目次
1. 認知症に関連した保険商品を、保険会社各社が手がけ始めた
メットライフ生命は7月から、認知症と診断された時点で一時金を支払う業界初の商品を発売する。
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高齢化に伴い認知症患者が増え続け、社会問題化しているのが現状
厚生労働省は、団塊の世代が75歳を超える2025年には、全国で認知症患者が700万人を超えるとの推計値を発表。
2012年の調査では患者数が462万人。
65歳以上の高齢者のうち7人に1人という割合だった。
もし、この推計値が現実になれば、今から10年足らずの間に、5人に1人が認知症に罹患している計算になる。
そんな身近な病気になりつつある認知症分野、保険会社としてもニーズが高い分野なだけに、早めに手がけたかったのが、以下の点で商品化が難しいと言われてきた。
被保険者が認知症=保険請求ができるのか?
昨年3月に発売された太陽生命の「認知症治療保険」は、生まれて初めて器質性認知症に該当し、その状態が180日継続したときに、一時金が給付される。
給付について、通常は、認知症になった契約者の家族などが保険会社に請求し給付金を受け取ることになっている。
例えば、1人暮らしの高齢者でアルツハイマー型認知症になってから180日間も継続してしまうと、自分で給付請求ができなくなっている可能性も出てきている。
しかも給付を受けることができない180日間の介護費用は自分で賄わなければいけないわけだ。
そういう意味でも、認知症と診断された段階ですぐに給付請求できるメットライフ生命の新しい認知症保険は使い勝手が良い商品になるだろう。
2. 介護事業者向けの保険でも、認知症に関係する保険商品が拡充
東京海上日動は、今月から施設で預かっている患者が行方不明になった場合の捜索費用や、徘徊中の事故を補償する商品の加入対象を広げた。
従来商品では全日本病院協会に加盟する事業者のみが対象であったが、非加盟の小規模事業者でも加入できるようになった。
3. 認知症を保障する保険は割高
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認知症を保障する保険の場合、保険会社にとってもリスクが高い分野なので、保険料は割高にならざるをえない。
加入の際には、給付内容や条件に対して支払う保険料が見合うのかを、ご自身の尺度で試算することが大切だ。(執筆者:釜口 博)