確定申告シーズンが一区切りしました。
フリーランスの方は、次年度の確定申告に向けて節税対策を練っているかと思います。
ここで悩むのが「何が自分に必要な節税対策なのか」。
特にインターネット環境が充実している今、「節税」で検索するとたくさんの情報が出てくるので迷いますね。
今回は、フリーランスなら誰でもやっておきたい節税対策「小規模企業共済」について解説します。
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目次
小規模企業共済は「事業主の退職金制度」
小規模企業共済とは、一言で表すと「事業主の退職金制度」です。
通常、フリーランスには退職金がありません。
なぜかというと定年という考え方が基本的にないからです。
しかし現実には人間なので、事故や病気、体力の衰えなど不測の事態で働けなくなることがあります。
場合によっては引退せざるを得ないこともあるでしょう。「引退して年金と貯金だけ」では心細いですよね。
そんなフリーランスの状況を鑑み、昭和40年に設立されたのが「小規模企業共済制度」です。
現在、およそ133万人の事業主が加入しています。加入資格者は自営業と会社経営者・役員です。
小規模企業共済の特徴
では、小規模企業共済の特徴はどのようなものでしょうか。具体的には次のようなものが挙げられます。
(1) 月々1,000円から自由に掛金設定OK
小規模企業共済の払込は毎月1,000~7万円の間で、500円刻みで自由に設定することが可能です。途中金額を変更することもできます。
(2) 月払、半年払、年払が可能、払込時期の年齢制限なし
月払で掛金を納付する人が多い小規模企業共済ですが、半年払・年払も可能です。
なお、前納すると、一定割合の前納減額金が還付されます。
また、払込の時期についての年齢制限はありません。
(3) 廃業、事業譲渡・老齢給付・死亡・法人成り・途中解約も可能
受給は廃業だけでなく、事業譲渡・老齢給付・死亡・法人成り・途中解約も可能です。
「退職金」としての位置づけを持つ小規模企業共済ですが、廃業以外の理由も受給要件となります。
・ 老齢給付(65歳以上、180月以上掛金を払いこんだ場合)
・ 契約者の死亡
・ 個人事業主の法人成りにより加入資格を失った場合
・ 途中解約(ただし加入期間20年未満では受取額が掛金総額未満)
共済金の受取は「一括受取」、「分割受取」、「一括受取と分割受取の併用」のいずれかから選択できます。
なお、契約者であるフリーランスが死亡した場合、共済金はその相続人に原則として支給されることになります(みなし相続財産として相続税の対象になります)。
(4) 低金利での貸付もOK
オプション的な特典ですが、事業承継や事業拡大、事業主の傷病などにおいて、共済からお金を借りることができます。
利率は一般貸付だと年1.5%、それ以外だと年0.9%です。
小規模企業共済の節税メリットとは「掛金全額控除OK」
ここまで読んで、
と疑問に感じた方もいらっしゃるかもしれません。
小規模企業共済の節税メリットは「年間の掛金が全額所得控除になる」という点です。
つまり「払った分だけ節税になる」ということです。
なお、所得控除項目は「小規模企業共済等掛金控除」になります。
ここで、老後の備えとしてポピュラーな生命保険と比較してみましょう。
生命保険だと、税制上「生命保険料控除」がありますが、こちらはどんなに払っても年12万円が上限です。
仮に
小規模企業共済と生命保険料とでは節税効果において次のような違いがあります。
生命保険料控除
1,000万円(合計所得金額)-12万円(生命保険料控除)-38万円(基礎控除)
= 950万円(課税される所得金額)
950万円 × 33%-153万6,000円 = 159万9,000円
∴所得税額159万9,000円
小規模企業共済
1,000万円(合計所得金額)-84万円(小規模企業共済等掛金控除)-38万円(基礎控除)
=878万円(課税される所得金額)
878万円 × 23% - 63万6,000円 = 138万3,400円
∴所得税額138万3,400円
同じ掛け金を払うのでも、小規模企業共済の方が生命保険より納付税額を21万円近く低く抑えることができるのです。
なお、この節税額は稼げば稼ぐほど大きくなります。
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さいごに
フリーランスは会社員と違って「保障がない」のが特徴です。
自由がフリーランスの強みですが、いざというときの不安を抱えながら事業を行うのはしんどいもの。
老後の備えをするだけでなく低金利での借り入れも可能で、節税メリットの大きい小規模企業共済は、フリーランスの安心と事業の発展につながります。
ぜひ一度、検討してみてくださいね。(執筆者:鈴木 まゆ子)