平成27年人口動態統計(厚労省)によると、死因の第一位は悪性新生物です。
死亡者数は、第二位心疾患の2倍弱となっています。
国民の2人に1人は「がん」になり、3人に1人は「がん」で亡くなる昨今、保険代理店ではないFPの立場から、身内の経験を通じて「がん保険」の必要性についてお伝えします。
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目次
がん保険をおすすめする4つの理由
1. 「がん保険」で治療費をカバーすれば、老後の収支は悪化しない
「がん」による死亡率は、女性に比べて男性の方が高く60歳代から増加する傾向にあります。
この実態に備えて医療・介護費用を見積もっておけば良いのですが、不確実な未来のリスクを具体的に想定して、貯蓄枠を設けることは実際に難しいことです。
治療費(不確実な支出)に対して保険給付(収入)を充てると、収支は悪化しません。
老後不安の第一要因は経済的不安です。
不確実な支出で目算が狂い、資金計画が破綻するリスクを「がん保険」でヘッジしましょう。
2. 高額療養費の制度があっても、「がん」の治療費は大きな負担になる
これらの標準的な治療は、公的な健康保険の対象になります。
つまり、1カ月あたりの自己負担限度額を超えた保険適用の医療費は、高額療養費の制度によって払い戻されます。
ただし、保険適用外の医療費(先進医療等)・入院中の食費・差額ベッド費用(1人部屋~4人部屋)・交通費などは、別枠で全額を支払います。
※年収は概算です。あくまでも目安として参考にしてください。
・住民税非課税世帯 :約3.5万円
・年収が約370万円未満の方 :約6万円
・年収が約370~770万円の方 :約8万円
・年収が約770~1,160万円の方 :約17万円
・年収が約1,160万円以上の方 :約25万円
・放射線療法(ガンマナイフ) :約15万円/回
・化学療法(抗がん剤) :約9万円/回
・定期検査(レントゲン・血液・骨) :約1.6万円/回
・定期検査(脳MRI) :約1.2万円/回
最近では、抗がん剤や放射線も通院治療が主流です。
通院治療のみの場合、民間の医療保険では保険金が貰えません。
新しいタイプの「がん保険」で備えると、通院治療のみの場合も保障の対象になり安心です。
「がん保険」は、給付の対象が「がん」に限定されているため、医療保険に比べて保険料が割安です。
医療保険と上手に組み合わせると良いでしょう。
また、「がん」の先進医療に備えて、医療保険に先進医療特約を付保しておくと安心です。
3. 「がん」の治療は想定通りにはいかない
腫瘍のできる部位によっては、適切な治療を施さなければ残された生活の質が低下してしまいます。
例えば転移性脳腫瘍で起こる症状(ふらつき・麻痺・言語障害・記憶障害・視覚障害)は、ガンマナイフ治療を施すことで元の生活に戻ることが期待できます。
早期発見、治療を適宜選択して生活の質を維持・向上することは、尊厳を保つ上でも大切です。
体質・体力、また、「がん」の性質によって治療は千差万別、かかる治療費も人それぞれですから想定通りにはいかないものなのです。
4. 在宅療養の希望が叶わないこともある
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もし、「がん」が進行して重度の意識障害になれば、24時間目が離せない状況になります。
特に、老老介護の場合、お世話をする配偶者が心身共に疲弊してしまい、希望に反して病院を探すケースもあるでしょう。
また、親の介護と仕事の両立に行き詰まり介護離職を余儀なくされる状況になれば、在宅療養を断念するケースもあるでしょう。
肉体的な痛みと精神的な不安を緩和する、「ホスピス・緩和ケア」も選択肢の一つです。
ホスピス緩和ケア病棟は、公的な健康保険の対象です。3割負担の場合、1日あたり約1~1.5万円(入院日数に応じて定額制)です。
高額療養費制度により自己負担限度額を超えると払い戻されます。施設によっては、個室料が別途かかることがあります。
「がん」の痛みを取り除く治療を施すため、原則的には「がん保険」の給付対象になります。
がん治療を目の当たりにして、「がん保険」の必要性を率直に感じました。
不確実な医療費に備えることで、老後の不安が一つでも解消すれば良いですね。(執筆者:長沼 満美愛)