今年の大発会は記録づくめで始まりました。
2018年の東京市場大発会は、2017年12月29日に比べ741円39銭(3.26%)高の2万3,506円33銭で高値引けでした。
1992年1月7日以来、約26年ぶりの高値を付けました。
日本が年末年始休暇中だった3日までに米国や中国など海外市場で株価が上昇した流れを受けての上昇でした。
海外市場は2日から動いてましたからね。
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目次
大発会の上昇としては1996年以来、22年ぶり
日経平均の上げ幅は米大統領選直後の2016年11月10日以来の大きさで、大発会の上昇としては1996年以来、22年ぶりの大きさだったそうです。
東証1部の売買代金は概算で3兆2,794億円で、先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出日だった2017年12月8日以来の多さでした。
売買高は16億9,065万株でした。
東証株価指数(TOPIX)も3営業日ぶりの反発で、終値は46.26ポイント(2.55%)高の1,863.82と1991年11月6日以来の高値を付けました。
JPX日経インデックス400は3営業日ぶりに反発し、終値は前営業日比425.72ポイント(2.65%)高の1万6,499.82と算出開始以来の高値を付けました。
4日の大発会ではNT倍率が上昇しました。これは日経平均株価が押し上げたことを意味しています。
3日の夜間取引でも、日経平均株価先物が値を上げていて、現物でも2万3,000円を超えてくることは予想できていました。
おそらく、クリスマス長期休暇前にポジションを閉じていた海外勢が、新たにポジションを取り直すことによる日本株買いだったのではないでしょうか。
海外勢は日本株買いに円売りポジションをセットに持つ最低取引を行いますので、その分、ドル/円も円安に振れたのと思われます。
今年も、日本市場は海外勢が牽引するかたちで上昇していくようです。
マーケットはあくまでも「流れ」であって、年が変わればリセットされるわけではありません。
まずは終わった2017年を振り返って見ましょう。そして2018年にどう続いていくのかを検証してみます。
2017年振り返り 官制相場の株式市場と動きが乏しかったドル/円レート
2017年の日経平均株価は、終値ベースで見れば、1万9,594.16円でスタートし2万2,764.94円で一年を締めくくりました。
2017年一年間では3,170.78円(16.18%)の上昇でした。
2017年の終値最高値は、12月25日につけた2万2,939.18円、最安値は4月17日につけた1万8,335.63円でした。
ドル/円レートを見れば、1月2日が117.53円、12月29日が112.69円、4.84円(4.12%)円高となりました。
2017年は、円高なのに株価は上がったということになります。
株式市場におけるポイント
まずはここに株式市場におけるポイントがあります。
為替と株価が連動しなくなった、今までの円高で株価下落、円安で株価上昇という方程式が崩れているということです。
それは、日銀がマイナス金利政策を導入し、ドル/円レートが、株価よりも米金利の影響を強く受けるようになったからとも言えます。
なにより日本株価が上昇しているのは、
と言えます。
2013年4月に量的・質的金融緩和(QQE)政策が導入され、市場から大規模な長期国債の買い入れを継続することで、日銀の総資産は日に日に膨らんでいってます。
量的・質的金融緩和政策を始める前の営業毎旬報告(平成25年3月20日現在)によれば、日銀の資産合計は約165兆円で、保有国債額は約125兆円、信託銀行を通じて買入れた指数連動型上場投資信託は約1兆5,000億円、J-REITは約1,160億円でした。
この総資産額が500兆円を突破したのは2017年6月2日に発表された営業毎旬報告(平成29年5月31日現在)でのことです。
直近の営業毎旬報告(平成29年12月31日現在)では、総資産額は約521兆4,162億円、保有国債額は約440兆円、信託銀行を通じて買入れた指数連動型上場投資信託は約17兆円、J-REITは約4,476億円となっています。
