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老齢厚生年金の特別支給を受ける権利のある方は、現在男性は62歳、女性は60歳ですが、平成29年8月1日から新たに年金を受けとれる方が増え、年金額を増やすこともできる様になります。
・ 平成29年7月31日まで … 老齢年金を受け取るためには、「資格期間」が原則として25年以上必要。
・ 平成29年8月1日から … 「資格期間」が10年以上で老齢年金を受け取ることが可能。
「資格期間」とは下記の期間を合算した期間をいいます。
(2) サラリーマンの期間(船員保険を含む厚生年金保険や共済組合等の加入期間)
(3) 年金制度に加入していなくても資格期間に加えることができる期間(「カラ期間」)
目次
「特別支給の老齢厚生年金」(65歳になるまで受給)の受給要件
・ 老齢基礎年金の支給要件を満たしていること
・ 厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あること
「老齢厚生年金」(65歳から受給)の支給要件
・ 厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上あること…会社に入社し1か月でも厚生年金に加入していれば受給資格を満たしますので、会社員として勤めた経験がある人は自然と要件を満たしています。
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「特別支給の厚生老齢年金」はすこしづつ支給年齢が上がっていき65歳になると「特別支給」はなくなり「老齢厚生年金」の支給に変わります。
「10年以上~25年未満」の該当者には、年金事務所から7月上旬までに黄色い封筒(通常は緑)で連絡があります。
黄色の封筒の「年金請求書」が送付される方(男性~H30.8/1誕生日までの方、女性~H32.8/1誕生日までの方)は今まで受給資格がなかった方で、今回初めて資格を得た方となります。
「特別支給の厚生老齢年金」の申請から支給まで
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申請は市役所で必要書類をそろえて、申請書類を年金事務所へ持参するか、又は郵送しますが書類に不備があると二度手間になったり支給がずれこんだりします。
一度で終了するための注意点と申請手順を配偶者の場合の実例でお教えします。
注意点
(1) 市役所で発行の書類は誕生日の前日から交付されたものに限ります。書類申請時に市役所で教えてくれますが、市役所に行ってから分かったのでは二度手間です。
(2) 社会保険事務所は混雑しますので、事前に予約しましょう。1か月前から電話受け付けが可能です。
(3) 年金振込の金融機関の口座で使用している印鑑は必ず持って行きましょう。
老齢年金の受給手続きから支給まで
支給までのスケジュール
【例】
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通知から受給まで
1. 通知
年金支給の通知が誕生日(男性62歳、女性60歳)の3か月前に通知が郵送されます。
2. 申請
【年金申請書の記載】
書き方の説明は、分りにくいですが、じっくり読み込みましょう。
・ 記入の必要なものは、配偶者年金ナンバー、ご自身のマイナンバー(記入すると一部書類が不要となります。)
・ 年金手帳は、婚姻前後で2冊持っておられる方は両方必要です。(旧姓は厚生年金用、婚姻後の姓は国民年金用)
添付書類 必要書類の例
必要書類が重複するような場合は1種類の準備で大丈夫です。
・ 全ての方 戸籍抄本、謄本、住民票、住民票記載事項証明書のいずれか
・ パターンにより異なるもの
世帯全員の住民票
配偶者の年金手帳
配偶者の基礎年金番号通知書
所得証明書
課税証明書
源泉徴収票
退職年齢が分かる就業規則
年金証書
遺族給与金証書
医師または歯科医師の診断書
レントゲンフィルム
雇用保険被保険者証
船員失業保険証
高年齢雇用継続給付支給決定通知書
申請書類をそろえて、申請書を社会保険事務所かセンターに提出。
お問い合わせや予約申し込みは「ねんきんダイヤル」へ
3. 年金証書
申請後、約20日ほどで老齢厚生年金証書が送付されます。大切に保管しましょう。
4. 年金振込通知書
老齢基礎年金・老齢厚生年金の請求は日本年金機構の受付後2か月以内に「年金証書・年金決定通知書(年金振込通知書)」で振り込み予定日の通知のはがきが来ます。
はがき到着から、おおむね50日で振り込まれます。
5. 支給
年金は偶数月15日に金融機関に2か月分振込まれます。
今からでも間に合う保険料を納めて増える年金支給額
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「資格期間」が10年になりましたが、以下の方法で年金額を増やすことができます。
任意加入制度
60歳以上でも国民年金に任意加入ができます。(加入には一定条件あり)
「60歳から65歳まで」希望者は任意加入ができます。
資格期間が10年に満たない方は最長70歳まで国民年金に任意加入できます。
後納制度
過去5年間に納め忘れた保険料を納めることができます。
平成30年9月までなら 5年以内の納め忘れ、未加入分の保険料を納めることができます。
特定期間該当届
専業主婦・主夫の届け出漏れ期間の届け
配偶者の退職や、本人の収入増で健康保険の被扶養者から外れたとき、国民年金3号(専業主婦・主夫)から1号に切り替えが必要ですが、忘れていたとき届けをします。
どの程度の支給額になるのでしょうか試算してみました。
「特別支給の老齢厚生年金」や「老齢厚生年金」
厚生年金を支払った額によりますが概略、保険金支払いが1年増える毎に2万円弱と考えましょう。
10年加入で年間約18万円~30万円
「老齢基礎年金支給額」
25年で約50万円
40年の満額納付で年間約80万円
になります。(執筆者:淺井 敏次)