先回のコラム「レシピ オブ 遺族年金」にて自営業世帯の遺族年金を確認しました。
今回はサラリーマン世帯の遺族年金の仕組み(レシピ)を見てみましょう。
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ただサラリーマン世帯は、国民年金と厚生年金の2階建ての支給となりますので、自営業世帯と比べて少々複雑です。
条件は、前回同様に
1. 端数の数字は省略して万単位で説明します。詳細数値は日本年金機構のホームページにて確認してください。
2. モデル家族は今回もサザエさんの「磯野家」ご一家に登場して頂きましょう。(年齢は私の勝手な想像で設定しています)
磯野フネ 52歳
フグ田サザエ 24歳
磯野カツオ 11歳 (小学5年生)
磯野ワカメ 9歳 (小学3年生)
会社員現役の磯野波平さんが交通事故で亡くなってしまった場合…残された遺族に支給される遺族年金はどのようになるのでしょうか。
目次
レシピ1. 支給される年金は
先回の自営業世帯の場合は遺族基礎年金のみが支給されましたが、サラリーマン世帯の場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます(2階構造)。
レシピ2. 支給される対象者は?
【遺族基礎年金】
2.子
※子供のいない妻・夫はもらえません。子供がいる場合でも、全員が18歳の年度末を過ぎる(高校を卒業する)ともらえない。
【遺族厚生年金】
2.父母
3.孫
4.祖父母
※子供のいない妻・夫でももらえる。但し、妻を除いて年齢条件あり。
レシピ3. 支給額は?
【遺族基礎年金】
基本額 78万円の定額です。
加算額 子供がいると次の加算があります。
3人目以降 1人につき 7万円
【遺族厚生年金】
定額ではありません。老齢厚生年金の報酬比例の年金額×3/4
上記レシピで磯野家の遺族年金を確認してみましょう。
磯野家の場合
支給される年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金。
支給される人は、
【遺族厚生年金】→ 妻のフネさん(子供の有無、年齢は無関係です)
支給される額は、
【遺族厚生年金】→ ここはややこしいです。原則は波平さんの老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額×3/4 です。
つまり老齢厚生年金がベースになるので、老齢厚生年金をまず明らかにしなければなりません。では、どのようにしてまだ貰っていない老齢厚生年金を確認すればよいでしょうか?
勿論、年金事務所に行けば教えてくれます。
もう一つの方法は、詳細な額まで必要がないのであれば毎年誕生月に日本年金機構から送付されてくる「ねんきん定期便」に記載されている老齢厚生年金の額を一つの目安にするのもいいでしょう。
※厚生年金の加入中に死亡した場合に、加入月数の合計が300月未満のときは300月で計算されます。
ここで波平の老齢厚生年金(報酬比例部分)の額を72万円だとすると、
従って磯野家の遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金を合計して、
となります。如何でしょうか。
前回の伊佐坂先生と今回の磯野波平をモデルとして、自営業世帯とサラリーマン世帯の遺族年金を見てきましたが、何か気が付かれたでしょうか?
・しかも、支給対象者は遺族厚生年金の方は幅広く、支給額に子供の有無も年齢も無関係です。
・さらに、ワカメが高校を卒業すると(フネは61歳)遺族基礎年金は不支給となりますが、フネが65歳に達するまでの間、中高齢寡婦加算(約58万円)が貰えます。
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実は、私が前回と今回のコラムでお伝えしたかったのは遺族年金の仕組みのみではなく、自営業世帯とサラリーマン世帯の遺族年金の差異を見て頂きたかったのです。
そこから見えてくるのは、自営業世帯の遺族年金はサラリーマン世帯の遺族年金と比較して明らかに見劣りがするという事実です。
是非、自営業世帯の方はこの事実を認識したうえで早目の対策に着手される事をおすすめ致します。(執筆者:松山 靖明)