明らかに高齢者を対象とした選挙対策としか思えない低年金者給付金の3万円は、ばらまいたところで景気対策になるかどうかも疑問です。
また、一回限りでは対象者にとっては焼け石に水でしょう。継続して支援をすることが決まったとしても、若い世代から吸い上げた税金を老人に配ることで、世間は老人を非難するに違いありません。
厳しい目を向けられるのは、年老いた人にとってはお金をもらうより辛いことです。確かにお金は役に立ちますが、プライドは傷つきます。
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3万円の受給対象者と支給される時期について
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65歳以上の年金受給者で住民税が非課税の世帯となり、生活保護を受給している世帯は除外されます。単身者の場合だと、年金収入が155万円以下の人が対象となります。
しかし65歳未満でも、障害基礎年金か遺族基礎年金を受給していれば同様の年収条件で受給ができます。今の段階では65歳以上の人には2016年の4月以降に、65歳未満の人には10月以降に支給されるようです。
また、年金収入が87万円以下の人には前半に、87~155万円の人は後半に支給される見通しです。
60歳以上の「ババ会」でホンネトーク
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60歳以上の女子会ならぬババ会では、年金の話や病気の話、介護の話、そしてお墓の話が話題となります。そんな中で、低年金給付金についても話題になりました。
という人もいます。3万円のばらまきは平等に年を重ねてきた世代に、わざわざ貧富の差を自覚させるようなものでしかありません。
私のまわりの年金受給者の多くは、無駄な税金の使い方だと思っているようで、
と国民年金のみで生活をしている知人も言っています。
サラリーマンも自営業者もたまたまその職種に従事したただけで、皆同様に社会に役立ってきたのです。
このたびの政府が打ち出した低年金給付金は、ババ友に年金による収入の階級格差を認識させ、変な優越感や劣等感を持たせただけのように思わずにはいられません。
少ない年金でもそれなりに心豊かに暮らす方法を考える
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年老いた者の役目は、若い世代に「年を重ねるのも悪くはないな」と思ってもらうことです。
若い世代にとっては60歳を過ぎると夢も希望もないように思えるかもしれませんが、実はそうでもないのです。70歳は70歳なりに80歳は80歳なりに夢を持ち続けています。
夢と希望があり貧乏をそれなりに楽しむことができれば、少ないお金でも幸せに暮らしていけるような気がします。
税金をばらまかれてもそのお金を正当なところへ寄付するなどして返上するくらいの気概を持つ凛としたお年寄りが増えると、若い世代からも尊敬されるに違いありません。
国が決めた3万円をめぐり、老人同士が階級を作るのは避けるべきです。また、若い世代が3万円をめぐり、高齢者を税金泥棒のように批判するのも考えものです。
超高齢化社会を乗り切るには、持っている高齢者は子孫に美田を残さず、どんどんお金を使って経済を回しましょう。
残念ながら持つことができなかった高齢者は、のんびりと優雅に貧乏を楽しみましょう。お金持ちが長生きするとは限りませんし、持たない者が粗食で早死にするわけでもありません。(執筆者:志水 恵津子)