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2人のパパ 健夫さん(36歳)
同棲の末に結婚し、子供を授かり、家族が増え、成長して、自分の部屋を欲したりするタイミングでマイホームを購入し、賃貸アパートから持ち家へ移り住む。
一見すると心温まる微笑ましい光景ですが、「住宅ローン付の不動産」は夫婦が離婚する上で重荷にしかなりません。
私の最新刊「男の離婚ケイカク」215ページに登場する浜口健夫さん(36歳)もローンの悩みを抱えているひとりです。
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浜口健夫 36歳 会社員(年収650万円)
浜口紀子 34歳 契約社員(年収300万円)
浜口峻弥 4歳
浜口紀香 2歳
離婚の決断を鈍らせる「住宅ローン」
妻が育児ノイローゼに陥り、夫婦げんかが絶えず、「しばらく、あんたの顔は見たくない」と言い出したため、健夫さんは一時的に実家へ避難しました。
ほとぼりが冷めた頃に自宅へ戻ろうとすると、すでに鍵を交換されており、妻からは
と一蹴され、最終的に健夫さんは離婚を決断せざるを得ませんでした。
どうしても借金が残る
8年前に3,800万円で購入したマイホームは、不動産屋の無料査定では3,000万円しか値がつかず、800万円も住宅ローンが残ります。
健夫さんは800万円もの大金を持ち合わせておらず、また800万円も融資してくれる金融機関は見当たりません。
自宅を賃貸に出そうにも、賃料は10万円しか期待できず、住宅ローンの返済額は毎月12万円なので、毎月2万円の赤字を垂れ流します。
妻が使うクレジットカード
妻が家族カードを使って毎月10万円を健夫さんの口座から引き出しており、さらに住宅ローンも引き落とされるので、手取25万円に健夫さんの手元に残るのはわずかに3万円です。
離婚できても負担は同じ
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もし妻と離婚できたとしても養育費 + 住宅ローンという二重の負担を強いられるようでは今と変わらない。
景気よくマイホームを購入し、一国一城の主になったせいで、離婚を切り出すことができないという堂々巡りに陥ってしまったのです。
「財産分与」について考える
婚姻期間中に夫婦が築いた財産を離婚時にそれぞれ分け合うことを「財産分与」と言います。
ただでさえ複雑なのに「住宅ローン」が残っている場合は余計に厄介です。
妻が子供の親権を持ち、離婚後、母子が自宅に住む場合
月々の養育費と住宅ローンを比較します。養育費を8万円としたとき、
(1) 養育費=住宅ローン
(2) 養育費<住宅ローン
(3) 養育費>住宅ローン
どれに当てはまるでしょうか?
住宅ローンは基本的には固定ですが、養育費はケースバイケースなので、妻が親権を持ち、夫が妻へ養育費を支払う場合、いくら必要なのかを前もって算出する必要があります。
家庭裁判所が公表している養育費算定表を参考にしてください。
ここで出てきた金額はあくまで「仮の養育費」であり、この金額を夫が本当に支払うわけではありません。
養育費と住宅ローンを比べ、どちらが多いのか、どちらが少ないのか、を知るための目安です。
(1) 養育費(8万円)=住宅ローン(8万円)
これが一番シンプルなケースです。
夫は今後も住宅ローンの全額を返済していきます。その代わりに養育費を現金で振り込む必要はありません。
ここで大事なのは、妻の収入です。
妻には家賃の負担はゼロだが、暮らしていくにはそれ以外にも食費や電気代、交通費などの生活費もかかります。
妻は家賃以外の支出を自分の収入だけでまかなわなければなりません。もし妻の経済力が極端に低い場合は、話し合いが必要になるでしょう。
(2) 養育費(8万円)<住宅ローン(9万円)
このパターンでも夫が住宅ローンを返済するのは(1) と同じですが、(1) との違いは全額ではないということです。
夫が負担するのは、先ほどの計算で出てきた養育費に相当する金額だけ(今回の場合は月8万円)です。
しかし、住宅ローンの返済額(9万円)に満たないので、「住宅ローンー養育費」(月1万円)を妻に負担してもらいます。
具体的には住宅ローンの引き落とし口座は夫の名義なので、妻が毎月、その口座に不足分を入金するという形です。
ここでも(1) と同じ問題は発生します。
それは
どうかです。
失礼な言い方ですが、今住んでいる家は夫にとって「身分不相応」だと言わざるを得ません。
このような計算になるのは、おそらく自宅購入時と比べ、夫の収入が大幅に減っていることが原因と考えられます。
そもそも今現在でさえ、住宅ローンの返済に苦しんでいるはず。それなのに今、無理に離婚したら、どうなるでしょうか?
夫婦どちらもすぐにお金で行き詰まるのは目に見えています。
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(3) 養育費(8万円)>住宅ローン(6万円)
夫が住宅ローンの全額を返済するというのは(1) と変わりません。
ただ、それだけでは上記で計算した養育費には足りません。
そのため、「養育費―住宅ローン」の差額(月2万円)を夫が負担するのは仕方がありません。
具体的には夫が毎月、妻か子供の口座に現金でその不足分を振り込むという形です。
もし「もしかして!」と心当たりがあったり、「あれ?」と引っかかったり「どういうこと?!」と気になるフレーズが1つでもあれば、放っておかずに確認するといいでしょう。(執筆者:露木 幸彦)