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先日前に同じ会社で働いていた知人から、久しぶりに電話がかかってきました。
どうやら昨年の11月頃に会社を退職し、そのまま再就職せずに新年を迎えてしまったので、お勤めしていた会社で平成27年の給与所得について、年末調整を受けなかったようです。
そのため今年は人生初の確定申告を行ない、税金の還付を受けたいという話でした。
ただ実際に書類を書き始めてみると、わからない箇所がいくつか出てきたので、その点について教えてほしいと、電話をかけてきたのです。
なんとか知人の質問に対する回答を見つけることができ、ほっとした気持ちで電話をきったあと、税金に関する悩みには、次のような3つのレベルがあると考えたのです。
インターネットで検索したり、税金に関する本を数冊読んだりすれば、自己解決できるレベルの悩み
【レベル2】
インターネットで検索したり、税金に関する本を数冊読んだりしても、自己解決はできないが、専門家にお金を払って頼むほど、レベルの高くない悩み
また専門家から少しだけアドバイスがもらえれば、解決の糸口が見つけられるレベルの悩み
【レベル3】
最初からお手上げ状態で、専門家にお金を払って、解決してもらうしかないレベルの悩み
以上のようになりますが、この知人のような確定申告に関する悩みや、会社員の方が行なう医療費控除に関する悩みなどは、レベル2に属する場合が多いと思います。
このような悩みを抱えた方は、税金のことは税務署に聞けば良いと、管轄の税務署に電話をかけたり、相談に行ったりするかもしれません。
しかし確定申告について無料相談できるのは次のように、税務署だけではないのです。
目次
市区町村の役場内の特設会場
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確定申告の時期となる2月16日~3月15日頃になると、市区町村の役場内などに特設会場が設けられ、税務署から出張してきた職員などが、確定申告に関する無料相談を受け付けております。
こういった情報は市区町村のホームページや広報誌などに、掲載されている場合が多いので、興味のある方はこういったものを、小まめにチェックしておきたいところです。
なお年末調整を受けなかった元会社員の方が、所得税の還付を受ける場合、または会社員の方が医療費控除により、所得税の還付を受ける場合などは、その翌年の1月1日から5年間であれば、税務署はいつでも書類を受け付けてくれます。
つまりわざわざ混雑している確定申告の時期に、書類を提出する必要はないのですが、確定申告の時期でないと、市区町村の役場内などに設けられた特設会場での無料相談は受けられません。
そのため確定申告の時期以外については、住所地の市区町村が実施している、市民(区民、町民、村民)相談を利用できないか、調べてみるのです。
名称は地域によって若干の違いがありますが、多くの市区町村は弁護士、税理士、行政書士などの専門家を招いて、その地域に住む方々の法律、交通事故、不動産、税金などの相談を、無料で受け付けております。
時間や利用回数に制限があるという欠点がありますが、事前に質問する内容を整理しておけば、こういった欠点をあまり心配する必要はないと思うのです。
日本税理士会連合会と税理士会
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日本全国の税理士が登録している日本税理士会連合会は、財団法人日本税務研究センターや全国税理士共栄会と連携し、税金(法人税、所得税、消費税、資産税)に関する無料相談を、電話で行なっております。
税金に関する無料電話相談
http://www.jtri.or.jp/counsel/index.php
また全国各地にある税理士会も、電話や面談での無料相談を実施しておりますので、興味のある方は「○○県 税理士会 無料相談」などといったキーワードで検索して、お近くの税理士会を探してみて下さい。
ただこれらの無料相談の欠点としては、一般的な税務に関する相談を対象にしているので、具体的個別事案については、相談に応じないことになっている場合が多いようです。
つまり具体的個別事案については有料で、税理士会などが紹介する税理士に、相談して下さいという意味だと思います。
しかし専門家から少しアドバイスを受ければ、解決の糸口が見つけられるようなケースであれば、一般的な税務に関する相談だけであったとしても、十分に利用する価値があると思うのです。
市民税課と県(都、道、府)税事務所
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確定申告を行なうと、その申告内容は税務署から市区町村に通知され、市区町村はその通知内容に基づき、皆さんが納付する住民税(市民税と県民税)の金額を決定します。
ですから市民税と県民税についての相談先は間接的に、確定申告の相談先にもなるということです。
市民税についての相談先は、地域によって名称に若干の違いがありますが、市区町村役場の市民税課になります。
また県民税を含む、県税(自動車税、自動車取得税、事業税、不動産取得税など)の相談先は、全国各地にある県(都、道、府)税事務所になります。
なお税理士法の第50条を読むと、地方公共団体の職員は国税局長の許可があれば、2カ月以内の確定申告の期間に限定して、「申告書等の作成及びこれに関連する課税標準等の計算に関する事項」について、相談に応じることができると記載されているのです。
ですから確定申告の時期は特に、市民税課の職員の方などに対して、確定申告の相談をしても良いということになります。(執筆者:木村 公司)