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「就業不能保険」が静かなブーム
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保険会社の広告を眺めていると気づきます。その名の通り、働けなくなった時のための保険です。
「就業不能保険」は、毎月〇〇万円というように保険金を受け取るタイプが主流で、その目的から現役時期や子育て時期のように時期を限定した定期保険で契約します。
「毎月〇〇万円」の保険には収入保障保険もありますがこの違いは明白。
・ 就業不能保険:被保険者が病気やけがで働けなくなった時に保険金が支払われる。
ただし、ソニー生命の収入保障保険「家族収入保険」のように、収入保障保険でも保険料を増やして、保障内容を要介護状態や障害状態にまで拡大しているものもあります。
・ シンプルに死亡や高度障害時のみの収入保障保険にしか加入していない
・ 傷病手当金や雇用保険のない自営業者やフリーランス
の方なら、検討する価値のある保険なのではないでしょうか。
うん。就業不能保険、生命保険会社もカユいところにまで手を伸ばしてくれましたね。
しかし私はモヤっとしています
それは、就業不能保険の広告の打ち方が「オレが働けなくなったとき、どうやって家族を養う」の一辺倒だからです。
収入保障保険でも就業不能保険でもどちらでも良いんですが、専業主婦が働けなくなっても、いやいや万一のことがあっても、アナタたち大丈夫なんですか?
専業主婦が「就業不能」になったら
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実は私、幼児を置いて1か月足らず入院したことがあります。
夫は一時的にシングルファーザーになりました。たいへんだったそうです。
当時を回想する夫の言葉から、専業主婦の「就業不能」状態がどれほどの出費を生むのかを指摘しようと思います。
専業主婦むけの公的保障は、3号被保険者としての年金保険と被扶養者としての健康保険だけしかありません。
会社員の傷病手当金や雇用保険のようなものはないんです(ですから産休・育休手当も、もちろんありません)。
夫の嘆き1「とにかく子どもを預けなきゃならない」
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そうですね。これがいちばん重要でしょう。
ということで、保育料がかかります。
私の入院のときには両おばあちゃんから助けを得ながらの一時保育でのりきったようですが、長期となるとそうはいきません。
小学生なら学童保育、幼稚園児なら延長保育または保育所への転園、未就園児なら保育所のみです。
学童の保育料は地域によって大きな差があります(自治体の腕のみせどころ)。幼稚園の延長保育料は園によってまちまち。
保育所は自治体による差は小さいですが、所得によっては子ども1人につき数万円にまで膨らみます。
専業主婦は健在なら保育を無料で担っているわけですから、これは完全に新たな出費です。
夫の嘆き2「食費はやっぱり増える」
そりゃあそうでしょう。これが私が毎日生み出している価値なんですから。
私の夫は生協の宅配サービスを利用していましたが、他の選択肢としては外食やお惣菜、家事代行サービスなどがあります。
大人1人を考えるだけでも、いずれの場合も月1万円以上は出費が増えます。子どもがいるならさらに…。
夫の嘆き3「光熱費が意外と増える」
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私の入院時の家計簿を後でつけていて意外だったのは、光熱費が増えていたことです。
夫に尋ねると、毎日浴室乾燥を使用していたとのこと。
なるほどそうか。私がいれば、雨が降ればとりこむもんね。
自炊が減るからガス代が大きく減るかと思いきや、少ししか減っていませんでした。
季節によりますが、ガス代はお風呂沸かしの占める分が大きく、人間が少なくても同じ量のお湯を張らなきゃなりません。
しかも夫は子どもを寝かせてから入浴し直していたそう。
大人が2人いるときの、片方が入浴させてもう片方が脱衣所で子どもを受け取る、ができませんものね…。
夫の嘆き4「眠いし太る」
専業主婦がいなくなれば、残された夫は本業と主婦業の「ダブルワーク」です。
そりゃあ、それまでのように時間はないですよ。
というのが夫の言葉です。
そして、どうしても食べ過ぎてしまったり、栄養バランスの悪い食べ方をする、またストレスで暴飲暴食してしまったりで、太ったとか。
これが長引けば、健康リスクが増していきますね。2次障害です。
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夫の嘆き5「仕事はどんどん人に任せて定時出退勤!」
「睡眠時間がない!」と悲鳴を上げていた夫ですが、彼なりに職場にはお願いをして、ほぼノー残業を達成してのことなのだとか。
数週間だったから良いものの、それが何年もとなるとキャリアにひびくなんて、もう過去の話なのでしょうか?
「育児や介護のためにあきらめる」なんていう女性の話は今もよく聞きますけどね。
そうなれば、これは支出増ではなくて将来の大きな収入減です。
専業主婦の「就業不能」、けっこうダメージ大きいでしょう
何度も言いますが、こんな事態でも公的保障はないんですよ。
ですから自前で備える必要があると思います。
まぁ、すぐに再婚相手が見つかれば良いですけどね(どうも、それを想定して公的保障制度が設計されている気がする)。
しかし子連れの再婚ですよ。大丈夫なのかしら。
なんて想像してしまうのは絵本の読み聞かせのしすぎでしょうか。
もうひとつの備え方
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というのがこの記事で私が言いたかったことです。
子どもの成長段階によりますが、月5~10万円くらい用意していても良いと思います。
ところでこの専業主婦に万一の事態、実はもうひとつの備え方もあるんですよ。
それは専業主婦が健在な間に、家事育児にしっかり参加していただくことです。
そうやって家事育児スキルを上げておいていただければ、いざというときのダメージがぐんと下がりますよね。
家庭内に家事育児と賃金労働のスペシャリスト2人よりは、どちらもできるジェネラリスト2人の方がリスクは低い。
ええ。私だってスキができればお外で働きますよ。
家事育児の家庭内シェアは、専業主婦に将来の賃金労働への道を開くことでもあるんです。(執筆者:徳田 仁美)