目次
定期預金の金利0.01%時代

日銀のマイナス金利政策の影響で、大手都市銀行の定期預金の金利は0.01%にまで下がっている状況です。
100万円を定期預金に預けた場合でも、1年後に受け取ることができる利息は税引き後約79円となっており、ATMの1回の時間外手数料の方が高い状況となっています。
また、運用先として投資信託や株式を考える場合でも、国内・海外の景気の状況は雲行きがやや怪しい状況ですので、収益ではなく損失を抱えてしまうことも考えられます。
その中で、生命保険会社の個人年金保険や終身保険など貯蓄性のある保険の予定利率は、今年の4月から引き下げられたとはいえ0.5%や0.7%となっています。
生命保険の予定利率は、定期預金と比べると50倍や70倍にもなるのですが、果たして額面通りに受け取ってもいいのでしょうか?
※一部の保険会社では個人年金保険の新規取り扱いを中止しているところもあります。
定期預金の利率と生命保険の予定利率は同じものではない
定期預金の利率は預け入れた金額の全額に対して、利率が適用されますが、生命保険の場合は、掛金の全額に対して予定利率が適用される訳ではありません。
生命保険では、掛金の中から生命保険の維持運営費など各種必要経費を差し引いた後の金額に対して、予定利率が適用される仕組みとなっています。
定期預金の利率と生命保険の予定利率は同じ物差しで測れるわけではないので注意が必要です。
したがって、個人年金保険や終身保険といった貯蓄性のある保険の加入を検討する場合は、払い込んだ掛金に対して、将来の受け取り総額がいくらになるのか? で判断してください。
<例>【個人年金保険の考え方】
・払い込み期間:20年
・年金受取総額:245万円
・戻り率(※):約102.1%
(※)払い込み保険料(掛金)総額に対する年金受取総額の割合を示しています。
上記の例の場合は、245万円÷240万円=1.0208…
戻り率は約102.1%となっており2.1%も増えていることになります。
一見、お得なように思えますが、20年間掛金を支払い続けることで得られる戻り率なので、1年当たり(年率換算)に割り戻す必要があります。
上記の場合の年率換算では0.11%となりますので、確かに大手都市銀行の定期預金と比べるとお得なようにも思えますが、ネット銀行の定期預金の金利と比較するとほとんど差はありません。
生命保険の掛金は、定期預金とは違い、生命保険料控除など所得控除の対象となりますので、上限額はあるものの所得税や住民税は安くなるといったメリットはあります。
一方で、貯蓄性のある保険の場合、短期間で解約すると、解約返戻金は払い込んだ掛金よりも下回ることが多いため、いわゆる元本割れになってしまいます。
したがって、長期間、使う予定がないお金でなければなりません。
金利上昇の際、確認すべきこと

確認しておきたいことは、今後、世の中の金利が上昇した場合に、予定利率が見直されるのか?
また、配当などの形で契約者に還元されるのか? です。
今だけでなく、今後、世の中の金利が上昇し始めた場合のことも考えておく必要があります。
0.5%や0.7%と聞くと、一見、お得なようにも思えるのですが、その内容を噛み砕いていくと、思っていたよりもお得ではないのかもしれません。
生命保険や金融商品にはそれぞれ数多くの専門用語が登場します。
その専門用語の内容は、思っていた内容と違う場合もありますので、勝手に解釈するのではなく、用語の意味を確認や理解してから、商品選択を行うことが必要です。(執筆者:岡田 佳久)