パート勤めしている主婦にとって、夫の勤務先からこんな連絡が来たらゾッとするでしょう…自分の年収・所得が勤務先に知られているのではないかと。
税金の計算をやり直して追加払いしてくれという税務署のお達しが原因ですが、税金以外にも夫の労使関係にも波及してくる恐れもあります。間違った年末調整の手続きをしないよう気をつけたいものです。
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目次
税金以外の問題に発展する最悪のシナリオは
これは勤務先にもよりますが、扶養の対象から外れることがわかった時点で、配偶者手当の支給に影響してくる場合があります。
勤務先が手当分の返還を請求してくる可能性もあり、そうなると社会保険の訂正手続きまで考えられ、どんどん問題が拡散していきます。
就業規則の規定に基づいて懲戒処分にまでなろうものなら最悪です。所得税の源泉徴収制度は納税者の手間を軽減させてはいますが、こんな怖い所も見えてきます。
いったいなんでこんなことになってしまうのか、具体的な流れを見ていきましょう。
税務署から勤務先に「所得税徴収漏れがあるのでは?」通知が来る
給与から引かれた所得税は、実際に支給された月の翌月10日までに勤務先が税務署に納税します。年末調整を行うと所得税が還付されることが多いですが、勤務先は12月分以降、従業員に還付した分だけ少なく税務署に納めます。
つまり給与天引きした所得税は、企業が責任をもって納めないといけません。そのため従業員が年末調整で間違った申告をした場合でも、徴収漏れに関しては一旦勤務先に連絡が来ることになります。
個人情報が細かく通知されるわけでは無い
年末調整の際に提出する書類は、全部そのまま税務署に提出するわけではありません。源泉徴収票と同形式の給与支払報告書を、(住民税計算用に)従業員在住の市区町村に提出します。
さらに年収500万円超(法人役員は150万円超)の場合に限って、勤務先管轄の税務署にも源泉徴収票を提出します。扶養に該当するかどうかは、市区町村側の突合でわかります。
その結果、扶養親族となっている人の所得が扶養の範囲外だった場合には、税務署経由で勤務先に連絡が行きますが、給与支払報告書の内容が夫の勤務先にまでいくわけではありません。
ただ、下記のような流れになりますので、結局は妻の「源泉徴収票」・「所得証明」などの確認資料を勤務先が求めることにはなります。
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年末調整をやり直し、追加負担を求められる
税務署は、過去3年に遡って年末調整のやり直し及び所得税の追加納付(及び回答書の提出)を求めてきます。
ただ、過去3年は疑いをかけられているだけですので、勤務先が根拠資料を確認した結果、直近1年だけの追加納付という場合もありえます。
勤務先は、配偶者控除や扶養控除を外して(場合によっては配偶者特別控除を使って)やり直しを行います。所得税の追加納付分は従業員に求償することは可能ですが、従業員負担の有無にかかわらず勤務先側の納付は義務になります。
結局、企業側から見れば納税の責任を問われたうえで、事務・納税の手間が増えますので、一種のトラブル処理をすることになります。
一方で労働者(夫)側も勤務先に迷惑かけたうえで、本来渡さなくてよい情報を渡すことになり、気まずい思いをするでしょう。
追加負担も問題ですが、労使関係への影響もさらに懸念されます。年末調整の季節でもありますので、扶養には十分気をつけていただきたいです。
パート勤務の結果、扶養から外れることになるのであれば、夫が勤務先にきちんと異動の申告をしておきましょう。(執筆者:石谷 彰彦)