総資産は2013年の緩和政策前に比べれば3倍以上になっています(356億円拡大)。
保有国債額は3.5倍(315兆円拡大)、ETFにいたっては11倍(15兆5,000億円拡大)、J-REITは3.8倍(3,316億円拡大)です。
東証上場企業の大株主は、もはや日銀でしめている
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2017年の一年間で日銀は5.7兆円もETFを買っています。東証上場企業の大株主は、もはや日銀でしめています。
2017年の3,170.78円(16.18%)もの株価上昇の影には、日銀による5.7兆円のETF買いがあるということです。まさに管制相場です。
2017年は、日銀のほかに海外投資家や企業の自社株買い等もあり、日銀とあわせて約10兆円の資金が株式市場に流れました。これが一年を通しても株価上昇の要因と言えます。
長期保有株が増え、それを担保に信用取引が行われたことも、株価を支えた要因と言えます。
2013年3月29日の日経平均株価終値が1万2,397.91円、2017年末が2万2,764.94円。
海外投資家や個人投資家も買って入るでしょうが、日銀がこの間に15.5兆円の資金を株式市場に投入したことを確認しておきましょう。
もし日銀がETFを買っていなければ、今の日経平均株価は1万5,000円を割り込んでいるのではと指摘する専門家もいます。
一部では、2018年からそろそろ、日銀は金融緩和政策を見直すのではと言われています。
日銀が金融緩和政策を見直したなら
そうなると日経平均株価はどうなるのでしょう。
日銀がこんなに大量の長期国債を買い入れることで長期金利を低くおさえ、さらには直接株式市場に資金を投入して株価を下支えしている日本株価はどうなるのでしょうね。
2017年は動きが乏しいドル円相場でした。
ドル円相場は12月4日以降の3週間、111.99円と113.75円の間の1.76円という非常に狭いレンジ内での上下動を繰り返しました。
9月半ば以降の14週間のレンジは110.83円から114.73円と4円以下のレンジとなっていて、14週間のレンジが4円以下にとどまったのは2015年5月以来2年半ぶりのことでした。
また、ドル円相場は年間を通じても107.32円から118.60円の9.6%のレンジ内での動きとなり、年間のレンジが10%を切ったのは1980年以降では過去に3回しかありません。
それだけ2017年はドル円相場が動かなかった年だと言えます。
2017年は米ドルが主要通貨のなかで最も弱い通貨となり、円は4番目に弱い通貨となっていました。
どちらも冴えないパフォーマンスだったことがドル円相場を狭いレンジ内の動きにとどめたと言えそうです。
2018年のマーケットはどうなる…
まずは為替を見てみましょう。
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2018年のドル・ユーロ・日本円の動きは、各国中央銀行政策により決まってくると言われています。
昨年12月の米FOMCでは、今後緩やかに利上げを実施していくことが決まっています。
アメリカは金利引締めのスタンスを取るとされています。
ECBにおいては、ドラギ総裁は明言は避けたものの、2018年からは緩やかに量的緩和政策の規模を縮小していくことが予想されます。
欧米ともに、緩和政策から舵を切ることができるくらい足元の景気は悪くないと判断しているのでしょう。徐々に経済は強くなると見ているようです。
カナダは7年ぶりに利上げを実施、英国は10年ぶりの利上げを行っています。
そうなるといよいよ日本だけが量的緩和を拡大し続けることになります。
円安を唱える人の根拠は中央銀行の政策の差
円安を唱える人の根拠は、この各国の中央銀行の政策の差にあるとしています。
円キャリートレード、つまり、金利が低い日本円でお金を調達して高金利通貨に投資する動きが2018年には見られるのではというのが、円安派の言い分でもあります。
ただ、日銀はすでに量的緩和の量の部分は縮小をはじめていて、表には見えない緩和縮小、ステルス・テーパリングは始まっていると見る専門家もいます。
主に海外投資家はそういう解釈しているようです。確かに日銀が買える市中資産はだんだんなくなってきていますからね。
