日本の大きな社会問題である少子高齢化。
「高齢者へのケアが行き届かない」
この国の福祉対策はまだまだ問題が山積しています。
そんな中、高齢者のひとり暮らしによるトラブルを軽減出来るある取り組みが注目されています。
その取り組みを始めたのはフランス。2003年の猛暑で、フランス全土で1万5千人の人が亡くなり、その多くが一人暮らしの高齢者だったことがきっかけとなりました。
目次
フランスのホームシェア

高齢者の住居に学生が同居するホームシェア。高齢者と学生のホームシェアには、どんなメリットがあるのでしょうか。
・学生の生活費、保護者の仕送り等の負担を軽減できる
・行政の見守り対策のコスト削減
・地域の高齢化を防ぐ
決して当事者同士だけではなく、行政にもプラスの効果をもたらす作用があるのです。
フランスのシステムではNPOが仲介し、次のような順序でホームシェアへと繋げていきます。
↓
・趣味、嗜好、ポリシーなどを事前調査
↓
・NPOが間に入り、条件の合う人同士が複数回面接を重ねる
↓
・マッチングに成功しホームシェアに至った場合、NPOに仲介料を支払う
ホームシェアにあたっての具体的な条件は以下のようになっています。
週6日一緒の夕食と夜間在宅
・家賃が格安
週1日一緒の夕食と夜間在宅
買い物支援などの追加条項の契約が可能
・家賃が下宿と同等
部屋のみ提供 一緒の食事、夜間在宅の条件なし
NPOの担当者が定期的に訪れ、双方の状態や意見をチェックします。契約を破るとホームシェアが解約となる場合もあります。
日本にもある世代交流ホームシェア

都内のNPO法人、世代交流ホームシェア事業「
リブ&リブ」の場合をご紹介します。
・健康面が概ね良好。(介護の必要なし)
・学生の個室を提供できる。
・キッチン、リビングなどの共用可能なスペースがある。
・同居する学生に対して行き過ぎた干渉をせず、独立した生活を送れるように配慮する。
大学生の条件
・週3回、夕~夜はシニアと共に過ごす。(基本的には19時までに帰宅)
・同居のルールを厳守できる。
・門限は23時。
・水道光熱費を含む生活関連費用として、月額\2万円をシニアへ支払う。
条件のベースはあるものの、その都度話し合いにより変更することも可能です。
リブ&リブのシステム
まずは1か月のトライアル期間を体験。それでお互いに同居することがOKであれば、本格的にホームシェアがスタートします。
シェア後も毎月、学生・シニアそれぞれとコーディネーターが面談。また電話による相談は随時受け付けてくれるとのことなので、そういったフォローは安心できるものがあります。
ペア構成費・事務費等 \2万円
年間コーディネート費 \3万円
ベストではなくベターで
学生にとっては高齢者に対する配慮・意識の向上、また責任感を身に付ける経験になります。一方高齢者は若者と接することで意識や考え方が若返り、孤立感・孤独感を味わうことが減り、安心感も得られます。
双方の家族にとっても、誰かと一緒に暮らしていることが大きな安心に繋がることは間違いありません。
但し他人同士が一緒に住み、生活していくのは決しては簡単なことではありません。ある程度の我慢や忍耐も必要です。それらを覚悟し、「ベスト」を求めるのではなく、「ベター」な生活を目指すことが大切だと言えそうです。(執筆者:藤 なつき)