「浪費しているつもりはないのに、いつのまにかお金がなくなっていて月末には生活が苦しい…」
そんなご家庭が増えています。

目次
相対的貧困
日本には、現在、相対的貧困と言える人が16.1%います。
「貧困」には、十分に食べることができない「絶対的貧困」と、食べてはいけるが収入が少なくて苦しいという「相対的貧困」があります。
「相対的貧困」(以下、本文中は貧困とします)は、平均収入の半分以下。
30年前には12%でしたが、格差が広がる中で徐々に増え、2012年には16.1%まで上昇しています。
つまり、6世帯に1世帯が「貧困」の状況にあるということです。
数字に表れない「隠れ貧困」が急増
ただ、これは数字で現れた「貧困」で、実は、数字に表れない「隠れ貧困」とよばれる人たちが急増しています。
「隠れ貧困」とは、収入は「貧困」の人ほど低くないのに、貯金ができないので、何かあると家計が破綻しかねない「貧困予備軍」です。
これは、家計の貯蓄と大きく関係しています。30年前には、貯蓄ゼロというご家庭は4.5%しかなかったのですが、金融広報中央委員会の調べでは、いまや貯蓄ゼロの家庭は30.6%もあります(2015年調べ)。
30年前には12%が「貧困」でも、貯金できないのは4.5%でした。つまり、収入は低くても貯金をしていたということです。けれど、今や全体の3割が貯金できなくなっています。
貯金できないのは、収入が低いせいだと思いがちですが、実は、収入が高いのに貯蓄できない家庭もたくさん出てきています。
貯蓄ゼロのご家庭の割合を年収別に見ると、
1,000万円以上1,200万円未満 21%
1,200万円以上 9.9%。
つまり、高収入でも1割以上のご家庭が貯蓄できていないのです。
「隠れ貧困」に陥らないためには
まずは、給与天引きの積立を検討!
貯蓄がなければ、イザという時には借金をしなくてはなりません。
ただ、貯蓄ができない家庭だと、そもそも借金してもそれをきちんと返していく力がない。
結果、ちょっとしたつまづきで借金に借金を重ねて生活が行き詰まっていく可能性が高いのです。
「隠れ貧困」に陥らないためには、イザという時に困らないくらいの預金を持っていることが必要です。
預金がゼロという人は、この4月からでいいのでしっかり預金をはじめましょう。
預金の王道は、積立預金。
積立預金をはじめるなら、「貯まる仕組み」を最初からつくってしまうことが大切です。
まず、会社に社内預金がある人は、これを最優先に使いましょう。なぜなら、社内預金の金利は省令で最低でも0.5%以上と決まっているからです。
社内預金はないが財形貯蓄があるという人は、財形貯蓄で積み立てましょう。社内預金と財形貯蓄は給与天引きで税金などといっしょにあらかじめ引かれてしまうので、無いものと思えば知らないあいだに貯まっています。
財形貯蓄には
住宅財形
年金財形
の3種類があります。
この中で、一般財形だけは銀行の預貯金と同じに利子課税をされますが、住宅財形と年金財形は、目的にあった利用をすれば元金500万円までは非課税です。
実は、住宅財形と年金財形は、家を買ったり年金をもらうということではなく別の用途で引き出しても、課税は5年を遡って。
ですから、長く預けておけば一般財形よりも有利です。
たとえば、20年間住宅財形を積み立てていた人が、住宅を買わずにただ引き出したとしても、15年間は非課税扱いということです。
積立するなら、金利よりも便利を優先する!
会社に、社内預金も財形貯蓄もないという人は、給料が振り込まれる翌日くらいに、給料が振り込まれる口座から自動引き落としで積立される預金をはじめましょう。
積立をするなら、金融機関を比べて少しでも金利が良いところに預けたいと思う人がいるようですが、それは間違いです。
月に100万円ずつ積み立てていくというならともかく、給料から月1~5万円を積み立てていくなら、今のような低金利ではつく利息はほとんど変わりません。
それよりも給与振込口座から自動引き落としされていけば忘れていても積立されていきます。
毎月給料の中から一定額を引き出してほかの銀行に持っていって預金するというのは、途中で面倒になり積立が長続きしない可能性があります。
積立は1度預け忘れるとそれっきりになるケースも多いので、給与振込口座と違う金融機関で積み立てるのは得策とは言えません。
積立というのは、忘れていても必ず貯まっていくというのが、最終的には長続きするし、長続きすればそれだけ貯金も増えていきます。
貯金は習慣

貯金は、習慣です。3,000円でも5,000円でも、毎月貯金する習慣を身につけましょう。それが、将来の家計の力になります。
貯金が無いと、どんなことになってしまうのか。
3月末に朝日新書から対策も含めた「隠れ貧困」という本を出しました。多くの方を取材し、その原因は貯金できない家計の体質にあるということがわかりました。
安心な暮らしを手に入れるためには、貯金は無くてはならないもの。
心機一転、4月から貯金をはじめましょう。すでにやっている人は額をちょっと増やしましょう!(執筆者:荻原 博子)