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「天災は忘れたころにやってくる」といいますが
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9月21日午後2時ごろ、鳥取県で震度6弱の地震が発生しました。ここ15年以内で最大震度5弱以上を超える地震は7回も起きており、死語のことわざなのではないかと思ってしまうのは筆者だけでしょうか。
地震の発生時期で並べてみてみましたが、記憶にまだ残っている命名は少なくないでしょう。
平成15年 十勝沖地震
平成16年 新潟県中越地震
平成19年 能登半島地震
平成19年 新潟県中越沖地震
平成20年 岩手・宮城内陸地震
平成23年 東北地方太平洋沖地震
平成28年 熊本地震
上記の命名を眺めていると……。
地震や河川氾濫を伴う大洪水がどこでも起きる昨今。
「耐震工事したほうがいいだろうか?」
「災害時補償はどうなるのだろう?」
と不安を覚えてしまった方もおられるのではないでしようか。
しかし、どんなに思考を巡らせても残念ながら地震に万全な対策などはございませんが、1日でも早く生活を立て直す方法ならいくつか紹介できます。
そこで今回は、万が一の時に役立つ方法をザックリお伝えします。
当面の生活資金を現金または損害保険で用意する
自分の家や家族が大丈夫でも「学校や職場が壊滅的な状況」ともなれば、生活環境そのものが変わってしまうリスクは否めません。万が一のことが起きてしまうと生活に歪が生まれます。
例えば…
・職場や取引先が消滅すれば、毎月いただいていた給料が減る又は停止
・ライフラインが止まり生活が不便になる
・自治体に支援を求めでも時間がかかる
災害対策としてするべきこと
そんな時、私たちはどうすればいいのでしょう?
(1) 命を守る(安全な場所に避難など)
(2) 生活を守る(食料・衛生面の維持など)
(3) 日常の暮らしを再建する
自然災害を完璧に防ぐ方法はないのですが、地震の被害に備えることで当面の生活を維持することは十分可能なことです。
ファイナンシャルプランナーである筆者としては、(3) の日常の暮らしを再建するために、当面の生活資金を現金または損害保険で用意しておくことが必要だと考えております。
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生活資金の確保に使える制度
当面の生活資金は自力で確保できるようにしておくことが大切です。当面の家計を支える備えとして考えられるものとして、地震保険に加入しておくのも一つの方法だと思っております。
ここ最近は、自然災害の危機管理が高まりを受けて、火災保険に地震保険を付帯される方は全体の6割に達しています。
平成16年の新潟県中越地震以前までは、地震保険を付帯していた方は3割程度でしたので、生活を守る意識(自助努力)が飛躍的に向上したといえるでしょう。
避難生活に備えて資金を準備する方法
「地震保険」と「最大300万円生活再建支援金」の活用があります。
地震保険は政府が管理しているもので、民間の火災保険に付帯して加入する制度です。
補償内容は、国の管理下にあるので、どこの保険会社も同じように設定されていますが、保険料は地震の発生リスクが高い地域ほど、割高に設定される傾向にあります。
生活再建支援金とは
住宅に多数の被害が生じ被災者生活再建支援法施行令第1条第3号に該当することが判明すると同法を適用する制度。対象となるのは、大規模半壊世帯。
・住宅が全壊(全焼・全流失)した世帯
・住宅が半壊し又は敷地等に被害が生じ、やむなく解体した世帯など
地震保険加入が必要な人はこんな人
都市部で新築一戸建てのお家をローンで購入している方は、5年程度は保険に加入することをお勧めしています。
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理由
一般的に住宅をローンで購入したご家庭は、頭金や諸経費を預貯金から捻出している方が少なくないからです。
住宅購入から間もない時期に災害で損害を被ってしまうと、当面の生活を維持することはとても大変です。被災者が住宅ローン抱えて再出発というものはハードルが高いと誰もが想像できることでしょう。
蓄えが十分でない方、1年分の生活資金が確保できない方
「火災保険と地震保険をセット加入」でリスクを保険会社にかぶってもらうのか一番です。
地震保険の契約をしても、自宅を再建築するお金はもらえませんが、「火災保険金額の30%~50%を上限」で保険金が受け取れます。保険金を住宅ローンの返済に充てることはありがたいものです。
実際の保険料と保険金額
実際の保険金の金額については保険の内容によって異なりますので、参考までに筆者の加入している家庭用火災総合保険で地震保険を示してみます。
地震保険契約書の記載内容としては、建物保険金額は新価3,152万3,000円のうち地震保険金額に値する限度は時価で1,576万1,000円と設定されています。
年間に支払う地震保険料は1万1,980円です。東京都に住居を建てたとして試算してみると3万1,840円と約2万円保険料の負担が増えます。
金額だけ見ると割高感は否めないでしょうが、地域の特性によって自然災害の発生リスクが高いほど保険料の負担が多いのは致し方がないことなのです。
新価と時価の違い
新価(再調達価格)とは、 保険対象と同一の「構造」、「質」、「規模」、「型」、「性能」などを考慮して再取得するために必要な金額を設定した金額。
それに対して時価とは、新価から使用により消耗するであろうと価値を控除して求められた金額を示しています。
地震保険は利益を目的にしてない
裏事情を少し暴露してしまいますと、保険会社は地震保険が売れても利益はほとんど無いのです。事務手続きの手間だけ増えるだけで、火災保険の選択肢として付帯したサービスでしかないのです。
保険料が高いからといっても地震保険とは「地震保険に関する法律」をもとに被災者の生活の安定に寄与することが目的に設けられたものなのです。
国民の生活を支援するために国と民間がタックを組んで作られた制度が地震保険であり、民間で販売していますが利益を目的にしたものではないのです。
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保険金がどこよりも早く受け取れるのが地震保険
地震保険の保険金の優れているところ「支払いが早い」ことです。
その上、保険金は使用用途の制限はなく、他の損害保険と違って
ことになっています。
地震保険金は判定が簡略化されており、「全損」、「半損」、「一部損」の3区分で判定できるので、大規模災害による大量査定においても迅速な処理が可能となっています。
住宅を失った被災者としての心情としては、細かく判定してもらいたい希望が多いようですが、迅速に保険金を給付するのが最大の特徴ともいえます。
※2017年1月以降の契約からは、「全損」、「大半損」、「小半損」、「一部損」という4区分になるので幾分かは、不公平感が解消できると思われます。
最後に
自然災害は忘れる前にやってくるように思い書かせていただきました。
地方で災害に襲われてしまう映像を見ると一戸建て住宅に目が留まります。住宅ローンを組むリスクを回避する情報として心にとどめていただければ幸いです。(執筆者:村井 一則)