外国人観光客による「爆買い」で、百貨店の売り上げは大きく持ち直しました。しかし、爆買いも一息ついて、百貨店も次なる戦略を考える時期にきています。
今回は、百貨店の中でも老舗中の老舗である「三越伊勢丹グループ」の三本の矢の戦略について見ていきましょう。
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目次
エムアイカードが割引→ポイント還元に
三越伊勢丹グループが発行するクレジットカード、それが「エムアイカード」です。
これまでは、三越伊勢丹グループの百貨店で税込3,000円以上お買い物すると、最低でも5%の割引が受けられました。
しかし2016年4月以降は、購入金額の最低5%分のエムアイポイント付与に変更となったのです。これが第一の矢です。
前年の購入額が30万円~50万円の方は、これまで7%割引でしたが、2016年4月以降は8%ポイント付与と、数字上は還元率がアップしています。
しかし、現金割引の魅力は大きく、ユーザー離れも懸念されています。
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エムアイカードポイントの相互交換サービス
そこで、三越伊勢丹グループが放つ第二の矢が「ポイントの相互交換」です。
エムアイカードの利用で貯まったポイントを、JALマイレージバンクのマイルやANAマイレージクラブのマイル、JTBトラベルポイントと相互交換できるようになったのです。
この相互交換というのがミソで、JAL、ANA、JTBの利用者を三越伊勢丹に誘導し、その逆の流れも誘導してもらうことが狙いです。旅行を頻繁に行なう人はお金がある人が多いので、エムアイカードは富裕層向けに舵を切ったといってもいいでしょう。
ライトユーザー向けのTポイント
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一方で、これまで三越伊勢丹と縁があまりなかったライトユーザー対策も忘れてはいません。そこで三越伊勢丹グループが放つ第三の矢が、「Tポイントの導入」です。
2016年5月25日より、三越伊勢丹グループ(三越・伊勢丹・丸井今井・岩田屋)でTポイントサービスが導入されました。Tカードを提示した上で現金やクレジットカードで支払いをすると、税別200円ごとに1ポイントが貯まる仕組みです。
オンラインストアでのお買い物でもTポイントが貯まり、特にT-MALLを経由させますと、2016年7月26日まで付与されるTポイントが2倍になります。
ただし、エムアイカードでの支払いではTポイントが貯まりませんので、注意してください。
5,000万人以上いるTカードの会員を一気に取り込もうとする三越伊勢丹グループの戦略、今後に期待が持てますね。(執筆者:角野 達仁)