躍社会」。
「1億○○」と聞くと、どのようなイメージを持たれるであろうか?
「1億玉砕」、「1億総懺悔」、「1億総白痴化」と聞けば悪く聞こえるケース、「1億総中流社会」と聞けば良く聞こえるケースではあるが、過去の日本においてはあまり良い言葉では使われていないケースが多い。
活躍しなければ、日本はヤバイ状況?
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「1億総活躍社会」とは、
全ての国民が活躍できる社会の実現を目指すというもの。
そもそもこの政策の目的は、「現状でも十分だが、まだまだ活躍できていない部分があるので、より活躍してもらうための政策」なのか? それとも、「このままでは日本は衰退の一途を辿るので、活躍してもらわなければヤバイ状況にまで追い込まれているのか?」のどちらかによって大きく意味合いは異なると思われる。
そして、「1億総活躍社会」の内容を見ると「希望を生み出す強い経済(GDP600兆円)」、「夢をつむぐ子育て支援(出生率1.8)」、「安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)」の「新・三本の矢」を掲げている。
この「新・三本の矢」を見る限り、後者の活躍しなければならない状況だと言えるのではないだろうか?
言うまでもないが、バブル経済崩壊後、失われた20年を経て国内の状況は様変わりしている。今の20代以下の世代は「1億総中流社会」の言葉すら知らないケースも多い。
したがって、まずは、日本の状況がそこまで追い込まれているという認識や覚悟、そし新たな行動が必要ではないだろうか?
「1億総活躍社会」で消えたり変更される制度は?
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全ての国民が活躍できる社会の実現を目指すために、
現状の制度ではその足を引っ張る可能性があるのであれば、廃止または変更されることも考えておく必要があるだろう。
例えば、配偶者控除やいわゆる103万円の壁は、「1億総活躍社会」を目指す時には必要だろうか? 活躍の方法は様々だろうが、経済発展の意味合いがあるのであれば、今後は消える可能性は十分にあるだろう。
そして、国民年金や厚生年金(老齢年金)も現時点では65歳からの支給となっているが、果たして65歳で引退というのは、「1億総活躍社会」を目指す時には、支給開始年齢を70歳からとしても問題はないのではないだろうか?
これらの制度を廃止または変更するとなると、国民の反発は大きいものとなるが、この「1億総活躍社会」が浸透していく中で、気が付けば変わっていたということも考えられるだろう。
誰が悪いという話ではなく、自分自身の生活に関わってくることから、今後についての変化について予測しておくことは重要ではないだろうか。(執筆者:岡田 佳久)