最近、不動産投資の世界で話題に上ることが多い2022年問題。
大量の都市農地(生産緑地)が市場に放出されることで不動産が供給過多に陥り、不動産価格が暴落するのではないかと懸念されているのです。
2022年問題とは似て非なるものとして、太陽光発電の「2019年問題」というものがあります。
初めて聞く人も多いのではないでしょうか。
2019年問題がわれわれにどのような影響を及ぼすのか、詳しく解説いたします。
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目次
2019年問題とは
2009年11月にスタートした住宅用の余剰電力買取制度。
家庭で余った電気を10年間に渡って一定額で買い取ってくれるという制度で、当時の買取価格は48円/kWhでした。
今(2017年度)と比べるとかなりの高値で買い取ってもらえたのですね。
当時、太陽光発電はそれほど普及していませんでした。
その一方で、国には住宅用太陽光発電の普及を促進させたいという意図があったため、そのような高額な買取価格の設定が実現したとされています。
余剰電力買取制度の開始直後、2009年に太陽光発電設備を設置した家庭では、2019年には10年の買取期間が満了することになります。
この10年に渡る買取期間が終了すると、太陽光発電を導入した人はどうなってしまうのでしょう?
太陽光発電を導入した人が買取期間終了後に不安定な立場に立たされてしまう。
そのような人が、2019年を境に毎年登場することになることから、「2019年問題」と呼ばれるようになりました。
余剰電力買取制度が始まった当時、10年経過後の売電単価は電力消費者が支払う電気料金単価程度の額と想定されていました。
とはいえ、実際にその額で買い取ってもらえるのか、電力会社に買取り義務がなくなるため買い取ってもらえなくなるのではないかなど、太陽光発電の導入後10年を経過した人がどのような扱いを受けるかは不透明なままなのです。
2019年問題への対策
10年経過して、万が一電力会社に買取りを拒否されたときの対応を考えておくことも大切です。
その場合、考えられる対策は次の3つになります。
(2) 売電契約を結び直す
(3) 余剰電力を蓄電池に蓄えて発電できない夜間にも利用する
(1)は、従来通りに太陽光発電設備を利用して自家使用のための電力を発電するというものです。
ただ、余剰に発電した電力を売電することはできません。
余剰電力を売電したい場合は、買電してくれる新たな電力会社を見つけて、売電契約を結ぶ必要があります(2)。
蓄電池を導入すれば、蓄えた余剰電力を夜間に利用することもできます。
発電した電力を余すことなく使えるというのがメリットですが、一方でコスト面でのデメリットも挙げられます(3)。
本当に「問題」なのか?
2019年問題と呼ばれているが、これは本当に問題なのか?
2009年に太陽光発電を導入した場合、その買取価格は48円/kWh(先述のとおり)。
8kW程度の容量の設備を例に考えてみると、1か月の平均発電量は900kWh程度(年間約1万1,000kWh)です。
そのうち300kWhを自家使用し600kWhを売電に回したとすると、平均売電収入は2万8,800円、年換算では35万円近くに上ります。
10年間の買取期間中に得られる売電収入350万円となり、設置費用が賄えてしまう計算になります(太陽光発電が普及していなかった当時、8kWの設備を設置するために必要な費用は350万円程度だったと考えられる)。
その上、毎月の電気料金がかからないということであれば、2009年に太陽光発電を導入した人にとっては、その投資は大成功だったと言ってもよいのではないでしょうか。(執筆者:内田 陽一)