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目次
介護の負担・介護の疲れ
介護状態になりますと、3つの負担がおこります。
肉体的負担
経済的負担
です。
精神的負担
家族に与える精神的負担といえば、例えば以下のことが考えられます。
この先の生活はどうなるのか
家族は自身のための時間がとれない
肉体的負担
肉体的負担といえば経験がなくても想像しやすく、
徘徊に注意し続けたり捜索するなどの、休息し難い負担
経済的負担
たとえ毎月の負担額が小さかったとしても、介護期間が10年となると、かなりの費用がかかるようになります。
平均的介護期間は5年程度と言われますが、統計では10年かかる場合も少なくありません。
家族がどの程度介護に関われるか
公的介護保険制度の制限
障害年金の制限
これら以外にもまだまだあると思います。
介護状態によっては、配偶者と自身の子だけではなく、自身の子の世帯、親戚まで影響を与えることもあります。
介護の応援に行った家族の代わりを、応援者の家族がすることで、経済的負担や時間的負担、その人がすべき事に影響を与えることがあります。
介護殺人事件
これまでも、介護を苦にした殺人事件がありました。
介護に掛かる時間のために、退職せざるをえない
介護にかかる費用が多く、経済的な不安
体力・精神力がなくなってきて、絶望的になる
現在も平均寿命・寿命中位が伸びていっておりますので、これからも要介護状態になる可能性は高くなると言われます。
ましてや、団塊の世代ジュニアが高齢者となる頃には、退職者人口と現役人口が同じ割合になると予測されています。
ですから、介護人口というのはますます増えてくるでしょう。
肉体的負担は、介助スーツや介護ロボットなどが解決・軽減するでしょう。
精神的負担は、一部または全部をプロのサービスに任せることで、解決・軽減するでしょう。
ですが、経済的負担はどうでしょう? それさえクリアすれば、介護殺人事件は起きにくいのではないでしょうか
経済的負担が介護を左右する
要介護になったから収入が増えるとかありませんよね。
働くことができなければ、仕事も辞めることになりますし、介護をする家族が、介護にかける時間が多ければ会社を辞めざるをえないでしょう。
介護サービスを充分に受けることができれば、精神的負担・肉体的負担が軽減されますが、自己負担が出来ないことには、それらを軽減することができません。
公的介護保険の限度と制限
なんでも保険対象になるわけではありません。
給付限度と、年齢制限があるのです。
介護保険料は40歳から払いますので、「寝たきり・障碍者になれば必ず給付されるものだ…」と思ったら大違いですので、お気を付けください。
40歳から65歳未満の場合は、老化に関する疾病が由来して、所定の状態になったときに「要支援・要介護」と認定されます。
事故やケガでは「要支援・要介護」にはなりません。
それは65歳からなのです。
ましてや、障害年金は症状に変化が認められないと判断されて、その原因となった日に遡ったその日から、1年半が経過してからですので、1年半は年金受給することができません。
その期間の生活費の現金預金が必要ということになります。
要支援・要介護の状態に合わせて、サービス利用限度額が異なります。
居宅サービスの1か月あたりの利用限度額
要支援1 | 5万30円 |
---|---|
要支援2 | 10万4,730円 |
要介護1 | 16万6,920円 |
要介護2 | 19万6,160円 |
要介護3 | 26万9,310円 |
要介護4 | 30万8,060円 |
要介護5 | 36万650円 |
このうち自己負担額は、1割(現役並み収入のある方は2割)となります。
例えば1割負担の方であれば、
要介護5であれば、毎月約3.6万円程度
が自己負担額となり、限度額を超える部分は全額自己負担となります。
これとは別に、日常の生活費がかかるわけで、これまでの生活費に、毎月3万円ぐらいと、保険適用外のものがプラスされるかも…ということです。
介護にあたる家族がのうち、収入を得る人・介護にあたる人が分業でき、経済的負担に耐えられるなら、乗り越えられるでしょう。
仮に、自宅介護での介護保険適用分平均3万円と雑費で5万円かかるとします。
年間60万円かかることになり、平均5年なら300万円、割合が少なくない10年なら600万円かかることになります。
夫婦で考えると、その倍かかるわけですね。
死亡したときよりもお金がかかることのひとつか、この要介護状態ではないでしょうか。
男性よりも女性のほうが長生きであるため、介護をされる立場になる可能性が非常に高いのです。
ですから、女性のほうこそ準備しておきたいものです。
介護殺人事件に至るのは…
といった、経済的負担の理由が多く占めます。
このプラスアルファの部分さえ賄うことができれば、一部をプロに任せることができるので、精神的負担・肉体的負担を肩代わりしてもらえるので軽減されるのではないでしょうか。
経済的負担を軽減するには、いくつかの方法がありますが、一般的に多くの場合は、あらかじめ貯蓄をしておくことが考えられるでしょう。
ただ、貯蓄しきれてから要介護になる…ということは考えにくいですよね。
「これだけ貯まったから、自分にご褒美しちゃおかな?」と、自分に甘くしますよね。
平成26年の統計によりますと、平均預金残高が1,798万円とのことですが、多くの方は200万円未満です。
少しの狂いが大きなダメージを与えるようになるのです。
それには、いつでも準備完了している生命保険が最適ですよね。
生命保険にもいろいろある
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生命保険には、貯蓄性のものと、掛け捨て性のものがあります。
貯蓄性タイプ
貯蓄性のものは、保険金支払い事由になってもならなくても役に立ちます。
介護保険金を受け取ることがなくても、貯まった分を年金受け取りすれば、現在の銀行預金より多く受け取ることができます。
払い込んだ保険料が全額以上に戻るなら、実質保険料は0円です。
もちろん、一生涯置いておくことでお金は増えますし、いろんな目的に活用することができます。
保障と貯蓄を一緒にすることで、トータルで安く収めることができます。
掛け捨て性タイプ
掛け捨て性のものは、保険金支払い事由になってもならなければ、何も戻ってきません。
払い込んだ保険料が実質保険料です。
例えば、10年更新とか、85歳満了でしょうか。
10年更新ですと、期間中のリスクで保険料を計算するため、当初はリスクが低いので保険料は安価ですが、後々保険料は上がります。
85歳までに保険金を受け取ることがなければ、何も残りません。
寿命中位が86歳とか90歳という時代ですから、もしかすると役に立たない可能性があるかもしれませんね。
終身医療保険タイプ
終身医療保険についているタイプでは、支払い続ける限りは保障があります。
掛け捨てですので、それ以外の目的に使うことはできません。
法人で加入した場合は、福利厚生制度として損金計上できるかもしれませんね。
どれがいい、何がいいというのは、個人の事情や価値観によりますし、個別の商品の批判は法令違反になりますので、ここで述べることはできません。
最後に
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生命保険は、社会問題(年金の問題・介護の問題など)に対して、万人向けの解決方法である、すばらしい道具だと思います
。
もちろんスペースを取りませんし、生命保険料控除という優遇制度まであります。
ときどき道具を見直して手入れをするのもいいことだと思います。
すべてを保険に頼るのもどうかと思いますが、ひとたび経済的バランスを崩した時にしっかりとサポートするのが生命保険です。
無理のない範囲で、何に対してどのように備えるか、納得のいく商品を、信頼できるプランナーと相談してください。(執筆者:池田 弘司)