10月1日から本格的に運用されるようになったIT重説。ご存じの人は、まだ少ないことと思います。
このIT重説が不動産投資にどのような影響を及ぼすのか、これから考えてみようと思います。
目次
重説とは

まずは、重要事項説明(重説)について、簡単に説明いたしましょう。重要事項説明は、その名のとおり重要な事項に関する説明のこと。
賃貸借契約の締結に先立って、宅地建物取引士によって行われるべきものとして、宅地建物取引業法第35条に規定されているものです。
借主は、重要事項説明の内容を了承したうえで、賃貸借契約を結びます。重要事項説明書には、つぎに示す内容が記載されています。
・安全性に関すること
・家賃等とその支払条件
・契約に関して
・禁止および注意事項
重要事項説明に関してご理解いただいたところで、IT重説について説明いたします。
IT重説とは
インターネットなどを利用して、対面以外の方法で不動産取引の重要事項説明を行うこと。
平成27年8月から1年5か月にわたる社会実験を経て、平成29年10月に本格的な運用が始まりました。
IT重説の解禁で何が変わる?
IT重説が解禁されたことで、不動産会社の店頭でのみ行われていた重要事項説明が、Skypeなどのビデオ通話を利用すれば店頭以外の場所でも行えるようになります。
借主が不動産会社を訪れる必要がなくなるため、特に遠隔地への引越しを検討している人にとっては、利便性が向上します。
・ 転勤の予定があるサラリーマン
・ 日本に移住する予定のある人
などがIT重説を利用するものと予想されます。

注意点
IT重説が普及することで利便性が増すと考えられている一方、宅地建物取引士と対面する必要がない分、注意を要するようになる部分もあります。
IT重説を受ける際は、重要事項説明をする人が宅地建物取引士であることを確認するようにしましょう。
取引士証を画面に映してもらい、説明者が本人であるかどうかをチェックします。
また、本人確認の徹底は、不動産会社にも求められます。
不動産投資への影響は?
IT重説の本格運用は、賃貸物件の入居付けにおいて影響を与えると考えられています。
前章でご紹介したような遠隔地への引越しを予定している人たちは、IT重説を積極的に活用するものと予想されます。
よって、近隣に大学がある物件や単身赴任に適したワンルームおよび1Kの物件は、IT重説に対応することで他物件との差別化につながります。
入居希望者の間口を広げられるIT重説に対応しているかどうかは、管理会社選定のひとつの基準にもなりますね。(執筆者:内田 陽一)