「会社を退職して初めて知った」とよく言われるのが年金と基本手当の調整です。
つまり雇用保険の基本手当と65歳未満の間に受給する特別支給の老齢厚生年金は併給されませんから、どちらか有利な方を選択する調整の事です。
基本手当を選択した場合は、その間、年金が全額支給停止されます。基本手当を請求しなければ年金が支給されます。
基本手当と老齢厚生年金の両方の受給を予定して、退職時の当面のシニアプランを考えている方は早目のプラン見直しが必要です。
では、有利な方を選ぶにはどうしたら良いのでしょうか。
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基本手当は実際には365日分は受給しませんが、
で比べると解りやすいでしょう。
時々、雇用保険の加入期間が短いので、基本手当の金額は少ないと思っている方がいらっしゃいますが、基本手当日額は加入期間の長さではなく、退職前6か月の給料で決まります。
例えば、60歳の方の月収が40万円だとすると、基本手当日額の目安は5,999円なので、
になります。この金額と年金額と比較します。年金が報酬比例部分のみ支給される間は、ほとんどの人が基本手当の方が有利になると思います。
目次
基本手当の方が有利な場合
住所地を管轄するハローワークにて「求職の申込」(基本手当を受給する手続き)をします。
基本手当を受給するとその間(「求職の申込をした月の翌月」から「基本手当の支給を受け終わった月」または「基本手当の受給期間が経過した月」のうち、いずれか早い時期までの間)、年金は支給停止になります。
尚、年金事務所には求職の申込を行ったことや基本手当を受給中である旨の届出は必要ありません。
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年金の方が有利な場合
「求職の申込」手続きを行わないようにして下さい。
もし手続きをしてしまったら「求職の申込」の取消手続き行うか、指定された失業認定日にハローワークに出頭しないようにすれば基本手当は支給されません。
認定がされなかった月が確認される都度、事後清算され後日支払いの遅れていた年金が支給されます。
この年金が基本手当を上回る場合には、長期加入者(厚生年金の加入期間が44年以上ある方)の特例に該当するケースがあります。また、対象者がいる場合には加給年金も加算されます。
これらに該当すると思われる場合は、年金事務所にて年金額を確認して、どちらを選ぶのかを決めて下さい。(執筆者:松山 靖明)