高齢化がますます進みそのあとに来るであろう「多死社会」が予想されるため、高齢者が最後の時をどこで迎えるのか、希望の「看取り」を行うための場所はどのようにしたら良いのか、国としても検討しています。
終末期を介護施設で迎える人が増えて、平成28年は、約12万人が施設で亡くなりました。
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目次
「看取り」とはどういうことなのでしょうか?
公益財団法人全国老人福祉施設審議会によると「看取り」とは
近い将来、死が避けられないっとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること
とされています。
これまでの、終末期に少しでも生命を維持することを優先した方法が人道的であるかどうかという意見をふまえて、その人らしい最期を自宅や施設で静かに死を迎える「看取り」の考えが広まりました。
平成18年4月の介護報酬改定において「看取り加算」が創設されました。
看取り介護加算の要件
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会の「看取り介護指針・説明支援ツール」によると
・ 看取りに対する指針を定め、施設入所の際に、入所者とご家族に看取りに関して定めた指針についての内容の説明を行い、同意を得ること。
・ 医師、看護職員、ケアマネージャー、介護職員などが当該施設においての看取りについての協議を行い、指針について適宜見直すこと。
・ 看取りに関しての研修を行うこと。
・ 看取りケアは個室または静養室などを利用し、本人、ご家族、周囲の入所者に配慮すること。
とあります。
介護加算で算定できる単位
看取り介護加算で算定できる単位は
・ 死亡の前日および前々日 1日につき680単位
・ 死亡日 1日につき1,280単位
となります。
看取り介護加算を算定できる事業者は、特別養護老人ホーム、グループホーム、介護付き有料老人ホームです。
看取り介護を実施している施設の約8割が、看取り介護の対象者全員を最期まで施設で介護していることが明らかになっています。
4月の報酬改定では施特養の配属医が夜間や早朝に特養に駆け付けた場合の報酬を新設します。
病院と介護施設を比べると、医療と介護を合わせた公費が0.6~3.2%抑えられるとの試算もあり、施設での看取りを国でも後押ししています。
医師や「看取り」のできるスタッフが少ないのが現状
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しかし、医師が常駐する施設が少ないこと、24時間対応が必要な看取りをできる人が少ないことなどがあります。
また厚生労働省の「長期療養高齢者の看取りの実態に関する横断調査事業」の中では、約半数の特養が、職員に対し終末期ケアに関する十分な教育の場がないと答えているなど施設により体制に差があるようです。
施設でのこれからの「看取り」の体制が整うことを期待すると同時に、入所の際は確認をしておきたいですね。(執筆者:藤原 洋子)