ステルス・テーパリングがあるとするなら、円安派の前提は少し揺らぐことになりますね。
円高派の主張
米税制改正や大型インフラ投資政策が前進することでドル買いが進むというのも、円安派の主張です。
一方、円高派の言い分としては、まさに米長期金利が上昇しないということを前提としています。
ドル/円レートは、日米金利差に大きく反応しています。
日本の長期金利がゼロ近傍に押さえられているので、アメリカの長期金利上昇でドル/円レートは決まるようですが、アメリカの長期金利が上昇しないというのが円高派の主張です。
アメリカの長期金利が上昇しない背景には、インフレが進まないということがあります。
インフレが進まない理由はさまざまな意見があるようですが、ひとつにAI革命にあるとされています。
AI革命は産業構造を根本から変えるもの
AI社会になることで価格安競争、人件費抑制がインフレを抑えるというのです。
これは日本社会にも言えることです。
AI革命は産業構造を根本から変えるもので、生産コストを下げる効果があり、さらに人の手を必要としないことから人件費が抑えられ、モノの値段は下落しやすくなります。
人件費抑制は賃金が伸びないことにもなり、将来のインフレ進行は鈍化すると見られます。
中間選挙を控え、トランプ大統領は内向き政策に舵を切る
また中間選挙を控え、トランプ大統領は内向き政策に舵を切るのではと言われています。
それゆえ日米貿易を意識して、極端な円安は抑制してくるのではとの見方もあります。
日本の経常黒字拡大で円高になるという見方もあります。
これは欧州でも言えることで、EU域内の経常黒字、とくにドイツやオランダの経常黒字は拡大していて、それがユーロ高を誘発するのではと言われています。
円高派の主な言い分はこの3点に集約されそうです。
EU域内景気は良くなっている
EU域内景気は良くなっています。ずっとユーロが弱かったおかげで、貿易には有利な状況が長く続きました。
2017年はユーロが強い通貨に属しました。ドルよりも円よりも強かったと言えます。この流れは2018年も続くと思われます。
ではユーロが強くなるとして、ドルと円はどちらがより弱くなるのでしょう。
ここで、先ほどまでの円安派と円高はに意見は分かれますが、いずれにしてもユーロよりかは弱いこということは一致してます。
「ユーロ > ドル > 円」なのか「ユーロ > 円 > ドル」なのか、あるいは「ユーロ > ドル = 円」となるのかどうかということになりそうです。
ユーロに関しては、たしかに春のイタリア総選挙があり、ユーロ圏離脱推進派が勝てばユーロは下落するという見方もありますが、ユーロの今までの流れから政治的要素で弱くなることは考えづらいというのがおおかたの見方です。
2018年はユーロは強いと言えそうです。
昨年から米国株が買われる流れ
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ゴルディーロックス、低温経済とも呼ばれる、景気拡大にも拘らず長期金利が上昇しない環境下のことです。
長期金利が上がらないということは資金調達コストを低く抑えられるので、企業業績にはメリットと判断され、株価は上がり易くなります。
今の米国市場はこの状態にあると指摘されています。
金利は、私たちの生活の中では「利息」をイメージするとわかりやすいでしょう。
企業がお金を調達するのに利息が高ければそれだけ収益を圧迫します。
企業業績は拡大する中で都合よく金利が上がらないので、支払利息が少なくてすんでいるのです。
その分収益は多くなるというのが今の米国企業を取り巻く環境なのです。
ただ長期金利が上がらないということは、将来のインフレ期待は低下しているということになります。
前述の通り、インフレ進行鈍化の背景には賃金上昇が見られないことにあり、この背景には、AIによる社会構造の変化が注目されています。
AIが雇用を奪う
AIは雇用を奪う、これは当然のことで、AIとの共存により新しい雇用が生まれるとはいえ、従来の職業が大幅にAIに取って代わられるのは必然と言えます。
AIによる効率化でのコストダウンは、物価を押し下げます。
このAI革命の勝ち組と言われる企業が「FAANNG(ファング)」と呼ばれる企業達です。
A : Apple
A : Amazon
N : Netflix
N : Nvidia
G : Google
