インターネットが生活のインフラとなった今、ネット上の銀行口座や証券、仮想通貨などといった「デジタル資産」は当たり前のものとなりました。
紙や通帳のような実体がなく、すべてデジタルで完結するため、
状態となることも珍しくありません。
資産の持ち主が元気なうちはいいのですが、突然相続が始まった場合、目に見えない資産だからこそ思わぬ迷惑を相続人にかけることになります。
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目次
「デジタル資産」の意義とメリット・デメリット
「デジタル資産」とは
のことを言います。
広義の「デジタル資産」には、
・ネット上のブログ
・SNSアカウント
・メール
・オンラインのゲーム
・ショップのアカウント
・ネットに投稿した文字や音源、画像など
も含みますが、今回は相続税の資産性のあるものだけをテーマとします。
「デジタル資産」のメリット
デジタル資産のメリットは
です。
だからこそ、新たなオンラインサービスが出ると気軽に登録し、利用することができます。
また、家族や友人と共有する必要がほとんどありません。
自ら言わなければ知られることもないでしょう。
だからこそ、日常から離れ、一人で投資を楽しみたい人などは活用の度合いが高まることになります。
「デジタル資産」のデメリット
メリットは裏返せばデメリットになります。
つまり、カンタンで便利だからこそ、気が付くとあちこちのサイトにアカウントを開設しパスワードを記録することになります。
「デジタルな存在のため、意識の表層に上がりにくい」という性質があるため、本人ですらどこにどのようなアカウントを開設したか、いくらあるのかが分からなくなることもあります。
また「秘匿性が高い」ということは、
ということです。
結果、デジタル資産の持ち主が突然亡くなった場合、相続人たちに迷惑をかけることになります。
発生しやすいトラブルとは
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「デジタル資産」が分からない…
「相続人が被相続人の遺したデジタル資産が分からない」ということは、
ということです。
結果、
ことになります。
全容が把握できないとしても、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に申告しなくてはならないことには変わりがないので、全容把握に全力を尽くしたうえでやむなく遺産分割協議及び相続税の申告を行わなくてはなりません。
この時点で相続人に経済的・労力的・精神的な負担を負わせることになります。
また、相続人が被相続人のデジタル資産の存在を知らず、「把握している財産=全財産」として遺産分割協議を行い、相続税申告をしたとしても、その後デジタル資産の存在や金額を知った場合には、あらためて遺産分割協議を行い、相続税の修正申告を行わなくてはなりません。
「デジタル資産の負債」も相続の対象
さらに、
となります。
インターネット上でFXを行い、そこで借金をかかえていた場合には、その借金も相続人が引き継がなくてはなりません。
相続放棄は可能ですが、この期限は3か月以内です。
3か月過ぎて以後の相続放棄ができないわけではありませんが、裁判を行い、「相当の理由」があると認められた場合に限ります。
「決して容易ではない」のです。
今年3月、財政金融委員会にて藤巻参議院議員が
と質問したところ、国税庁の藤井次長は
と答えました。
この考え方は他のデジタル資産にもあてはまります。
まとめ
死はいつ訪れるか分かりません。
元気なうちに、あらかじめ紙にデジタル資産の内容やアカウント、パスワードなどを記録し、相続人のために分かりやすくしておくことが必要になってきていると言えます。(執筆者:鈴木 まゆ子)