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銀行口座があるだけで手数料が発生する「口座維持手数料」が検討中 垣間見える2つの銀行の「本音」

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銀行口座があるだけで手数料が発生する「口座維持手数料」が検討中 垣間見える2つの銀行の「本音」

「マイナス金利」政策


日銀の「マイナス金利」政策の影響が、庶民の口座にも出てきました。

日銀は、銀行から国債を買い取った代わりに銀行にお金を流す金融緩和を行なっています

しかし流したお金が企業などの融資にあまり回されず、日銀の当座預金口座にブタ積みにされていることに業を煮やし、預けるお金が一定量以上になると金利をマイナスにする「マイナス金利政策」を取っています

黒田日銀総裁は

「私たちが銀行に預けるお金はマイナスはならない」

と、明言し、みずほ銀行や三井住友銀行が日銀にお金を預けた場合のみ「マイナス金利政策」を行なっております

庶民の口座には影響ない?

黒田日銀総裁は庶民の口座に「マイナス金利政策」はしておりません。

しかし、お金を預けている口座から「口座維持手数料」を取ることを検討し始めています。

みずほ・三井住友・三菱東京UFJといったメガバンクを始めとした多くの銀行が、具体的に「口座維持手数料」の導入を検討し始めているのです。

明らかに、

日銀の「マイナス金利」政策の影響が、庶民の口座にも出てきている

ということです。

銀行が「口座維持手数料」を取ることになると、100万円預けても10円の利息しかつかないのに、年間数千円の手数料を取られる可能性があり、実質的にはマイナス金利となってしまう可能が性あります。

「口座維持手数料」とは

欧米では徴収する金融機関が多いですが、日本ではほとんどありません

以前、シティバンク銀行が年間2,000円ほどの「口座維持手数料」を徴収していました。

その後、シティバンクの個人口座を三井住友フィナンシャルグループが買い取ったことで、現在はSMBC信託銀行のプレスティアという口座が一定条件をクリアできない場合に「口座維持手数料」を徴収しています。

原因は「マイナス金利」の影響

日本の銀行がこうしたことをしなかったのは、銀行法の第一条に「業務の公共性」が示されているためでした。

日本の銀行は、もともと大蔵省を頂点とする護送船団方式で、大蔵省出張所のような役割を果たしていたので、欧米のように利益重視のフィービジネス(手数料商売)には消極的でした。

けれど、今や日銀の「マイナス金利政策」で経営が悪化し、背に腹は代えられないという状況になっているのです。

なぜ「口座維持手数料」導入の可能性が高いか

その理由は2つあります。


1. これ以上、銀行に預金を持ってきて欲しくない

日銀の「マイナス金利」政策が続く中、預金を預かっても運用先がない状況が続いています。

日銀がマイナス金利を導入した時の日銀の当座預金口座の残高は270兆円ほどでした。

銀行が日銀にお金を預ければ預けるほど銀行は損をするので、銀行に預けさせないためにマイナス金利にしました。

しかし、その思惑は見事にはずれ、現在の当座預金への預け入れは100兆円も増えて370兆円になっています。

銀行は、損するとわかっていても、運用先がないので当座預金に預けるしかありません。

銀行の本音は、なるべく預金をさせたくないので、

「お金を預けるなら、そのぶん手数料をとります」

となったのです。

2. 売りたい商品を買ってもらうために利用したい

銀行が売りたい商品とは、ローンと投資商品です。

ローンの中でも、利ざやが大きなカードローンや手数料が稼げる投資商品を買ってくれる人には「口座維持手数料」を無くしますというような特典をつけて、そちらに資金を誘導する仕組みにするのでしょう。

さらに、さらに、年金の受け皿口座や各種料金の支払口座にも使ってもらうときにも手数料をもらえます。

そうしたものを組み合わせ、

「銀行に有利な利用の仕方をしてくれる人には口座維持手数料はゼロにします」

といったことで、客の囲い込みをするのでしょう。

ジワジワとあがる手数料に注意

「口座維持手数料」というのは、初耳という人も多いので話題になりそうですが、実は、こうした大きな話題の陰で、少しずつですが一般的な手数料も値上がりしています。

たとえば、窓口での両替手数料。

三井住友銀行

100枚まで無料だった料金を、口座がある人は30枚を超えると有料、ない人は100枚まで324円としました。

みずほ銀行

1月4日より値上げ。

三菱UFJ銀行

4月2日から、無料だった料金を540円まで引き上げます。

振込手数利用なども値上げ

横浜銀行や埼玉りそな銀行、オリックス銀行、岩手銀行をはじめとした東北の地方銀行などで値上げが相次ぎましたが、今年は愛媛銀行なども値上げに踏み切ります。

ゆうちょ銀行のATMについては、平日8時45分から18時までの入金や出金は無料でしたが、JAバンクでは、JAカードで引き出す時には有料となっています。

こうした、目に見えないところで、ジワジワと手数料が上がっている現状も注意しておいたほうがいいでしょう。

「口座維持手数料」導入前にしておくこと


まずは、今ある銀行口座を整理しましょう。

子どもの学校関連で使っていた口座や、引っ越して使わなくなった口座などは、早めに整理したほうがいいでしょう。

「休眠口座」がないかも、しっかりチェックする必要がありそうです。

1月からは「休眠口座」のお金は、公益活動に使われます

今年1月からは、「休眠預金等活用法」が施行され、10年以上出入金の動きがない預金は、民間団体の公益活動に使われることになりました。

こうした預金は、毎年700億円ほどあると言われています。

タンス預金も危険です

また、実質的なマイナス金利になるからといっても、大金を銀行から引き出して家でタンス預金にしておくのは危ない。

オレオレ詐欺で騙し取られたり、忘れてゴミと一緒に大金が捨てられてしまう事件も頻発しています。

銀行は生活上は利用せざるを得ませんが、これからは、利用上の損得もしっかり考えなくてはならない時代になりそうです。(執筆者:荻原 博子)

 関連記事:住信SBIネット銀行のスマートプログラム ランク2とランク3を狙う方法

《荻原 博子》
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荻原 博子

執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子 荻原 博子

経済ジャーナリスト 1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「私たちはなぜ貧しくなってしまったのか」(文藝春秋)「一生お金に困らないお金ベスト100」(ダイヤモンド社)など著書多数。 寄稿者にメッセージを送る

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