これらの企業は間違いなく、次世代を担う、というかすでに世界を席巻している企業と言えます。
株価はかなり割高で、PERで見ればAmazonは306倍と、ほとんど意味がわからない状態です。
一番低いのがAppleで18.8倍、Googleは33.4倍と高いですね。
当然世界の資金がこれらの企業に流れることは間違いなく、これら企業の株価が上昇するのも言うまでもありません。
世界の勝ち組企業が米国企業である以上、米国株は上がり続けるわけです。
トランプ政権の大幅減税も米国株高に拍車をかける
さらに政府が米国株高に拍車をかけます。税制改革です。
トランプ政権肝いりの大幅減税は、公約での規模からすれば大幅に縮小されてはいますが、それでも企業業績回復期待をもたらることはできるかと思います。
ただし、マーケットへの影響は一時的と見るほうが良いでしょう。
・ 個人所得税厳正
・ レパトリ減税(15.5%恒久化)
これが主なポイントです。
レパトリ減税でドルレートが大きく動くことはない
為替に影響があるとされているレパトリ減税は、減税幅が大幅に縮小されたこともあり、これでドルレートが大きく動くことは、どうやらなさそうです。
もともと減税規模は5兆ドルの規模だったわけで、それを期待してトランプ大統領就任後はあんなに株価は上昇し、ドルが買われたわけです。
しかし、それが議会との調整の結果、10年間で1.5兆ドル規模にまで縮小されたことで、マーケットへの好影響は一時的と判断されるでしょう。
財政問題がかなり意識されたのようです。
大幅減税は財政悪化につながりかねないと議会からは反発されていましたからね。
またレパトリ減税、海外であげた米国企業収益を本国に戻す際の税ですが、もうすでにほとんどの資金はドルに換えられているとされています。
ユーロで保有していたのが、ECBによるマイナス金利政策でドルでの受取が多くなっていることが背景にあるようです。
金融機関等米国企業海外資産の95%ほどはすでにドルになっているらしく、またレパトリ減税が恒久化されることで、税制優遇を求めて本国回帰を急ぐことはなくなったわけです。
それゆえ、減税のインパクトはあるにしても、マーケットへの影響は一時的と見る向きが強くなったわけです。
これから出される大型インフラ投資骨子も米国株上昇の大きな要因になる
それでも株価上昇要因にならないわけではなく、これから出されるであろう、トランプ政権のもうひとつの目玉政策である大型インフラ投資骨子が発表されますので、これも米国株上昇の大きな要因になると思われます。
その先は、FRBがどこまで利上げをするかです。
利上げをしている最中は株価は下がりづらくなりますので、当面は昨年同様、だらだらと株価は上昇してくるのかもしれませんね。
リスクと呼ばれる北朝鮮問題やロシアゲート問題はどうなる
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北朝鮮に関しては、まずは平昌冬季五輪の間は米韓合同演習はやらないことが表明されていますし、北朝鮮選手団が参加することも協議されていて、北朝鮮リスクはほとんど問題視されないでしょう。
そのことも、安心して日本株を買うことができる材料になっているのかもしれません。
ただ平昌冬季五輪が終わる3月のどこかで、米韓軍事演習が再開されるなれば、再び米朝の舌戦が繰り返されるかもしれません。
ただし、市場関係者は実際に米朝戦争が起こることはほとんど想定していません。
北朝鮮問題をリスクとは認識しなくなってきている
マーケットとしては、北朝鮮問題をリスクとは認識しなくなってきているようです。
政治的な話ですが、北朝鮮ミサイル発射実験は、結果として日本に大量の米国製兵器を買わせたことになります。
それは韓国も同様です。戦争が起こらなくてもアメリカ軍需産業は利益を得たということです。
ロシアゲート問題は、大きなマーケット下落要因と言われています。マスコミの論調はほとんどがそうなっています。
トランプ大統領の長男と複数のロシア人の接触について、元側近スティーブ・バノン氏が「売国的」と呼んだという著書の発表を受けて、トランプ大統領はバノン前首席戦略官について、解任されてから「頭がおかしくなった」と述べました。
大統領選での勝利についても、選対責任者としての貢献はほとんどなかったと切り捨てています。
