「離婚するなら、子どもが成長してから…」という決断を耳にすることがあります。
その言葉には、子どもへの精神的な影響を配慮する以外に、女性一人で子どもを育てていく経済的な不安が見え隠れするように思われます。
今回は離婚のタイミングについて、一番気になる離婚後のお金の話から、ママ自身の将来の暮らしも見据えて考えていきましょう。
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目次
1. 受給できる手当を把握、暮らしの設計図を描こう
母子家庭になると、扶養している子どもが18歳になる最初の3月末までは、国から児童扶養手当が支給されます。
その金額は以下の通り、全額支給でも子ども一人なら月4万2,290円です。
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また、母子家庭に限らず子どもが0歳から中学を卒業する年の3月までは、児童手当があります。
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児童扶養手当が全額受給できる3歳未満の子ども一人を扶養する家庭なら、手当は1か月あたり
です。
しかし児童扶養手当が全額給付できるのは、所得年57万円未満(月に換算すると大体4万7,500円)の場合です。
最大額の手当を受給し、所得制限ギリギリまで働くとしたら月10万4,790円。
東京都など自治体によっては児童育成手当1万3,500円も母子家庭に支給されますが、果たしてこれだけで暮らせるでしょうか。
2. 手当・実家・養育費に依存しない…自立の道を考えよう
家賃や住宅ローンのない自宅に引き続き住める、実家に戻れば家賃や食費が甘えられるからと、安心してはいけません。
たとえ実家に帰っても、両親や兄弟など同一住所の家族に所得があれば、実際の収支は別でも同じ家計とみなされ、所得制限により児童扶養手当が受給できない場合があります。
さらにこれらの手当は、毎月振り込まれるわけではありません。
4か月分まとめて支給されるため、生活費として組み込むには注意が必要です。
加えて給付は期間限定、病気のときの大きな支えになる医療費助成制度にしても、子どもが18歳までです。
それだけに生活を依存することなく、自立することを考えましょう。
また、養育費をもらうから…と思っている方も、要注意です。
実際養育費を受け取っている家庭は、19%(平成18年の厚生労働省の調査)にすぎません。
一方母子家庭には、所得に応じて国民年金や国民健康保険の免除・減免、保育料の免除・減額、JRなど交通機関の割引、住宅費補助など救済策があります。
しかしそれは母子家庭になったからと、自動的に交付されるわけではなく、自分で利用できる制度を探し手続する必要があります。
実際利用できるには、時間がかかることもあります。自立するため、あらゆる方法を探して駆使しましょう。
暮らしが落ち着くには、ある程度の時間が必要です。
3. 大きな出費・教育費…地道な貯蓄と情報収集、親子の努力で乗り越えよう
子どもが成長すると、手はかからなくなっても経済的な負担は大きくなります。
ましてや大金がかかる大学進学時には、母子家庭だからという名目での助成はほとんど見受けれません。
夫婦がそろって子どもを支えても大きな負担になる大学は、母子家庭には無理なのか、という思いになる方もいらっしゃるでしょう。
しかし夫婦であったとしても、大切な子どもの将来であっても、ともに同じ思いを抱き応援できるかはわかりません。
教育費を巡る状況は、近年変化しています。
日本学生支援機構の奨学金をはじめ、給付型の奨学金を支給している大学や企業も多く存在します。
さらに、公益財団法人明光教育研究所が行う給付型奨学金は対象年齢は、小学生からです。
母子家庭の進学の味方になるのは、子どものやる気と地道な貯蓄、利用できる支援策がないか情報収集を怠らないことです。
4. ママの将来もしっかり見据えて…
さらに忘れてはいけない、しっかり考えておきたいのはママ自身のことです。
子どもが自立したあとの経済基盤をどうするかを含めて、仕事を考えましょう。
確かに子どもが小さい間は、学校行事には参加したいし、病気のときは傍にいてやりたい、帰ってきたら「お帰り」と言ってあげたいと、母親なら思うことです。
最近では、パートやアルバイトだけでなく短時間正社員制度を取り入れる企業やクラウドソーシングなど、働き方はさまざまにあります。(参考:厚生労働省 短時間正社員制度導入支援ナビ)
ただやはり、できれば正社員についたほうが賃貸住宅を借りるとき、教育資金を借りるとき、老後の年金を増やすためにも良いように思われます。
そしてどんな働き方にしても、働き始めるなら、早いほうがいい。求人には若いうちが断然優位です。
新しい職場への精神的体力的な負担や適応力にしても、年齢を重ねるとしんどくなります。
つらくても努力は、あなたへの信頼と自分への自信につながります。頑張りましょう。
さいごに
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子どもを育て、教育を受けさせ、暮らしていくにはたくさんのお金がかかります。
時に不安でたまらなく、根性や勇気も必要です。しかし現代には、さまざまな節約術があり、情報はネットさえあれば簡単に手に入れることができます。
母子家庭には自身の決定だけで方向転換できる「フットワークの軽さ」があります。
情報を収集し支援をきちんと理解し、経済基盤をどのように確保して暮らしていくか。
子どもと自分の将来を見据えて考えてください。幸せは自分の手で捕まえましょう。(執筆者:吉田 りょう)