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基本的には家族の間でも贈与税がかかる
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基本的に、個人から個人へのお金のやり取りは、年間110万円を超える金額になると贈与税が課されます。
しかし、扶養義務のある人が提供する生活費と教育費において
は非課税です。
一緒に生活をしている親族間において「生活に必要な範囲」でやり取りされるお金には税金はかかりません。
夫から妻に生活費を渡す、親から子どもにお小遣いをあげることは生活の範囲内であれば全く問題ありません。
けれども、扶養関係にあっても「生活に必要な範囲」を超えるあまりにも高い金額を手渡した場合には生活費やお小遣いについても課税対象と判断されることもあります。
ちなみに、親族間の贈与税率は血縁関係にない個人との金銭のやり取りより優遇されているとはいえ、
・ 400万以下… 15%(10万の控除有)
・ 600万以下… 20%(30万の控除有)
・ 1000万を超えると30%、40%となり、最大で55%
も課税対象です。
扶養義務のある親子間でも贈与税がかかるケース
通常必要とみなされる生活費と塾や習い事を含めた広い範囲の教育費に対しては贈与税がかかりません。
1. 高額の資金を現金で渡す
通常の範囲を超えた金品に対しては親子間であっても原則として贈与税の課税対象です。
時々耳にする、
といった話の場合には注意が必要です。
2. 将来分を一括で渡す
通常の生活や教育に必要な資金をその都度受け取る場合は問題ありませんが、将来分までまとめて一括で受け渡しし、そのお金を銀行に預けるようなことがあれば、贈与税の対象となることがあります。
それは、一度貯金とすることができ、他のことにも使える可能性ができてしまうためで、株式の買入代金もしくは不動産などの買入代金に充当したような場合には、通常必要と認められる範囲外となってしまいます。
3. 貯金や運用に使う
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貯金に回したり、それを運用したりすることは通常必要な資金と認められません。
それは生活するための住宅購入資金であっても同じで、通常必要なお金とはとみなされない場合があります。
4. 子供が親元を離れた場合
子どもが小さいうちは、子ども名義の口座に教育資金を積み立てていても、その口座の管理者が親と判断される場合が多いので、実質は金銭のやり取りはなく、その都度生活費や教育費を必要に応じて親が出していると判断されます。
しかし、高校や大学の進学で親元を離れて、子ども名義の口座を子どもが管理するようになった場合は、まとめての送金には気をつけた方が良い場合もあります。
期間限定の「非課税制度」
生計を別にしている祖父母などからの援助には期間限定の非課税制度の利用がおススメです。
基本的には年間110万円の控除額を超える部分については、受け取った金額に応じて贈与税が課されます。
個人から受けるお祝い等の金品は、社交上の必要によるもので社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません。
ただし、年110万を超えて祖父母などから資金援助を受けるようなこともあるでしょう。
その主なものとして挙げられるのが、
です。
教育資金の一括贈与を受けた場合や結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合には2019年の3月末(結婚・子育て資金については6月末)までですが、期間限定で贈与税の非課税措置枠が設けられています。
これらは専用の口座を開設して受け取る必要があるなど手続きが必要です。
事前にしっかりと情報を調べたうえで贈与を行うことで、大きな節税につながる制度です。
離婚した際の養育費にも贈与税がかかる場合がある
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離婚などで養育費をもらう場合、扶養義務に基づき履行されるものですから、「通常認められるもの」であれば贈与税の課税対象とはなりません。
毎月もらう場合は問題ないのですが、
という方もいるかもしれません。
これまで述べてきたように、扶養の義務のある者から「生活に必要な範囲」でその都度お金をもらう場合は問題ありませんが、
には、贈与税のかかる場合があるのでこちらも注意が必要です。
ただし、離婚においては関係性において、行政も一括払いの必要性を考慮するなど、事情を考慮してはくれるようです。
なお、同じ理由で保険金の一括受け取りの際にも注意が必要です。
「高額」、「一括」、「預貯金」には要注意
一括で大きな金額を渡す場合は、扶養や家族関係があっても注意が必要です。
年間で110万円超えるお金の受け渡しで実際に生活費や教育費として使用されず、預貯金になってしまったりしている部分については贈与税の対象になることがあります。
新生活の費用として、高額な習い事や留学の際の費用などであれば期間限定の特定控除の制度をうまく利用しましょう。
不必要な税金は払わない
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贈与は手順次第で払わずに済む税金が大きくなるものです。仕組みきちんと理解し、手順を踏まえれば、払わずに済む税金があります。
払わずに済むお金を払うことは、一番の無駄遣いとなりかねません。
せっかくの贈与、厚意でいただいたそのお金ですから、無駄な税金を納めずに教育費や生活費に回したいものです。(執筆者:小柳 結生)