娘婿のジャレット・クシュナー上級顧問を含め、トランプ大統領の選挙期間中の重要人物に捜査の手が入ろうとしています。
さらに米紙ワシントン・ポストなどの米メディアは、ロシアの米大統領選干渉疑惑を捜査するモラー特別検察官がトランプ大統領の個人弁護士に対し、トランプ氏本人から直接、事情を聴取する意向を昨年12月に伝達したと報じました。
トランプ大統領政権の根幹を揺るがす大問題となりそうなロシアゲート問題ですが、どうも海外投資家の見方は報道とは違うようです。
海外投資家はトランプ政権に飽きている
あるディーラーの方のお話です。
2017年は、「トランプ大統領の頭の中はどうなっているかを探ることがテーマの年だった」と、そのディーラーは語ります。
面白い表現ですね。
それで、中身が何もないということがわかった2018年は、もうトランプ大統領の行動や言動に右往左往することに飽きてきたと、そのディーラーの方は表現しています。
どうせ中身がないのだからっと思うと、もうどうでもよくなったそうです。
聞いた話ですが、大統領が常時携帯している核兵器発射スイッチは、ボタンを押しても核ミサイルは発射されないようになっているとのうわさもあります。
本当かどうかはわかりませんが、トランプ大統領の周りの評価が伺えるエピソードかと思いますね。
海外のマーケット関係者は、もうトランプ大統領がどうなろうと関係ないという構えのようです。
むしろマイク・ペンス副大統領にリーダーになってもらった方が良いとまで思っているようです。
税制改正も終わったので、もうトランプ大統領の役割は終わりと思っている海外投資家が多いようです。
ロシアゲート問題は一時的なもの
だからロシアゲート問題が深刻化したところで、一時的にはマーケットにはネガティブに働くこともあるでしょうが、ほとんどどうでもいいという感じになっていると、そのディーラーの方は語っていました。
つまり、ロシアゲート問題は一時的なもので、大きなリスクではないと判断しているようです。
まさに報道では見えない現場の空気感が伝わるエピソードです。
北朝鮮問題やロシアゲート問題は、マーケットを大きく揺さぶることもあるでしょうが、あくまでも一時的な反応と見るべきなのでしょうね。
むしろ海外要因で重要なのは中東問題の深刻化のようで、もし2018年のマーケット変動のきっかけとなるのであれば、中東で何かが起こることなのかもしれません。
トランプ大統領のイスラエル首都としてエルサレムを容認する発言での世界各国の反応や、イランでの反政府デモのゆくえのほうが心配ですね。
プロが重要視している2017年のボラティリティの低さ
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プロの間で話題になっているのは、あまりのボラティリティのなさを危険視しているということです。
ボラティリティとは価格変動のことですが、米国株式市場においても、特にNYダウは一本調子に上昇を続け、押し目らしい押し目を作っていません。
ここで言うボラティリティは日々の価格変動のことで、日経平均株価のように1年で3,170円も上昇したから価格変動が大きいというものではありません。
一本調子にだらだらと上げる相場は、ボラティリティが低い相場となるわけです。
「普通」の相場は上がったりり下がったりを繰り返して上昇していく
上がったりり下がったりを繰り返して上昇していくのが、いわゆる「普通」の相場なのです。
一方向に上昇していくのは非常に珍しいというか、あまり経験のないことだと言われています。
2017年は、頭の良いファンドマネージャーはほとんど儲からず、単純に株だけを持っていた人が大儲けした年のようです。
あれやこれや考えすぎるとだめなようですね。特に債券や為替のディーラーにとっては「泣きの一年」だったようです。
このボラティリティのなさは、リーマンショック前の相場に非常に似ていると指摘するプロの方もいます。
ボラティリティを売ると表現していますが、価格変動がないほうに賭ける投資家が多くなっています。
VIX指数が低位安定しているのも恐怖
VIX指数という、投資家の恐怖指数とも呼ばれる指標が低位安定しています。
こういう時は、なにかのきっかけで大きく株価が暴落することがあると言われています。
これをプロ投資家は怖がっているようです。
