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親が認知症になるということ
親が認知症になることをイメージしたことはありますか?
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初期症状では物忘れから始まり、最終的には人格が崩壊するほどまで進行する場合があります。
こうなると、自分のコトを自分で出来なくなるのは勿論ですが、自分自身の管理もできなくなってしまいます。
その中でも大きな問題になるのがお金の管理です。
認知症になる前にご両親のお金について対策しておかないと、後々面倒なことになってしまいます。
親が認知症になって、お金の管理ができなくなる前に、子供として事前にできることとは何でしょうか?
親が認知症になる前にできること
その1. 収入や財産の把握
認知症になるということは、親に代わって子供が管理を行なう事が多いと思います。
介護サービスを受けるようになれば、それなりにお金が必要になります。
やがて施設に入所となった場合、年金等の収入を上回る支出だと生活ができなくなります。
子供が親の収入を十分に把握しておいて、それに合わせた介護サービスが受けられるようにしておく必要があります。
介護施設に入所している人の中には、預貯金が底をつき、子供同士が協力し必要料金を出し合ってなんとか生活を送っている人もいます。
長い人になれば10年以上も施設でお世話になる場合もあるので、収入と財産、施設の利用料のバランスを考えておく必要があります。
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その2. 通帳(口座)はまとめておく
若い頃はいくつか口座を作っていて、用途に合わせて使い分けていた人も多いと思います。
しかし、高齢者になり年金が主な収入源になると、口座を一つにまとめておいた方が何かと便利です。
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認知症になると、預貯金の引き出しが非常に面倒になります。
口座が多いと本人以外の子供が出し入れをする場合、手間と労力がかかりますが、トラブルがあると更に面倒です。
また、残念ながら亡くなってしまった時のことを考えても、口座がいくつもあるよりも、一つか二つにしておく方が面倒な手続きが軽減できます。
また、その1でご説明した親の預貯金を把握することも簡単にできますよね。
勿論、親と相談し行なうことですので、強引にすることではありません。
その3. 誰が管理するか決めておく
認知症になりお金の管理ができなくなれば、子供などが代わりにすることになるでしょう。
その場合、誰が管理をするか事前に親と相談して決めておく必要があります。
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子供が一人しかいない場合には簡単ですが、子供多いとトラブルの原因となります。
場合によっては「成年後見制度」を利用して、裁判所を通してしっかり管理してもらう方法もありますので、その辺も含めて検討しておきましょう。
また、もう少し身近な制度として「家族信託」というものもあります。
「成年後見制度」の概要について
介護保険制度が開始される時期とほぼ同じ時期に開始された、比較的新しい制度です。
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認知症になり、悪質な訪問販売や振り込め詐欺の被害から守り、通常な判断能力がない状態で多額な買い物をしないように防ぐ制度です。
裁判所から選ばれた専門家にお任せするようになり、本人が直接指定することもできます。
介護施設に入所されている人もよく、この制度を利用されています。
法的に守られますので、かなり安心できる制度です。
「家族信託」の概要について
この「家族信託」という制度は、まだまだ浸透されていないようです。
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財産の管理方法の一つで、お金などの資産を持つ親が、特定の目的(介護に必要なお金の管理等)に従って、その持っている財産を信頼できる家族に託し、管理や処分を任せる仕組みなのです。
認知症になる前の判断能力があるうちに、親の希望する家族に任せるように促しておきましょう。(執筆者:陽田 裕也)