人口知能と韓国人囲碁棋士との世紀の対極は、記憶に新しいところ。
残念ながら4勝1敗で人工知能に軍配が上がったものの、人工知能が負けた対局では人工知能の弱点も露呈した形になりました。
グーグルが開発した「アルファ碁」では人間と似た学習能力を人工知能に応用した、ディープラーニングという技術が用いられていますが、そのディープラーニングの技術を用いて不動産の成約価格を予測するシステムの開発が進んでいるとのことなのです。
そのシステムを活用して、相場価格から乖離した価格で取引されそうな物件を抽出、お知らせするというサービスが、不動産投資家を対象として始まろうとしています。
果たしてそんなことが可能なのでしょうか?
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人口知能の精度はどうか?
不動産の価格に関しては、さまざまな要素をもとに評価が行われることになります。
周辺にある同条件の不動産価格や周辺の地価、過去の取引の実績などを参考に、その物件は割安なのか? それとも相場通りの価格なのかといった判断をすることになります。
こうした情報をもとに、百戦錬磨の不動産のプロが不動産価格の評価を行っても、その判断の精度は80%~85%程度とのことです。
一方、人工知能がディープラーニング技術を用いて、不動産取引情報や地価といったデータを学習した場合は、その精度は94%。
これを高いとみるか低いと見るかですが、私の感想を申し上げると「やはりその程度か…」といったものです。
不動産取引には、データには現れない予測不可能な要素がたくさんあります。また瑕疵担保免責の物件で瑕疵が発見された場合、結局は安物買いの銭失いにもなり兼ねません。このようなことから、人工知能での予測にも限界はあるようですね。
値付けを間違えてしまう売主さんも多い
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本来あるべき正当な価格から乖離した価格の設定がされている物件は、市場に必ず存在します。そうした価格と実態との「ひずみ」を見つけ出せるかどうかが、不動産投資で成功するカギを握っていると言えるでしょう。
つまり、値付けを間違えてしまう売主さんは、世の中にたくさん存在するのです。
かつての私もそうでした。新駅からも徒歩圏という条件の当時の自宅を過小評価してしまったのです。
その原因は、不動産に関する知識不足もありましたが、根本的な原因は「売り急ぎ」です。訳あって、とにかく自宅を早く処分したかったのです。確実に売れる値段を優先したために、正当な価格よりも低い値段設定をしてしまったということです。
同様に、相続が発生した際もこうした値付けがなされた不動産が市場に出ることがあります。このようなチャンスをものにするには、日々の物件チェックが大事だということになりますね。(執筆者:内田 陽一)
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