生命保険・医療保険は、一定期間保険料の払い込みが滞ると「失効」してしまいます。
失効とは、読んで字のごとく、効力を失うこと。つまり、失効期間中に万一のことがあれば保障が受けられません。
この記事では、保険の失効について解説します。
目次
失効の仕組み

残高不足などで保険料の引き去りができなかった場合、一定期間払い込みがなければ契約が失効してしまいます。
このように、保険は一度保険料の支払いが滞ってもすぐに失効するわけではありません。失効するまでの一定期間を「猶予期間」と言い、その期間内に必要な保険料を全て支払えば契約は元どおりとなります。
失効するまでの流れ
年払い・半年払いの契約も月払いの契約も同様ですが、猶予期間に少し差があります。
月払い
払い込みのなかった月の翌月末までが猶予期間となります。
例えば、毎月10日に保険料が引き落としされる月払いの保険契約において、4月10日、5月10日の2回引き落としができずそのまま振り込みもしなければ、「6月1日」から失効します。
年払い・半年払い
払い込みのなかった月の翌々月の契約応当日までが猶予期間となります。
毎年4月10日に保険料の引き落としが行われる年払いの保険契約においては、保険料の振り込みを行わなければ「6月11日」から失効となります。
失効後の対応は?
失効すると、保険会社から失効通知が届き、「復活」か「解約」を選ぶことになります。

(1) 復活
契約を復活させたい場合は、復活請求申請を行います。復活には以下の条件があり、すべてを満たす場合にのみ、契約が元どおりになります。
・失効してから3年以内(※)に復活申請を行うこと
・保険会社が求める引受基準を満たすこと(告知書を提出しなければならない)
・失効期間中の保険料を支払うこと
つまり、失効中に引受できない病気にかかってしまった場合は契約を復活することはできなくなってしまいます。もちろん、その事実を偽って告知書を提出した場合は、告知義務違反となります。
※復活可能期間は保険会社や保険種類によっても異なります。ご自身の保険約款をご確認ください。
(2) 解約
復活させない場合は、解約申請を行い、保険を解約します。解約返戻金があれば、解約返戻金を受け取ることになります。
解約返戻金がある保険契約の場合
解約返戻金を保険料に割り当てる「自動振替貸付」が行われる場合があります。
この場合、解約返戻金の範囲内で保険料が払い続けられ、立て替えられた保険料には利息が発生しますので、継続するのか解約するのか、早めに判断しましょう。
保険事故が発生した場合
猶予期間または失効期間中に入院や手術、または死亡した場合の保険の取り扱いはどうなるのでしょうか。
(1) 猶予期間中の保険事故
猶予期間中に万一のことが起きた場合は、給付金・保険金を受け取ることができます。保険料と利息を差し引いた給付金・保険金を受け取ることになります。
(2) 失効後の保険事故
失効中に万一のことが起きた場合は、残念ながら給付金・保険金を受け取ることができません。
失効には注意が必要!

せっかく長くかけてきた保険でも、わずか2か月間保険料の支払いが滞ると失効してしまい、タイミング悪く何か起こった場合には、契約を復活できないだけでなく給付金・保険金を受け取ることができません。
保険料の支払いが難しい場合は、保険料の安い保険に切り替えることなどを検討し、万一のときに備えましょう。(執筆者:近藤 あやこ)