最近あちこちで見かけるようになった1,000円カット。
小学生が自分のお小遣いで買える100円マック。
普段私達が何気なく使っている無料アプリ。
安いのはうれしいけれど、
と疑問に思う人も少なくないでしょう。
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今回はリーズナブルな価格で提供しているのにも関わらず、なぜか儲けているサービスの仕組みについてご紹介していきます。
目次
1,000円カットは本当に儲かっているの?

一般的な美容院ではお客さんの要望を細かく聞きとり、カットだけでなくパーマやカラー、縮毛矯正、ヘッドスパなどメニューも豊富にそろっています。
またマッサージやドリンク類の提供といったサービスも行う店もあり、予約が優先で美容師をあらかじめ指名しておくことも可能です。
その一方で指名された美容師の時間確保や手間のかかる作業も多いので、「効率性」という面から考えると決して良いとは言えないのが実情。
予約したお客さんが時間に遅れたり来なかったりという場合、指名された美容師を確保していた時間が無駄になってしまいます。
また技術の高さはもちろんですが、お客さんとのトークも重要。
「また来たい」と思ってもらえるよう、技術以外のさまざまな努力が求められるのです。
そんな美容院と対照的なサービスが人気を集める1,000円カット。
店舗数も順調に伸ばし、見かけることも珍しくなくなりました。
1,000円カットの場合はシンプルにカットだけ。
サービスでヘアスプレーやカットした髪の毛が残らないようドライヤー等で飛ばしてくれる店もありますが、基本的には「余計なことは一切やりません」というスタンス。
美容院のように積極的にコミュニケーションを取ろうとすることもないので、美容師とのおしゃべりが苦手という人にもオススメです。
でも1,000円で儲かっているのだろうか…と疑問に感じている人も少なくありませんよね。
1,000円カットならではの大きなメリットとして挙げられるのが次の3つ。
・ カットのみなので狭いスペースでも営業でき、設備投資や経費が最低限に抑えられる
・ 予約制ではないので美容師の勤務時間を有効に使える
何よりも一番重要なポイントになるのは立地条件。
価格がリーズナブルな上に短時間で終わるのがメリットと言っても、お客さんが集まらなければ利益は得られません。
1,000円カットは駅周辺やショッピングモールなど、何かのついででも立ち寄りやすいように出店することを心がけているのです。
短時間で行うカット専門店にすることで、徹底的に無駄を省いたシステムを構築した1,000円カット。
「とりあえず時間をかけずに切りたい」、「カットの費用を安く抑えたい」という人のニーズに応えて成功した、シンプルでリーズナブルなサービスと言えるでしょう。
店に足を運んでもらうことが目的の100円マック
もうすっかり定着したマクドナルドの100円マック。
ハンバーガーとチキンクリスプ、朝マックのソーセージマフィンは100円。
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チーズバーガーとチキンクリスプマフィンは130円で食べられます。
安く食べられるのはうれしい限りですが、「こんなに安くして大丈夫なの?」という疑問もわいてきます。
100円マックがスタートした時、その宣伝は誰もが何らかの広告で目にするほど大々的に行われました。
しかし今では店頭でも公式サイトでも、100円マックのメニューは良く見ないと分からない程度にしか表示されていません。
やはり季節ごとの商品やキャンペーン中の商品を大きく表示し、自然に目が向くような工夫がされています。
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また100円で買える超お得なハンバーガーとして売り出していても、実際にそれのみを注文する人は決して多くありません。
マクドナルドのスタッフもドリンクやポテトなどのサイドメニューを上手に勧めるため、ついつい一緒に購入してしまいがち。
さらにほかのメニューを見ていれば、「たまには違う商品も食べてみようかな」と思うもの。
儲けはそこで発生するため、100円マックはとにかく店に足を運んでもらうことが目的の商品だと言っていいでしょう。
無料通信アプリLINEの収益は課金にあり

無料のサービスとして断トツ人気なのが、無料通信アプリのLINE。
トークと呼ばれるチャット機能やインターネットを介した通話などが無料で利用できます。
男女や年代を問わず、以前のメールのように使うことが当たり前になったLINEですが、一体その利益はどこから得られているのでしょう。
LINEの人気は通信機能に使えるスタンプや、幅広い世代が楽しめるゲームも充実。
これらは無料でも利用可能なものもありますが、人気キャラクターや有名人のスタンプが欲しい場合、またゲームのレベルアップに必要なアイテムが欲しい時は課金することで手に入れることができます。
実はこの課金がLINEの大きな収益につながっているのです。
例えひとり数百円の課金であっても、その利用者数を考えれば大きな金額になることが間違いありません。
そしてやはり大きいのは広告収入。
スタンプやゲームに課金することで利用者の好みを推測し、それに合わせた広告を配信します。
よりターゲットを絞れるため、効率良く収益につながる仕組みとなっているのです。
プレミアムなのに会費はたったの280円! お得感で会員が右肩上がりのクックパッド

20~40代の中心に絶大な人気を得ている日本最大のレシピサイト「クックパッド」。
会員自らがレシピを投稿。
そのレシピを気に入ったというコメントの書きこみが増えると、「話題のレシピ」や「殿堂入りレシピ」としてさらに注目を集めるというシステム。
投稿する人・参考にしたい人の両方がより楽しめるようになっています。
会員にならなくても無料で見られるレシピが多いので、その利用者数は月間5,000万人以上と言われており、こちらも広告収入が大きな柱となっています。
またプレミアム会員になると気に入ったレシピをたくさん保存できたり、レシピの絞り込み検索が簡単にできたりといった数々の特典が受けられます。
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有料とは言っても月額280円。
毎日の献立を考えるストレスが蓄積されていくことを考えれば、お得感の高いサービスと思う人が多いのではないでしょうか。
280円とひとり分の利用料金は少額ですが、LINEと同様に利用者数は右肩上がりなので大きな収入へとつながるのです。
さいごに
安くても無料でも、実はしっかりと儲けを生み出しているそれぞれのサービスの仕組み。
ユーザーに「お得感」を与えつつ、商売としても手堅く成功しているのです。
「安かろう、悪かろう」のイメージを払拭し、プラスアルファの満足感も得られるようなサービスがこれからもどんどん生まれてくるかもしれません。(執筆者:藤 なつき)