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中心市街地が空洞化

地方都市を中心に深刻な問題となっている中心市街地が空洞化していく問題。
地方都市にとどまらず、最近では東京近郊の比較的人口の多いエリアにも拡大しつつあります。
皆さんの住んでいる自治体はどうでしょう?
そのような状況に危機感を覚えた自治体の中には、行政がまちづくりプロジェクトを主導し始めるところも。
各地で始動しはじめたこのような市街地再生の動きについて、詳しく説明いたします。
市街地空洞化の原因
中心市街地が空洞化は、道路の整備や大型店の郊外進出が主な要因と考えられています。
車社会の地方都市でいち早く市街地の空洞化現象が起こったのは、そのためでしょう。
そのような地域では、必要なものを全て揃えることができる郊外の大型店が、駅前商店街から顧客を奪ってしまったということです。
その結果、かつて賑わっていた中心市街地の人通りは減り、商店街は衰退の一途をたどることに。
どげんかせねば…

そんな思いで全国津々浦々の自治体が立ち上がり始めています。
これまでは、広域に拡散した住民を市街地を中心としたエリアに住まわせるコンパクトシティ構想などが、市街地復活を果たすための定石と考えられていました。
しかし、多くの住民に不便を強いるといった課題も。
そこで注目を集めつつあるのが、
という手法です。
遊休不動産をリノベーションし再生することで、
・ 産業振興
・ 雇用創出
・ コミュニティ再生
を果たし、ひいてはエリア価値の向上に結び付けるというもの。
自治体とまちづくり事業者、不動産オーナーが連携してまちづくりを担っていくというものです。
2014年に北九州で生まれたリノベーションまちづくり
JR小倉駅から徒歩10分ほど、「九州の台所」旦過市場からほど近い場所で、借り手が付かず長年放置されていた4階建てのビルを、ゲストハウス兼ダイニングの「Tanga Table」に変身させたのです。
旦過市場の「おいしい」を味わえる宿があったらいいな
そうした地元の声を形にしたものがこのTanga Tableでした。目新しさも手伝ってプロジェクトは大成功。
エッジを効かせた店が通りにもういくつか出来れば、そこに人の流れが生まれるようになるでしょう。
人の流れが生まれればそこへの出店希望者も増え店の数は増加します。つまり、線だった人の流れは面を形成するようになるのです。
噂が口コミで広がってより活気付くというスパイラルに入れば、そのエリアには自律的な成長が期待できます。
不動産投資に大切なもの
筆者は不動産賃貸業で5棟41室、北関東を中心に高利回りの物件の賃貸経営に携わっています。
不動産投資をするなかで、地域活性はとても重要であると感じました。
関連記事:「そこに住みたい」と思わせる街づくりを提案して、不動産賃貸業に恩恵をもたらす「エリアリノベーション」とは。
人口増の自治体にも危機感
埼玉県草加市の人口は25万人ほど。
東京23区と隣接し依然として人口増加を続ける自治体です。
しかし人口が増えているのに、かつて賑わっていた旧日光街道沿いがシャッター商店街になってしまいました。
そんな彼らに地域住民との交流の場を提供することができないか…
これが草加市がまちづくりに乗り出した理由のひとつです。
「レンタルスペース兼キッチンスタジオ」

「リノベーションまちづくり」として、壊す予定だった木造アパート再生し、
というプロジェクトを立ち上げました。
旧街道沿いを対象エリアとした「まちづくりリノベーション」に官民一体となって取組み始めたのが2016年のこと、その成果が徐々に実を結び始めました。
2018年には私が取り組んでいるキッチンスタジオのほか、
・ 駅前通り脇のスペースを利用したカフェ併設のチャレンジショップ
・ ホテルで修業を積んだシェフが腕を振るう旧街道沿いの洋食屋さん
・ 2年前からプランを温めてきたシェアアトリエ
などもオープンを控えています。
草加市の市街地は、個々のプロジェクトがつながりつつあり線になろうとしている段階を迎えています。
それを面に成長させることできるか、今後の展開をお楽しみに!(執筆者:内田 陽一)