目次
銀行からの借入が返せない時
銀行としては、当然に返ってくる見込みのもとに融資を行います。
しかしいつの時代においても、一定の割合で返済不能となるケースは発生します。
こんな時に、銀行としてはどう動くのかを考えます。

銀行としていったん、返済不能となった時に考えるパターンは4つ
なかなか分かりにくいケースではありますが、実は銀行として取りうる出口はパターンとして4つしかありません。
それについて説明しますと
(2) 借主の資金繰りが改善して、もともとあった通常の返済パターンに戻る
(3) 借主が破産、民事再生等の法的手続きに入り、銀行として返済をあきらめる
(4) 返せない状態のままであるが、借主が法的整理には入らない
この4つです。
各々のパターンについて

(1) 全額返済を受ける
こちらについては、担保である不動産を売却したり、保証人が返済したりして返済が完了します。
(2) 借主の資金繰りが改善して、もともとあった通常の返済パターンに戻る
これが一番望ましいケースで、再建の努力等によって資金繰り、業績が改善して、もともと決められた返済条件での返済を継続していくパターンです。
(3) 借主が破産、民事再生等の法的手続きに入り、銀行として返済をあきらめる
これは、借主が弁護士を通じて法的整理に入るパターンです。
こうなると銀行はこれ以上、返済を求める事は許されず、銀行としても損失として計上して終了します。
(4) 返せない状態のままであるが、借主が法的整理には入らない
一番ややこしいのが、このケースとなります。
ややこしいケースでは何が起きるのか?
このケースでは、返済を続けていくのが困難ではありますが、破産等の手続には入っていませんので、銀行としてはあきらめるわけにはいきません。
ついては、借主と交渉を継続して、少しずつでも返済を受ける案を検討したりします。
しかし、そもそも借主は資金繰りが厳しい状態なので、完済するまでには10年以上かかる計算となるケースが大半です。
こうなると銀行としては債権譲渡という手続きを検討します。
債権譲渡とは

銀行としては、少しずつでも返済を受ける事自体は望ましいですが、かといって10年以上もこうした交渉を続けて行く事は、費用対効果で割にあいません。
つまり返してもらえる金額に対して、1人の銀行員が担当につき、交渉を続け、管理し、銀行内での決裁をへて、取引を続けていく事のコストのほうが遥かに大きいわけです。
すると銀行としては損は覚悟の上で、できるだけ早いタイミングで、この融資を切り離す、そして交渉を終わらせたいと考えます。
この時に用いられるのが債権譲渡というものです。
債権譲渡の例
例えば、1億円融資したが、結局4千万円しか返ってこず、残りの6千万円をどうするかというパターンです。
頑張っても10年で2百万円程度しか返ってくる見込みはありません。
こうなると銀行は残6千万円の返済を受ける権利(貸出債権)を金額1万円で他社に売却(譲渡)してしまいます。
銀行は5,999万円の損失(6,000万円- 1万円)となりますが、どうせ返ってこないと判断されたお金ですし、これにより銀行としては不良債権を切り離す事ができるので、こちらの方がベターだと判断するのです。
こうして銀行が債権を売却した結果、新しい債権者(貸主)が現れるという事になります。(執筆者:松野 のりこ)