日本銀行が導入した「マイナス金利政策」は、以前からヨーロッパ(欧州)では、実施されている政策である。
しかし、遠いヨーロッパでの出来事。他人事のように考えていた人も多いだろう。
また、マイナス金利政策は、日本では初めての経験であることから、新聞やニュース、雑誌などで大きく取り上げられている。
しかし、“冷静”にこの状況に対応していく必要があるのは言うまでもないだろう。

目次
アベノミクス政策は曲がり角!?
このマイナス金利政策の導入によって、銀行が余っているお金を日銀の当座預金に預けたままにしておくのではなく、企業の融資や運用に向けさせようとする目的もある。
そもそも、アベノミクス政策が上手くいっているのであれば、日銀はわざわざマイナス金利政策を行う必要はなかったのではないだろうか?
アベノミクス政策の3本の矢が成功だったか? 失敗だったか? その議論も重要ではあるだろう。
また、消費税の8%への増税、原油価格の下落や中国経済の現状などアベノミクス政策以外の部分での景気の影響もあるだろうが、少なくとも、現状の日本の景気は雲行きが怪しくなっているといった認識と行動が必要である。
3月11日に財務省などが発表した1月~3月期の法人企業景気予測調査では、大企業の全産業の景況判断指数がマイナス3.2となっている。
この、マイナスは3四半期ぶりで、前回の調査で見込んだプラス5.6を大きく下回った結果となっている。
既存の住宅ローンは借り換えのチャンス
マイナス金利政策によって、メリットとなるのはやはり住宅ローンの金利であろう。
既に住宅ローンを返済中の方は、ぜひ、借り換えた場合の効果をシミュレーションしていただきたい。
住宅ローンは言うまでもなく、同じ借入金額であれば、金利が低い方が総返済額は少なくなり、いわゆる“お得”である。
ただし、今後、さらに金利の低下も考えられるが、“金利は生き物”であり、将来の確定的な予測は専門家でも難しいところである。
したがって、変動金利型を選択される場合は、金利は固定金利型よりも低いが、将来の金利変動リスクに対して、自分自身でコントロールできないのであれば、変動金利型は選択しない方が無難なのかもしれない。

新規で住宅を購入する場合は、やはり身の丈にあった住宅ローンを組むこと
住宅ローンの金利低下は、今から住宅をご購入される方にとってもメリットとなる。
金利低下により、例えば、以前であれば3,000万円の住宅しか購入できなかった場合でも、3,500万円の住宅を購入することも可能となるであろう。
さらに、高い住宅でも手が届くかもしれない。
ただし、金利が低いからといって、ご自身の家計の身の丈を超えてしまう住宅の購入は禁物である。
住宅を売る側にとっては、少しでも高い住宅が売れるチャンスでもあるが、購入する側にとっては、身の丈を超えた住宅を購入してしまったがために、将来にツケを残してしまう可能性がある。
定期預金は0.025%になってしまったが…
マイナス金利政策によって、定期預金の金利はさらに下落している。
目を覆いたくなる利息額ではあるが、短期は損気と言われるように、何らかの対策をしておきたいところである。
対策は次の(1)と(2)、注意点は(3)である。
(2) ネット銀行であれば大手都市銀行よりも金利は高め。その他、地域の金融機関なども含めて、新規預け入れキャンペーンなどを利用する。
(3) 定期預金の金利では我慢できないので無計画に資産運用に回してしまう。
特に(3)は、マイナス金利政策下においては、株価の変動も以前のように上昇し続ける相場とは風景が変化していることから、投資の初心者が下手に手を出すことで、元本を割り込んでしまう本末転倒な結果が待っているのかもしれない。(執筆者:岡田 佳久)