最近の金価格上昇は、まさに株暴落のヘッジのためだと指摘する専門家もいます。
みんなが同じ方向を向いているときが一番危ない…相場の格言のようなもので、今は世界中が株高に酔いしれています。
日本市場においても日経平均株価は上がり続けるイメージを持っている人が多いでしょう。
今までの流れが大きく変わりやすい年
何より証券会社関係のアナリスト達はこぞって、日本市場は強い、年末は3万円を目指す、押し目は買いと囃し立てていますからね。
また2018年は異常干支「戊戌(つちのえいぬ)」年です。この年は今までの流れが大きく変わりやすい年だと言われています。
2018年を注意深く見るためにチェックするところは、アメリカの長期金利とVIX指数の動きになるでしょう。
アメリカの長期金利が上がらないで、長短金利差が小さくなれば景気後退(リセッション)の前兆となりますからね。
2018年は、警戒感を持ちながら、世界的株高のムードに乗るという感じのトレードになりそうですね。
年始から日本株価が上がったからと言って、このまま上がり続けるわけではないです
証券会社関係者は、年始からの日本株価上昇から今年の年末株価予想を強気に見ています。
さらに「押し目は買い」と、下げの局面は逆に買い場だと、投資家をはやし立てています。
それはそれで間違いとは言えませんが、「今年買った株は今年のうちに」ということを忘れないでいてください。
今年中に買った株は今年中に利益確定してください。長期投資と決め込んで、ずっと持つことは避けたほうが良いと思います。
2020年後の東京五輪後の景気後退は誰もが予想していることで、過去の五輪開催国を見ても、五輪後の景気低迷には苦しんできています。
長期投資は、時間軸を延ばすことで利益が伸びることが前提で行うものです。
アベノミクス初動のころが一番、長期投資に適した環境でしたね。
今後はどうでしょう
今年はこのまま上昇するとしても、いずれは金利上昇にともない、株価も失速する場面が訪れることが予想されます。
利益確定はこまめに、長期で持つよりも利益が出れば現金にかえるということを心がけてください。
特に今年のマーケットの動きではそれを意識してください。
今年は金融機関が盛んに投資信託を勧めてくると思います。
投資信託は「安値で買って高値で売る」ことで初めて儲かる商品です。
株価が低迷しているときには長期に保有するメリットはありますが、今の相場環境では高値掴みになることも考えられます。
投資信託を買うなら長期投資は考えないで、儲かれば売るというスタンスを取ったほうがいいと思います。
むしろ今年の株式市場では、インデックスファンドを買うよりも個別銘柄に投資するほうが効率的と思われます。
高値掴みにならないように、くれぐれも投資信託購入による長期投資は慎重に考えてください。
ビットコインには注意してください
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仮想通貨(正式には暗号通貨)価格が上昇するのは需給だけで、買い手が多ければ上がる、売り手が多ければ下がるのは当たり前です。
ビットコインの大口買い手はほんの数人のようで、彼らが一斉に売ればビットコイン価格は暴落します。
それだけ熟成していない薄氷の上の相場だと理解しましょう。
そもそも、スターターが儲かる仕組みになっています。
ビットコインに限らず「どの仮想通貨も、最初に仕組みを作った人が一人勝ち、胴元が勝つ仕組みとなっている」
橋下前大阪市長や2ch開設者の西村博之(ヒロユキ)氏はこう指摘しています。
「今からビットコインに投資するやつは馬鹿だ」とまで言っています。
あくまでも送金手数料が安いという利便性にだけ注目すべきですが、ここまで価格変動が激しいと、ビットコイン決算を採用する販売店側の収益も大きくぶれることになり、ビットコイン決済を中止するところも出てきました。
三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行など、独自の価格固定の暗号通貨システムを普及させてきます。
あくまでも送金の利便性で暗号通貨を考えるべきで、投資対象としては慎重に考えるべきだと思います。
ビットコインの将来は投資先として有望って言っている人ってだれでしょうね。
最初にビットコインを買っている人たちだったりして…。(執筆者:原 彰宏)