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思いがけず出会う本
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もらった本、勧められた本、買うつもりがなかったのになぜか惹かれて買った本、思いがけずに良書に出会うことがあるものです。
古い本ですが、最近そんな出会いをした本、「家族の経済学~お金と絆のせめぎあい」(橘木俊詔・木村匡子 NTT出版2008・3・26)を読み、ファイナンシャルプランは
・ 離婚
・ 出産
・ 子育て
など、愛情の絡んだ、お金になじまない問題を、あえてお金に換算して計画することだと、あらためて気付かされました。
収入の範囲で、いかに満足できるか
経済学とは、限られた資源が競合する目的にどのように配分されるかを研究する学問であり、(中文省略)家族の構成員は、幸福な生活を送るべく、限られた時間を労働や余暇に配分し、限られた所得を様々な財・サービスの購入に配分している。
『家族の経済学~お金と絆のせめぎあい』より引用
ファイナンシャルプランを考える時、所得の使い方だけに意識が向かいがちですが、限られた時間を
・ 収入を得るための時間
・ 人生を楽しむ時間
に振り分けていることに気づかされました。
収入を得るための時間
それ自体が楽しく生きがいになっているのが理想です。
しかしほとんどの方は、
(A) 収入を得るための時間… 労働時間とそれに付随する技術・知識を習得する時間、研究する時間など
(B) 人生を楽しむ時間はトレードオフ
(A)、(B)どちらか一方を選択する関係にあります。
つまり、収入を増やすには、何かの時間を犠牲にする必要があるのです。
例)家族団らんを夢見て、家を買う
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家族だんらんを夢見て、今の収入ではちょと無理な性能の家を買うとします。
そして、住宅ローンを支払うために、残業をする・副業をする。
すると家族だんらんの時間がその分減ります。
単に労働時間だけでなく、労働を増やした分、体を休ませる時間も増えるので、その分の時間も減ります。
また、時給単価を上げようとしたり、不労所得を得ようとした場合、技術の習得に時間を割いたり、学習費用がかかります。
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労働時間を増やさないと、支出を減らす必要がある
労働時間を増やさないと、支出を減らす必要があり、人生を楽しむ時間が減ります。
例えば食事。
今までは良く味わって食事を楽しんでいたのに、質を落とすことによって、食事が単なる栄養補給になってしまいます。
そうならないためには、
を考える必要があります。
予算配分(バジェットアロケーション)を考えましょう
ファイナンシャルプランニングというと、すぐに
「投資信託にいくら」
「保険にいくら」
という資産配分(アセットアロケーション)を考えがちですが、まずは、
を考えましょう。
1. 収入を費目ごとに振り分ける
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自分が収入をどう振り分けるのか、費目ごとに、割合(パーセンテージ)を考えましょう。
・ 食費に何%
・ 住居費に何%
・ 教育費に何%
・ 娯楽に何%
・ 備え(保険)に何%
・ 貯金に何%
といった具合に、心のままに割合を合計100%になるように振り分けてください。
それがおそらく、あなたが最も満足するお金の使い方(価値観)です。
2. 実際の金額を割合を知る
次に自分がどうお金を使っているか、実際の金額を割合(パーセンテージ)に直してください。
例えば、手取り月収30万円の家計で、住宅ローンなど住居費に10万円支払っている場合、住居費は33%です。
3. 理想の予算配分と実際の配分のギャップを埋める
この作業が「ファイナンシャルプランニング」です。
今の生活レベルを変えずに支出額を抑えることで、割合(パーセンテージ)を理想に近付けられる場合もあれば、ほかの費目との割合を変更しなければならない場合もあります。
保険の見直しや、住宅ローンの見直しなどをしたり、何かのために他の何かをあきらめるなどの作業です。
この時ポイントは、費目に予備費の項目を必ず設けてください。
人の価値観は一定ではないので、あまり、きっちり割り振ってしまうと、価値観が変わったときに、対応できなくなります。
また、将来の支出が分かっているもの
・ 将来の教育費
・ 自動車税
・ 車検費用
・ 自動車
・ 家電など定期購入するもの
などは、あらかじめ月割にして、月の予算として、落とし込んでください。
お金に対する「満足度」と「合理性」

愛情が深くかかわると、お金に換算することに違和感や、嫌悪感すら覚えると思います。
その場合、自分の感情に従ってください。
満足度と合理性では、満足度が目的で、合理性は手段や選択肢でしかありません。
経済学では、人々は合理的な判断をしてから行動に移るとみなす。
(中文省略)その時に自分の頭の中での計算はそれほど具体的である必要はない。
なにがしかの計算をして、計算結果の良好なものを選択することを、合理的な判断とみなすのである。
その判断は周囲から見れば明らかに合理的とは言えないものもあるし、後になって間違っていたとわかることもある。
しかし、少なくともその判断を行った時点の当人にとっては、最も良いと思われた選択なのである。
『家族の経済学~お金と絆のせめぎあい』より引用
もし、自分の判断に自信が持てなかったり、冷静になれない場合、家族や友人、お金の専門家にご相談ください。
定期的にお金の使い方(価値観)について家族と話し合うのは、とても大切です。
日々の生活に少しでも不満を感じたら、ぜひ予算配分を話し合ってください。(執筆者:田島 稔之)